ダニエル・キイスと小尾美佐

米国の作家、ダニエル・キイスが亡くなった。

キイスの著作では「アルジャーノンに花束を」(Flowers for Algernon)しか読んでいないが、彼の本は、これ一冊だけで、まあ、十分かな。言い換えれば、それだけインパクトのある小説だということだけど。
一度、この小説のラジオドラマを車を運転しながら聞いたことがある。連続ものの一部分だけを聞いたので、その時は話の流れは分からなかったものの、おおよそ推測がついたので書籍の方は特に読もうという気は起きなかった。

数年前、本屋でロバート・A・ハインラインの「夏への扉」の新訳が出ているのを見つけ、ブックカバーに描かれている初夏の日差しを背景にした猫のイラストがとても気に入ってしまい、衝動買いして数日で読了。気分がすっかりSFハイになってしまっていたので、その勢いで別の書店でたまたま目についた「アルジャーノンに花束を」に手を伸ばし、これも数日で読み終えた。後で気付いたのだけれど、両方とも小尾美佐氏の訳だった。単なる偶然か、導かれたのかはわからないが、この2冊からはクラシカルなSFの放つ、レモンティーのような香りと読後感の切なさを久しぶりに堪能できて楽しかった。
小尾美佐氏の経歴を検索したら、SF小説を多く翻訳しているということ。やはりこういう小説は、SFの世界観というか空気感を愛してやまない人が訳さないと、こちらの気分にうまくフィットしてこないな。

SF小説も日本では読者が少なくなっていて大変らしい。日本の本好きのメインは推理小説なので、SFにも頑張ってほしいものの、最近のはちょっと理屈っぽくなっている気がするが…。
















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