小粋なアコースティックデュオ

Paul & Fred Acoustic Duo


ポール・バレア(おそらくフランス系の苗字なので、「バレル」と発音しても良いのかもしれません)という名前を聞いてピンと来る方は、あまりいらっしゃらないと思います。きょうの日記の最初の主人公は、このハリウッド生まれの男です。

フランク・ザッパのもとを去ったローウェル・ジョージは、新しいバンドのメンバーを集めていました。自身がギターを弾き、同じくザッパ・フリークだったテキサス生まれのウィリアム・ペインがキーボードを担当することに決定。さらにローウェルは、アイオワからカブ運搬用のトラックでやってきたドラマー、リチャード・ヘイワードを「バンドメンバー募集」の広告で探し当てました。残るはベーシストです。

ローウェルは、ベースギターを手に、ある昔馴染みの男を訪ねます。「新しいバンドでベースを弾かないか」。男は答えます。「ローウェル、知ってんだろ、俺はギタリストだぜ」。ローウェルは「なに、弦がちょっと少ないだけじゃないか」と食い下がりましたが、その男は結局ローウェルの誘いを断ります。ローウェルは仕方なく、同じくマザーズにいたロイ・エストラダをベーシストに招き入れ、ここに、リトルフィートというバンドが誕生しました。1969年、ロサンゼルスでの話です。

リトルフィートのベーシストになりそこねた男、それが、きょうの主人公の一人、ポール・バレアでした・・・・・・・その選択が正しかったのか間違っていたのかはともかく、首尾よくメジャーデビューを果たしたリトルフィートでしたが、商業的にはまったく成功しませんでした。そのことに嫌気がさしたのか、セカンドアルバム発表後のツアー途中で、エストラダがキャプテンビーフハートへ北ると、リトルフィートは早くも空中分解の危機を迎えます。

しかし、ルイジアナから強力なリズムセクションを輸血したのを契機として、バンドには新しい方向に進みはじめます。ローウェルは作品作りとスライドギターに専念するため、バンドはもう一人のギタリストが必要になりました。白羽の矢が立ったのが、あのバレアでした。今度は、ベーシストではなく、ギタリストとして招待されたのです。首を縦にふったバレアは、リトルフィートの一員になりました。

新生リトルフィートの新作「ディキシー・チキン」に、「フール・ユアセルフ」を提供したのが、フレッド・タケットという、ケンタッキー生まれの男でした。フレッドとローウェルも古いつきあいで、ローウェルがまだジミー・ウェッブの屋敷に入り浸ってシタールなどを弾いている時代から面識があったそうです。タケットがリトルフィートに正式加入するのは1988年のことですが、実は、こんなに古くからのコネクションがあったのです。

このバレアとタケットは、1999年から、リトルフィートと並行して、アコースティック・デュオとしても活動しています。セットリストは、リトルフィートの新旧ナンバーが中心ですが、フルバンドとはまた一味違った、リラックスした雰囲気で大いに楽しませてくれます(フレッドは、ギターだけでなく、マンドリンやトランペットなどもこなすマルチプレーヤーですが、このデュオでは、ギターとマンドリンを弾きます)。

2005年、DVDもリリースされましたので、あわせて楽しんでもらえれば、二人の魅力がもっと味わえると思います。

Paul Barrere and Fred Tackett Acoustic Duo 2005-01-27
Grand Terraza, Negril, Jamaica
(ストリーミングで聴く → 64kbps / VBR)

Ain't Had Enough Fun
Hate to Lose Your Lovin'
Heaven Forsaken
Two Trains →
Rocket in My Pocket
Trouble →
Roll Um Easy
Clownin'
Tears of Rage
Missin' You
Old Folks Boogie
Fool Yourself
Down on the Farm

音源提供: Live Music Archive

Sights & Sounds [DVD] [Import]

Sights & Sounds [DVD] [Import]