小スペース、スタジオでのダンス公演が面白い!

連日ダンス公演が目白押しの首都圏のダンス・シーンにおいて、刺激的な実験が行われているのが小スペースでの公演です。何も今に始まったことではなく、神楽坂のセッションハウスやdie pratze(同じ経営による新劇場・日暮里のd-倉庫も)、横浜のSTスポットでは劇場主催のフェスティバルや自主事業がおこなわれ盛況。こまばアゴラ劇場でも主催・提携公演において新進アーティスト/カンパニーの公演が増えています。
セッションハウスでは、気鋭にレジデンス・アーティストとしてステップアップの場を与え、STスポットでは、10年以上続く「ラボ」シリーズにおいて若手発掘をおこなっています。die pratzeの「ダンスがみたい!」新人シリーズも軌道にのっているようですね。近年では、これらの劇場の主催する公演に文化庁芸術団体人材育成支援事業や芸術文化振興基金の助成も下りるように。より質の高い企画を期待したいところです。
さらに、小スペースでの公演というと、個人のスタジオ等での上演が目立つようになってきました。思いつくものを挙げてみましょう。先日は大ベテランのケイ・タケイが世田谷は豪徳寺にあるスタジオで自身の代表作「LIGHT」シリーズを再演して話題を呼びました。同じく世田谷の千歳烏山にあるStudio GOOでは、同スペースを管理する吉福敦子を中心に女性ダンサー4人が集う「ばら色の日々」と題するシリーズを開始しています。高襟(ハイカラ)主宰の深見章代は、自ら経営するDance Studio UNOにおいて高襟公演のほか、毎月1回、自身と垣内友香里、根岸由季、カワムラアツノリとともに「東京ダンスタワー」を一年以上継続中。神奈川は南林間にスタジオを持つダンスカンパニーカレイドスコープも主宰の二見一幸のほかメンバーによるダンスショーケースを行います。フラメンコでも鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団がdesnudo Flamenco Live と題して代々木上原ムジカーサにて連続公演を展開。六本木のイベントスペース、Super Deluxeにおいても諸ジャンルのダンスパフォーマンスやコラボレーションが続々と。
劇場やプロデューサーに認められ発表の場を得ることも重要ですが、アーティスト自身が自ら積極的に発表の場を設け、創作を世に問うという空気がでてきたのは望ましいこと。コンテンポラリー・ダンスでは、一時のコンペ熱が冷めてきており、そのこととも連動しているかもしれません。自身のやりたいことを貫いたり、制作面のリスクを減らして実験的な企画をやりたい場合に、小スペースでの公演が多く観られます。面白い公演が散見されるのも当然でしょう。観客も密な空間でアーティストのパフォーマンスを肌で感じられるのはうれしいところ。今後も小スペースでの公演が注目されます。