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 2015全日本オムニアム選手権は男子が小林泰正、女子は梶原悠未が初のチャンピオンに輝く!


2015全日本オムニアム選手権が、11月21日(土)〜22日(日)の2日間に渡り、伊豆ベロドロームで開催されました。


この全日本オムニアム選手権は2011年に初めて開催され、初代優勝は男子が現在は引退している西谷泰治選手、女子が当時競輪学校生だった加瀬加奈子選手が輝いています。
2012年は開催されず、2013年に第2回大会が行われ、男子が橋本英也選手、女子が塚越さくら選手の優勝。
そして昨年2014年は男子が窪木一茂選手の初優勝、女子は塚越さくら選手の2連覇となりました。


今年の注目は、まず男子は頭一つ抜けた実力者である橋本選手と窪木選手の対決。2人はこの種目での国際大会出場経験も多く、お互いの力をよく知るだけに負けたくないところ。そんな両選手を抑えてタイトルをもぎ取る選手が出てくるのでしょうか。
女子はなんといっても梶原選手の初参戦。ジュニアながら国内外で目覚ましい活躍を見せる期待の星は、国際大会で実績を持つエリートの上野みなみ選手や塚越選手とどう戦うのか。


そんな見所を踏まえつつ、2015全日本オムニアム選手権を写真で振り返ります!


I. スクラッチ
★女子

女子は9名がエントリーし、1種目めのスクラッチが始まった。



集団のままレースが進む中、残り10周を切ったところで上野がアタック。それに反応した梶原が追走し、2名が抜け出す。



2人の逃げは決定的なものとなり、最終周回へ。



先に上野が仕掛けるも、最後は梶原がゴールを制した。


1種目めのスクラッチを終え、1位梶原(筑波大学附属坂戸高校)、2位上野(鹿屋体育大学)、3位鈴木奈央(日本競輪学校)、4位齋藤望(日本大学)、5位塚越(鹿屋体育大学)…と続く。


★男子

男子は24名がエントリー。



残り6周で原田裕成が仕掛け、それを近谷涼、池邊聖、小林泰正が追い、4名での逃げが決まる。



4名でのスプリント勝負となったゴールは、最終4コーナーを先頭で回ってきた原田がそのまま押し切って1着。


1種目めのスクラッチを終え、1位原田裕成(鹿屋体育大学)、2位近谷涼(マトリックスパワータグ)3位池邊聖(慶應義塾大学)、4位小林泰正(日本体育大学)、メイン集団のアタマを取った橋本(鹿屋体育大学)が5位、6位窪木(Team UKYO)…と続く。


II. 個人追抜
★女子

1位梶原 3:46.682



2位塚越 3:48.628



3位上野 3:49.992



5位中村妃智(日本体育大学) 3:56.255


2種目めの個人追抜が終わり、総合は連続で1位を取った梶原が首位で80P、2位上野74P、3位塚越70P、4位鈴木奈央70Pと続く。


★男子

1位橋本 4:26.763(日本新記録



2位近谷 4:30.087(日本新記録



3位窪木 4:32.153



5位吉田隼人マトリックスパワータグ) 4:37.974


橋本が自身の持つ日本記録を4秒近く縮めるタイムを叩き出し、新記録樹立となった。近谷もこれまでの日本記録を更新するタイムで2位に。
2種目めの個人追抜が終わり、総合は1位近谷76P、2位橋本72P、3位原田70P、4位窪木66P…と続く。


III. エリミネーション
★女子

2種目終えてトップに立っている梶原。



前半戦を締めくくるエリミネーションがスタート。



経験に勝る塚越と上野、そして梶原の顔ぶれで残り3名に。ここで先に梶原が仕掛け、まず塚越が競り落とされる。



上野との一騎打ちも制した梶原が、3種目すべてで1位となった。


エリミネーションを走るのは今回で2回めという梶原が、経験値の高い塚越や上野を退けて勝利。映像を観て塚越や上野の走りを研究したと言う梶原だが、巧いレース運びとともに脚のあるところを見せつけた。
前半3種目をトップで終えた梶原が総合も120Pで首位をキープ、2位上野112P、3塚越106P、4位鈴木94P…と続く。


★男子

男子も前半最終種目のエリミネーションがスタート。



残り4名となったところで窪木が仕掛け、一気にスパート。



残り1周、逃げ続ける窪木を追う橋本。さすがに逃げ切るのは厳しいかと思われたが、このまま窪木がゴールまで押し切った。



見事な走りを披露した窪木を讃える橋本。


エリミネーションで2位となった橋本がここで総合トップに。4点差の106Pで窪木が2位に浮上し、3位原田106P、4位近谷102Pまでは僅差の争いとなり、少し点差があいて5位小林泰正(日本体育大学)88Pと続く。


IV. タイムトライアル(女子は500m、男子は1km)
★女子

1位塚越 36.657



2位梶原 37.936



3位鈴木 38.295



4位岡本二菜(スミタ・エイダイ・パールイズミラバネロ) 38.314



5位齋藤望(日本体育大学) 38.835



8位橋本優弥(県立岐阜商業高校) 39.848



9位古山稀絵(昭和第一学園高校) 40.685


後半戦最初の種目、500mタイムトライアルは短距離種目に強い塚越が1位。梶原も競輪学校生の鈴木を抑えて2位に入る。
総合は梶原が158Pで首位をキープ、2位に146Pで塚越が上がり、3位上野140P、4位鈴木130P…と続く。


★男子

1位窪木 1:04.622



2位一丸尚伍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 1:04.900



3位小原佑太(朝日大学) 1:04.929



4位原田 1:05.203



11位小林  1:07.081


もともと短距離種目で活躍する小原や、短距離に自信を持つ一丸を抑え、窪木が1位に。橋本は5位。
ここで総合トップは146Pで窪木に移る。2位に橋本142P、3位原田140P、4位近谷130P、5位一丸118P、6位小林108P…と続く。


V.フライングラップ
★女子

1位塚越 14.591



2位梶原 15.100



3位鈴木 15.469


5種目めのフライングラップは、やはり強さを発揮した塚越が1位。ここでも梶原は2位に入り、大きく順位を落とさない。
総合トップは196Pで梶原のまま、2位塚越186P、3位上野174P、4位鈴木166P…と続く。梶原は塚越と10P差、上野とは22P差で最終種目のポイントレースを迎える。


★男子

1位一丸 13.129



2位橋本 13.460



3位窪木 13.482



4位新村穣(法政大学) 13.612


ここはさすがの1位となった一丸。橋本、窪木も揃って上位に。
5種目が終わり、総合トップは窪木が182Pでキープ。2位には僅か2P差の180Pで橋本、3位位原田170P、4位近谷162P、5位一丸158P、ここから点差があいて6位新村128P、7位小林128P…という順位で最後のポイントレースへ。


VI. ポイントレース
★女子

女子は25km、100周のポイントレース。上野や梶原が何度か逃げを試みるも、決定的な動きにはならず。集団のままレースは進んでいき、塚越、梶原、鈴木、上野といった上位陣を中心にポイントを取り合う展開に。



梶原と塚越が僅差での争いを繰り広げ、ついに残り20周となる8回目のポイント周回で塚越が1点差ながら梶原を逆転。そのまま残り1周へ。梶原は後ろにがっちりマークに入っている塚越とともに最後尾。



ここから怒涛の追い上げを見せた梶原が、塚越を千切って最終4コーナーで先頭に上がる。



捲りきった梶原が1着! 塚越は4着となり、これで梶原の優勝が決まった。



劇的な幕切れで初優勝を飾った梶原。


レース後、「持ち味の逃げが決められず、苦しい展開だった」と話す梶原。残り1周からの大捲りは「絶対に負けたくなかったので、とにかく行くしかないと思った」と逆転劇を振り返る。
最後の最後で勝利を逃した塚越は3連覇ならず2位。3位にはポイントレースで得点をのばした鈴木が入った。



表彰式。左から2位塚越、1位梶原、3位鈴木。


女子オムニアム最終結
1位 梶原悠未(筑波大学附属坂戸高校) 207p
2位 塚越さくら(鹿屋体育大学) 204p
3位 鈴木奈央(日本競輪学校) 193p


★男子

首位で最終種目を迎えた窪木。2連覇を目指す。



僅差で2位の橋本。もっとも得意とするポイントレースで逆転のシナリオはできている?



いよいよ40km、160周で争われる決戦のポイントレースがスタート。



3回目のポイント周回が過ぎると、小林、荒井佑太(法政大)、池邊聖(慶應義塾大学)、安田京介(京都産業大学)ら6名の逃げグループができ、ポイントを獲得していく。



窪木と橋本が激しい牽制合戦となり、2人は小林ら逃げグループにラップされてしまう。



窪木と橋本が順位を落とす中、今度は原田と近谷のトップ争いとなるが、ここでも牽制の動きが生まれる。



終盤に再び逃げグループができ、集団をラップ。中でも小林と池邊は序盤の逃げにも乗っていたため、これで2ラップアップ。40Pを加算した小林が一気に上位に上がり、俄然優勝の行方はわからなくなる。



厳しい戦いが続く中、残り数周のところで橋本が単独で飛び出すと、すかさず窪木が追う。しかし最後は橋本のスピードに窪木がついていけず脱落。残り2周で橋本だけがラップに成功。しかし3位まで順位を上げるにとどまった。



最終的にポイントレースで71Pを上乗せした小林が初優勝。


「ゴールしたあとも自分が優勝できたのかわからなかった」という小林。5種目終わって上位陣とは点差があいていたため、ラップを狙っていたというものの、それでも2ラップは予想外だったと笑い、「自分一人ではできなかった。一緒に逃げてくれた選手たちのおかげでもある」と謙虚に話した。
終盤の逃げでラップに成功した一丸が2位にジャンプアップ。なんとか表彰台を死守した橋本は、最後のラップは「考えていたシナリオの一つ」と話すも、「ラップダウンが余計でしたね」と苦笑。



表彰式。左から2位一丸、1位小林、3位橋本。


男子オムニアム最終結
1位 小林泰正(日本体育大学) 199p
2位 一丸尚伍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 187p
3位 橋本英也(鹿屋体育大学) 187p