パチンコ業界という巨人の肩に乗るアニメ

8月あたりから深夜アニメ番組内でよく見た劇場版『創聖のアクエリオン』のコマーシャル。
それほど話題にもなっていないテレビアニメの映画版をつくって、さらにこんなにCM売って黒字化なんて絶対ムリだろと思っていた。


その後、9月10月にアニメ以外の番組で流れているパチンコ版のCMを見て納得すると共に、あらためてアニメ業界の小ささ(パチンコ業界の大きさも)を実感した。

パチンコメーカーのアニメ製作参加

劇場版のアクエリオンの製作クレジットを見ると、「製作:Project AQUARION、SANKYO、SANKYOプランニング」となっていた。テレビ版の製作委員会にパチンコ台(?)の製造メーカーであるSANKYOが加わっている。
単に、ライセンスを提供するのではなく、SANKYOが劇場版の製作に参加することで、SANKYOの資本力を使った大々的な宣伝が可能となったということのようだ。


パチンコ業界は、利用者が減り続けているのをお金の出入りが激しいスロットの投入など射幸性(=ギャンブル性)をあげることで、なんとか売上を横ばいに保っているのだという。しかし、射幸性を高めすぎたためにライトユーザーのパチンコ離れがすすんでいること、さらには行政サイドから圧力がかかり射幸性を低めなければならなくなったため多大な機種の交換コストとなり、かつ、ヘビーユーザーが離れてしまうのではないかという危機感がある。
その結果、新たなユーザの獲得を目指す方向に進みつつある。逆に、射幸性を低めたパチンコを導入し、新たな客層の獲得につなげているとのニュースもあった。
そんな状況下で、新たな客層獲得の戦略の一つとしてパチンコ業界においても優秀なコンテンツであるアニメ(北斗の拳エヴァを使って大ヒットした)に目が向いたということだろうか。

パチンコとアニメの相乗効果

パチンコ業界にとっては、アニメ製作に参加することで、劇場公開中の機種を投入するなど話題性を高めることができる。
アニメ業界にとっては、30兆円といわれるパチンコ業界の資本力(ちなみにアニメ業界は2000億円程度、テレビですら2−3兆円程度)を活かし今まで不可能だった露出が可能となる。


正直、劇場版のアクエリオンがリクープできるとは思えないけれど。
(あ。もしかしたら、パチンコライセンスで十分採算ラインにのってるかもしれない)
テレビ放送中の作品にパチンコメーカーが製作参加したりと、広がっていけばおもしろいんじゃなかろうか。


巨人の肩に乗ることで、アニメ業界が少しでも高く飛べるようになるといい。
(本来のニュートンの言葉の「巨人の肩に乗る(立つ)」とは意味が違うので、あしからず)

参考リンク

劇場版アクエリオンのスタッフ
http://anime.goo.ne.jp/contents/news/NAN20070810_81/

原作:河森正治・サテライト
監督:河森正治
アニメーション制作:サテライト
製作:ProjectAQUARION SANKYO/SANKYOプランニング
配給:アルゴ・ピクチャーズ


実践!パチスロ攻略 - パチンコ・パチスロ人口、活動回数、費用、市場の推移
パチンコ人口が1995年から2000年にかけて減少しその後横ばい。1人あたりの売上が95年から98年までは上昇、99年に一旦大幅減少するも2000年以降に大幅上昇。その結果、売上高は30兆円弱で横ばい。
ユーザ数の減少を、単価の上昇で補って来たのがわかる。


http://www.chunichi.co.jp/s/chuspo/article/2007101001000051.html

 客離れに悩む北海道のパチンコ業界で、1玉当たりの貸玉料を1円に設定した「1円パチンコ」がブームになっている。同じ出費で従来の4倍の量の玉が借りられ、長時間楽しむことが可能。その分景品との交換率は低くなるが、高齢者や若年層に「気軽に遊べる」と好評だ。

 一般的なパチンコは1玉を4円で借り、出た玉は1玉4−2・5円程度の換算で景品と交換できる。入れば大もうけにつながる1玉4円交換の店の場合、1000円分の玉がわずか数分でなくなることもある。

 1円パチンコの交換率は1玉1円以下となり、大勝ちはしにくいが、負けたとしても出費を抑えることができる。業界関係者によると、北海道内では既に約200店が導入、関東を中心に全国にも広がっているという。
(共同)


2005年の北斗の拳パチスロに関する記事
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/marketing/rights/050811_pachinko/

そして参加者が減少したにもかかわらず、ギャンブル性の高い機種の設置により増加傾向を示していた貸玉料も2001年にはついに減少に転ずることになったのです。

このような状況を打開するためゲームとしての楽しさを演出することが可能であり、また集客に有利なマンガやアニメのキャラクター台の開発に拍車がかかっていったのです。

その結果90年代に減少を続けていたパチンコの参加者は2000年に入り増加傾向を見せ始め、01年には若干減少したものの02年には参加人口・貸し球料ともに前々年を上回るまで回復しました。

キャラクターを使用した商品化を行なう場合ライセンシーはライセンサーに対してロイヤリティ(使用料)を支払いますが、パチンコやパチスロは参加者が機械を購入するわけではないので通常商品とは異なる計算式が設定されています。パチンコにおいてヒットとされる2〜3万台を販売することができれば、ライセンサーは数千万円のロイヤリティ収入が見込めることになります。