7月の映画

『オマールの壁』『山河ノスタルジア』『追憶と、踊りながら』『マイケル・ムーアの世界侵略の進め』『日本で一番悪い奴ら』『フレンチ・コネクション』『ドーベルマン
今月は7本です。この調子では今年も100本見ることは出来そうにありません。でも80本ぐらいまでは行くと思うので、これまでの最高鑑賞数にはなりそうです。
振り返って簡単な感想を書こうと思いましたが、6月は結局『64』だけになりました。短い感想も書くとなれば、それなりに時間が必要で、今月は『日本で一番悪い奴ら』と先月に続いて「警察モノ」です。

北海道警察本部の実際の話、拳銃摘発に絡む警察内部の腐敗振りを描きます。裏金作りもチラッと出ますが、『64』のように警察官僚のトップが抱える問題には手をつけません。原作があるようですが、主役となった本人の告白本みたいですから、国家警察の構造的な腐敗までを暴くとなっていません。
この実際の事件に絡む小説を、佐々木譲がけっこう書いています。なんだろう『笑う警官』『警視庁から来た男』がそうだと思います。こちらのほうはかなりの上層部が絡んで真相を隠そうとしています。また、この事件に絡んで刑事が「不当な異動」で交番勤務になって、捜査権がない中で事件を解決する『制服捜査』はかなり面白い連作小説です。それでいて警察内部の階層差別を強烈に書き込んでいます。
そんな目でこの映画を見たものですから、新人刑事が泥にまみれながら「拳銃摘発のエース」と呼ばれるようになる諸星要一(綾野剛)の姿は、痛ましく感じます。時折垣間見せる本来の「弱さ」が哀れさを誘います。「利用された男」「切り捨てられた男」を見せますが、辛辣な警察機構の批判をしないのがこの映画の弱さです。
佐々木譲の小説と違う、と思いました。
『オマールの壁』はfbに書きました。『山河ノスタルジア』は映画サークルの11月例会に決まりましたので、その時詳しく書きます。
『追憶と、踊りながら』は7月例会でした。参加数は厳しいものです。この映画はカンボジア系中国人が主人公です。60歳ぐらいの女性が高級老人ホームで暮らしていて、そこに押し込んだ息子をちょっと恨んでいるという映画です。その息子が死んで、彼の恋人だった男(息子はゲイでした)は、最愛の男の母親の面倒を見たい、という映画です。言葉が通じない中で、人間はどのようにお互いを理解し、その気持ちがどのように動くのか、それを映像で表現する映画でした。
スリリングな人間関係ですが、映像的には動きの少ない映画です。