クラブユース選手権(7/29、7/30)

【大会3日目:コンサドーレ札幌ユースU-18戦】

大会2日間を終え、1勝1分の勝ち点4として迎えたグループリーグ最終戦。対戦相手のコンサドーレ札幌ユースU-18は大会2日目に横浜Fマリノスユースを1−0で破り、1勝1敗の勝ち点3。逆転でのグループリーグ首位突破を狙うチームとの戦いは非常に苦しいゲームとなった。

GK:一森
DF:夛田、原、面家、扇原(→寺田)
MF:杉本、細見、山口[CAP]、丸橋
FW:中東(→李→畑)、永井(→辻)

立ち上がりから、ポゼッションは支配するものの相手を崩すには至らない。個人、チーム共に質の高い札幌は、裏のスペースとサイドを効果的に利用した組み立てで、康生、慶、細見のトライアングルを引き剥がし、スペースを効果的に突いてくる。

攻守に手詰まり感が残る中、ベンチは早い段階で積極的に動く。前半30分、最前線で基点となるべく体を張っていた優治に変えてテヒョン投入。前線の運動量増加と裏のスペースを突く動きでチームの活性化を狙うも、試合は思わぬ方向へ動く。

前半35分の札幌のカウンター。自陣中央で康生が相手FWを後ろから倒し、2枚目のイエローで退場となってしまう。札幌の効果的な試合運びにチームとして上手くやられた形。これを受けてタカが左SBからCBへ、マルが左SBへと下がり、テヒョンが二列目左に入る4-4-1にシステム変更。1人多い状態となった札幌の猛攻に耐え、0−0で前半終了。

この時点でヴェルディマリノスを1点リード。引き分けではグループリーグを突破できず、点を取って勝たなければならない状況に。

後半、1人少ないセレッソの猛攻が始まる。後半5分、テヒョンに変えて畑。畑は右SBに入り夛田が左SBへと移動。そしてマルが再び2列目に上がり攻撃が活性化。この試合最高のパフォーマンスを見せた畑は、ディフェンスの安定に加えて、積極的に何度も健勇を追い越し右サイドからチャンスを量産。

更に後半14分、龍に変えて克麻。1トップとして前線から積極的にチェイスし、ボールを奪えば積極的な突破で相手DFを脅かし続ける。健勇とポジションチェンジした後も、右サイドを畑とのコンビで仕掛け続ける。

1トップに上がった健勇は、課題のスタミナも構わず最前線で体を張り続ける。苦しい時間にピッチ上でチームを鼓舞する姿に確かな成長の跡が。

1人多い相手を押し込み続ける展開も得点には至らず、刻一刻と残り時間が過ぎ去っていく。後半36分、タカに代えて舜司を投入し、DFの枚数を減らしてなりふり構わずゴールへ。

そしてロスタイム2分の表示が準備された後半39分。夛田の右への展開を受けた克麻がドリブルで右サイド深くまで進入しクロスを上げる。PA中央に完璧なタイミングで飛び込んできた螢が右足インサイドで合わせ、遂にセレッソが先制ゴールを奪う。

一直線にベンチへと駆け、喜びを爆発させる選手達。ひとつのゴールに涙したのはいつ以来かな...

長く、本当に長く感じられたロスタイムの2分間を耐え抜き、1−0でセレッソ大阪U-18が勝利。土壇場で決勝トーナメントへの切符を手に入れた。最後まで諦めることなく勝利を手にした選手達、本当に素晴らしかった...

全力を出し切った健勇はこの勝利に涙し、MOMといっていい活躍を見せた畑は、最高の笑顔でサポーターと喜びを分かち合った。そして、戦いは遂に一発勝負のトーナメントへ。


【大会4日目:柏レイソルU-18戦】

ベスト4を賭けた大一番は、FC東京と並び優勝候補の呼び声が高い柏レイソルU-18。グループDを圧倒的な強さで勝ちあがってきた柏は、ポゼッションを主体とした高い組織が特徴のチーム。勝って、三ツ沢へと舞台を移したい。

GK:一森
DF:畑(→野口)、原、扇原、夛田
MF:杉本(→寺田)、細見、山口、丸橋
FW:李(→辻)、永井(→堀尾)

立ち上がりはセレッソがペースを掴むも、次第にポゼッションはレイソルへ。一見、オーソドックスな4-4-2に見えるのだが、そのポゼッションはこれまでに経験したことの無い独特のスタイル。2列目の選手が極端に中へ絞り、両SBは本来の2列目の選手の位置まで張り出し、どちらかと言うと2-4-4とも言うべき布陣。レイソルのポゼッション時には健勇とマルが相手SBに引っ張られ、最終ラインに5〜6人が吸収される状態。

特にレイソルの左サイド(セレッソの右サイド)の22番、25番への対応に苦慮した印象。22番は柏ボール時にはサイドの高い位置にポジションを取り続け、結果、対応に追われた健勇の攻撃参加が封じられた形に。また、190cmはあろうかという25番は悉くロングボールを収め続けるだけでなく、高い技術も併せ持っておりポゼッションへの貢献度大。

サイドでのプレスが効果的にかからないこともあり、次第にラインは低く低く押し込まれる。しかし、アタッキングエリアより先では、細見、慶、タカを中心に個々の攻撃を封殺。決定的な場面は作らせない。

またセレッソも、カウンターやその後のセットプレーから何度かチャンスを演出。ポゼッションは柏優位も、チャンスの数は互角。緊張感の張り詰めたゲームは、互いに我慢比べの状況のまま前半修了。相手の土俵でサッカーをさせられたとも取れるし、相手の狙いを寸断できているとも取れる判断の難しい前半。

後半開始間もなく、テヒョンがラインの裏に抜け出し左45度からのシュート。積極的に攻めに入り得点の香りが漂いだした立ち上がりだったが、先制点は柏にもたらされてしまう。更に、克麻と野口の投入準備を行っていた後半13分にも追加点を許してしまい、2点のビハインドと苦しい状況に。

この後はセレッソがボールを支配し、相手ゴールを脅かし続ける場面が続く。後半21分、龍に代えて堀尾を投入。夛田をボランチに上げ螢をトップに。更に後半30分には舜司を投入してスクランブル体制に。

後半32分、螢が左のマルに展開し自身はPAへ。マルの高速クロスを螢がヘッドで右サイドネットに流し込み1点差へと迫る。チーム内も外も雰囲気は最高潮に達し、更に同点に向けてチーム一丸で残りの時間に賭ける。

その後は完全にセレッソが圧倒する展開となり、CKの混戦やミドルで相手ゴールを脅かし続けるも僅かに届かない。最後のワンプレーまで勝利を信じ走り続けたが、あと1点届かず無念のタイムアップ...

何としても三ツ沢に導いてあげたかっただけに、本当に残念な結果となってしまった...

しかし、柏のような、これまでに経験したことの無いチームとの対戦は、選手達にとってもチームとしても貴重な財産になったと思う。

今年のクラブユース選手権、決勝トーナメントに上がって、これまで見えなかったものを見ることができた。柏レイソルFC東京のように、個も組織としても、更にひとつ高いレベルのチームがあることが分かった、全国の本当のトップの姿を確認することができたのは本当に大きい。

関西にもガンバという実績のあるチームがあり、全国大会慣れしているガンバが今大会も制する可能性は充分ある。ただし、組織であるとか個々人の判断のスピードと言った点では、FC東京レイソルなどは確実にひとつ抜けていると言っていいだろう。関西には無いこうしたチームとの対戦は全国大会ならでは、といっていいと思う。

1ヵ月後、またすぐに高円宮杯が始まる。個人的には、FC東京レイソル、またグループリーグでドローに終わったヴェルディといった、真に強いチームとまたやりたい。ギリギリの試合を制することで更に大きく成長して欲しいと思うし、選手達にはこうしたチームをひとつの目標に、良い準備をして欲しいと思う。

最後に、今大会でチャンスを得られなかった選手達。プリンスリーグでは試合に出場し勝利に貢献したものの、クラ戦の出場機会は得られず悔しい思いをした選手もいたと思う。高円宮杯、また切磋琢磨してポジションを争ってほしい。そして今度は主役となって、チームをより高いところまで導いてほしい。


ひとつめの全国の舞台、本当にお疲れさまでした。