罪と罰3

ドストエフスキー著、亀山郁夫訳、光文社古典新訳文庫
罪と罰〈3〉 (光文社古典新訳文庫)

いろいろあって読了に時間がかかった。ドストエフスキーの大作、亀山新訳の完結編。苦悶を続けたラスコーリニコフがついに自首する。
読了して思ったのは、やはり「カラマーゾフ」の方が遠大な物語だったということ。ただ「罪」という、いわばシングルイシューについての掘り下げはやはり深い。特に怪人、スヴィドリガイロフの自殺には考えさせられた。
また、ポルフィーリーのキャラクターについては謎が深まった。彼は冷徹で意地の悪い人間だったのか? 少なくとも彼は「自首扱いになる」との約束を守っている。そのことがエピローグで

しかも真犯人に対してはなんら明白な証拠もなく、嫌疑さえほとんど生まれていなかった段階で自首して出たという事実(ポルフィーリーは完全に約束を守りきった)

という具合にさらりと紹介されているのも、余韻を残した。