B2Bのコミュニケーション

今日は早朝から、某非鉄金属メーカーへ工場視察を兼ねたコミュニケーションプランの相談を受けにでかけた。その会社の取引先は仕入先も納品先も製造メーカーになるので、典型的なB2Bマーケティングになるわけだが、何をコアにして訴求するかが当然のようにディスカッションの焦点になった。
技術面で競争力の高い部分、技術面以外で競争力が高い部分、すなわち営業面、人材育成と確保の面、取引先からの信頼、環境保全CSRによる社会的評価、等々。工場を拝見させてもらったところからも感じたものもあり、いろいろ優位面が見えてきたにもかかわらず意外だったのは、対外的にアピールする上でポイントを絞り込むことに多少の恐怖を感じる、という意見だった。

理由として、ひとつは自分たちの仕事の価値が可視化され、そのリアルな姿に少しばかり戸惑いを感じるということ。ひとつは、中国、韓国の台頭に対して、はたしてその程度の訴求で対応可能なのかというところ。そしてさらには、その優位性が未知の市場に知られてしまう、ことが挙げられた。

自分たちの会社も、もはや国内だけにとどまらず、アジアに目を向けていかなければならない。その時、国内では通用していた技術力や営業力が、はたしてアジア市場で相応の評価や効果を得ることができるのか。と同時に、自分たちの市場ステイタスを高めるために行うさまざまなコミュニケーション、例えば、オフィシャルサイトのリニューアル、プリントされた会社情報、国内外の展示会への積極的な出展、媒体を使ったPRと広告展開等々の活動を、アジアを意識した多言語で活発に展開していけばいくほど、社内に隠されていた貴重な情報は表に露出し、会社の能力はアジアの視線にさらされ、ヒントを与え、コピーされていく。

海外に出るとは、海外の市場を食いに行くと同時に、食われに行くことも意味している。まさに二律背反。

だが、結局はどちらのスピードが勝るのか、ということに尽きるのだが。そうした状況の中で、はたして何をどうしていけばいいか。自社の優位性をこと細かく無邪気に喧伝する時代は終わり、知りうる人だけにアドバンテージが伝わっていく、したたかなマーケティングプロモーションが求められている。



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