メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット / 伊藤計劃

シンガー「戦争請負会社」「ロボット兵士の戦争」を読めばわかるように、戦争の現場は変容しつつあります。本作の舞台は、現実をさらに一歩進めたところにある、管理社会ならぬ管理戦場なのです。この設定は引き込まれます。中盤のドンパチはゲーム未プレイの僕からすると長く感じました。ゲームのノベライズだから仕方ないのかもしれないが、中盤をもっと圧縮すればもっと面白かったと思う。それで終盤からまた面白くなるんですね。ああ、伊藤さんは本当にメタルギアが好きなんだな、と伝わってきます。たとえ全米を敵に回しても俺はメタルギアを語り継ぐぞ、というあふれんばかりの好きが伝わってくるのです。
そして、そのように語り継がれ、読者に影響を残すことは伊藤さんの理想でもあったのでしょう。肉体は死んでも、物語は残る。ジーンなくともミームあり。だから僕も北半球を敵に回しでも伊藤計劃「虐殺器官」を語り継ぐよ。本書よりも、こっちな。
余談。わざわざこの本を読むために「メタルギア・ソリッド」シリーズを始めました。まあ、PS3がなかったので4ではなく3をやったのですが。まあ、ポケモンのほうが面白かったです。おい。まあ仕方ないね(「これまでのビデオゲームの話をしよう」参照)。