セキュアなUSBメモリ

よく「本格的なXXX」を謳う製品で「今までのXXXは冗談みたいなものだった!」というフレーズがあるが、あまりに本格的すぎるとその製品自体が「冗談みたいなもの」になることがある。
というわけで、その恒例といえるかもしれないのがIO DATA ED-SシリーズのUSBメモリである。
http://www.iodata.jp/prod/usbmemory/easydisk/2005/ed-s/index.htm
何しろ、「パスワードを5回間違うと内容が読めなくなる」のである。たいていのこういう製品はソフトウェア的に処理したりされているが、ED-Sは結構ハード的に処理してしまう。(というか、メモリにアクセするためのソフトは機械内部にハードコードされているらしい。メモリを挿すとドライブが二つ登録され、その一つがアクセス用のソフトを立ち上げる。)
しかも、「耐タンパ性を考慮した設計」らしいので、物理的にメモリを取り出してもだめらしい。正確にはAES暗号化済みの状態でデータを格納しているらしい。
専用サポートソフトで「パスワードを間違った回数をリセット」出来るが、これが出来るのは「あらかじめそのシリアルのソフトでフォーマットしたメモリだけ」なので、すでに「やってしまった」分についてはどうも出来ない。ちなみに、フォーマットには付属の専用ソフトが必要だ。
この製品には他にもデータを暗号化して分割保存する「e割り符」*1の特別版がついている。ED-Pについているe割り符は分割比率を変えられるが、このバージョンは一対一固定。ひょっとして「原理的に解読不能な暗号化」である「データを同サイズのキーでXOR処理」とかしているのか?*2この特別版はED-Sの機能の一つ「揮発性フォルダ」を利用するもので、割り符から複合したデータをこの揮発性フォルダの中に復元する。この揮発性フォルダは「次にログインしたときに自動的に消去される」という代物。持ち出した資料を参照した後は痕跡も残さず消すことが出来る。いわゆる「xxx方式で消去」というやつを内部的にやってしまう。あー、この辺に至ってはもうかなりやり過ぎかも(笑)。
というわけで、「冗談のように堅い」USBメモリなのである。私も一度データをとばしました(笑)。用途はくれぐれも「データのコピーの持ち出し」に限定しましょう。*3
用途さえ間違えなければ結構有用な物体である・・・が、タダでさえ高価なED-Pシリーズの派生品で、それよりもさらに高いのでよろしく。*4
最初は「受注生産品」だったが、今では通常の商品になった様子。個人情報保護法のせいか?私が入手したときには「さすが受注生産」と思うような「単なる白い紙箱」に入ってやってきましたが、今はもうちょっとかわいげのある入れ物に入っているようです。その代わり、「EUの環境基準にマッチしたバージョン」が受注生産品として追加されました(笑)
なんというか、個人的にはかなりHitな商品ですが、普通に考えるとかなり「?」レベルですよねぇ。でも今はこれがソフマップとかでさりげなく売られているのです・・・

*1:両方ないと復元できないので「割り符」と言っている。

*2:たぶん、それはない(笑)

*3:パスワードを記録したファイルを入れてあった。当然、コピーだったが。

*4:ED-Pシリーズは「プラチナム」の名を冠する、「メモリブロックのエラー代替処理」とかかなりマニアックな機能を搭載した製品。他のメモリより一回りは高い。