シルビライ

イーグルス出世作「テイク・イット・イージー」、いい歌ですね。

この歌は、ジャクソン・ブラウングレン・フライの共作なわけで、イーグルスのみならず、ジャクソン・ブラウン個人もしばしば録音しています。

"Take it easy."は、米語で、「気楽にやれよ」とか「問題ないよ、うまく行くさ」みたいなニュアンスなんでしょうか、仲間同士のあいさつによく使われます。この定番フレーズ、最近のライブで、ジャクソン・ブラウンが漫談のオチに使っています。あれやこれやしゃべった後で、「ま、いいんじゃないの、気にしない気にしない」みたいな感じに、です。
2002年5月、ボルティモアで行われたアコースティックライブでは、アンコールの最後にこの曲をもってきました。「最後は、イーグルスのヒットナンバーだよ」。客はもう何を演るのかを察して大盛り上がり。「国際的に大人気の歌でさ、フィンランド語やオランダ語スペイン語や中国語にもなってるんだよね、知ってた?」、とつづきます。「でもね、訳詞がちょいとヘンだったりしてさ・・・・・」。ジャクソンは、中国語バージョンとスペイン語バージョンの???フレーズを取り上げてひとくさり。笑いを取ると、その最後に「テイク・イット・イージー」。会場はまたまた大爆笑。
[MP3] "Take It Easy" - Jackson Browne 2002-05-18
同じ英語圏でも、オーストラリアでは、あまり"Take it easy."は使わなかったような気がします。それにかわって、同じようなシチュエーションでよく耳にしたのが、「シルビライ」、"She'll be right."。一般的な表現で言い換えれば、"It will be OK."みたいな感じだと思いますが、なぜか、"She"なんです。そこで、「ね、そのシルビライの『彼女』って、誰なんだい?」と尋ねると、一様に肩をすくめたりゲラゲラ笑ったりしながら、「そんなの知らねぇよ」と来ます。いいでしょ、この感覚。ともあれ大いに気に入って、私も使いまくりました。そんなある日、某州立大学の副学長さんにお呼ばれされてディナーをごちそうになった晩、お別れの際に「シルビライ」とやったら、彼女、目を丸くしていました。どうやら、あまりお行儀の良いフレーズではないようでした(笑)。
世界金融危機にまつわる不景気な話に、ジミンが経済対策の目玉に掲げたトンマな定額給付金・・・・・世の中トホホなことばかりですが、ま、気にしない気にしない。シルビライですよ、ご同輩。

総理大臣の漢字テスト

わが国の総理大臣は、漢字がよく読めないらしい。非番の今朝、ワイドショーを見ていたら、面白いトピックが流れてきました。では、問題です。下の漢字の読み方は?
(1) 詳細
(2) 踏襲
(3) 頻繁
(4) 未曾有
麻生太郎さんの回答は、(1)ようさい、(2)ふしゅう、(3)はんざつ、(4)みぞゆう。で、そのことを記者から問われると、「それは単なる読み間違い、もしくは勘違い。はい」と一蹴して退散(笑)。

ろくすぽ文字の読めない一国のリーダーというものが「みぞゆう」かというと、そうでもなくて、アメリカにもいました。アンドリュー・ジャクソン、第7代アメリカ合衆国大統領です。
ジャクソンは、1767年、カロライナの開拓地で生まれました。当時のカロライナ開拓地というのは、ジャングル、とよぶにふさわしい深い森林地帯だったようで、満足な教育は受けられなかったといいます。さらに、独立戦争で肉親の大半を失ったアンドリューはイギリス軍の捕虜になるという苦境にも立たされます。しかし、第二次独立戦争とも称される米英戦争で勇敢に戦い、「オールド・ヒッコリー(ヒッコリーは、東部の森林地帯に自生するサワクルミの木。材質は重硬で、強度に優れる)」の名で尊敬を人びとの集め、大将にまで登りつめます。
戦後、政界に転身したアンドリューは、下両院議員・最高裁判所勤務の経歴をへたのち、フロリダ州知事になります。そしてついに、1829年、合衆国大統領に就任します。
ジャクソン大統領の執務室には、毎日おびただしい数の文書が回ってき、彼はそれらを決済しなくてはなりません。文書の内容が適切であれば、"All Correct"とサインするのだそうです。ところが、アンドリューは読み書きが苦手、しばしば発音通り"Oll Korrect"と綴ってしまったそうです。側近からその癖を何度も注意されたジャクソン大統領は、「ええい、めんどうじゃ」と言ったかどうか別として、堂々と"O.K."と記すようになったそうです。
「OK」の由来としては、このジャクソン大統領起源説のほかにもいくつかあるようですが、私は、この話が好きです。
ジャクソン大統領は、議会から不信任決議を出された、アメリカ史上「みぞゆう」の大統領ではありますが、その統治時代は「ジャクソニアン・デモクラシー」と呼ばれるほど、民主主義が大いに進展した時代でもあり、現行の20ドル札にジャクソン大統領が描かれていることからも、彼の功績が今なお高く評価されていることをうかがえます。
さて、学習院大学政経学部卒業後、スタンフォード大学大学院、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスへの留学を経験するなど、人並み以上の学歴を有するわれらが麻生総理大臣。この人の肖像が日本円の意匠に選ばれる日は、やってくるのでしょうか?