「タンタンの冒険/ ユニコーン号の秘密」


チンチンが言いにくいとしても「ティンティンの冒険」でいいじゃん!…とは、まず最初に言っておく。
ベルギーの漫画家、エルジェによって描かれた漫画(バンド・デシネ)『タンタンの冒険旅行』シリーズを、スピルバーグが映画化した「タンタンの冒険/ ユニコーン号の秘密」を、3D字幕版で観てきた。
まあ…、もうこの手の映画、しかもこのクオリティのものを観たら、「あー、面白かった!」という感想で、それでおしまい。屁理屈こねようもないのだが…。
アニメ作品を劇場で観ることにいまだに抵抗があるような自分なので、本来ならスルーしかねないところだったが、「シネマハスラー」の今週の賽の目映画に決まったのがきっかけで、観てみる気になった。でも、それきっかけで観て良かった。
クオリティの高さは最初から疑ってなかったけど、意外にも「万人が楽しめるスピルバーグ作品」というだけでなく、ややマニア層にも受け入れられる要素の多い作品でもあった。
まず共同プロデューサーにピーター・ジャクソンが名を連ねている時点で、CGの完璧さは保証されたようなものだったし、共同脚本にエドガー・ライトも関わっている。さらにエドガー・ライト人脈か、サイモン・ベッグニック・フロストの最強コンビまで出演しているとは思わなかった。…なんだ、これも「宇宙人ポール」の予習の一環として観れたんじゃん。
いやはやとにかく映像が凄い。モーションキャプチャで実写に限りなく近いアニメ作品で、しかも3Dという時点で、映像的な驚きには事欠かない。キャラクターのなにげない仕草ひとつとっても、「これどうやって撮って、どんだけ手間かけてこの絵にしてるんだろう…」と感心しきり。
各キャラクターが実際に演じた役者の表情とかをすべて表現しているので、確かにこれはアニメに有名俳優が吹き替えを担当したというものでもなく、実際に演技してもCG処理されると役者本人から離れてしまいそうだがそうでもなくて、ちゃんとその俳優が演じているのがわかるという、しかもコミックの絵をややリアルにしたらこうなると想像できる範囲内での、絶妙なバランスの映像化。
ちゃんと肉体を動かして撮影したものをキャプチャしているので、動きの躍動感もリアルなのに、そこにアニメ的特殊表現を加えているので、ほんとに夢のような世界に自分も入り込んでいるような感覚になる。
お話的には、古今東西共通の冒険譚で、シンプル。それだけに安心して観てはいられる。が、次から次にドキドキハラハラの場面が息もつかせぬスピードで畳み込んでくるので、退屈する暇がない。エンターテインメントとして超一流というのは、もうこんなレベルまできてるのか…と呆然とした。
内容的に「パイレーツ・オブ・カリビアン」と重なる部分が多過ぎて、主人公ティンティンの魅力を発揮する場面が少ないような気もするが、この作品もシリーズ化されていくだろうから、主人公自身に隠された謎(あるのかどうかわからないけど)などには、おいおい迫っていくのかもしれない。…いや、どっちかっていうと「巻き込まれ型」で、ティンティンの没個性ぶりが実はこのシリーズのキモなのかもしれないな。

ペーパーバック版 なぞのユニコーン号 (タンタンの冒険)

ペーパーバック版 なぞのユニコーン号 (タンタンの冒険)

あ、そういえば今日の晩飯は坦々鍋(タンタン鍋)だった。…ティンティンだっつってて、無意識のうちに擦り込まれてるのかな…。
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