・この間大量に購入した飯嶋和一さんの作品を読んでいます。今は「神無き月十番目の夜」を読んでいますが、重い。ここ最近、ライトノベルやとても愉快な荒山徹作品ばかりを読んでいたので、とても重いです。

・通勤中、大量の空き缶(を詰め込んだゴミ袋)を乗せた自転車をこいでいるおじさんを見かけました。おじさんの前方からは、4台の自転車が列になってこちらに向かっています。


 そこはとても狭い道で、すれ違うことなどできそうにありません。どちらかが道を譲らなければ、通ることができないのです。おじさんは黙って自転車から降り、前からくる4台に道を譲りました。


 1〜3台目が道を通り抜け、4台目が通ろうとした瞬間、道をふさぐおじさん。


「男はわしの後や」


 1〜3台目の自転車に乗っていたのは若い女性、4台目に乗っていたのおじいさんでした。おじさんは、とても自分に正直な人だったのです。その後、おじさんとおじいさんは狭い道の真ん中で口論となっていましたが、私は無視して職場へと急ぎました。


 今日も一日平和でした。

ご恩と奉公のお話 第1話

 このお話の主人公は、権田哲郎という男子高校生です。どこにでもいる普通の男子高校生です。このお話は、そんなどこにでもいるような(それこそ、うざいほどいるような)男子高校生・権田哲郎が朝起きるところから始まります。始まってしまいます。ふん! 勝手にはじまってしまえばいいじゃないの!


「うーん、ムニャムニャ。黒百合さん、そんな大胆な。ああ」


 クラスメイトで、男子生徒から「マドンナ」「生き仏」と呼ばれている黒百合さんの名前を艶かしく、それでいて激しく、それでいて甘く呟きながら、枕に抱きついている権田哲郎。その姿はおぞましく、非常におぞましく、とてもおぞましく、なんかもうどうでもよくなるほどです。死んだらええねん。


 死んだらええねんと思っているそんなとき、権田哲郎の部屋に入ってくる人がいました。肩まで伸びた黒髪と、大きな目が特徴の、セーラー服姿の女の子です。セーラー服の上からは、クマの顔の刺繍がしてあるエプロンをつけています。


「お兄ちゃん、起きてー? 朝ごはん、できてるよー」


 少女は、ベッドの上で、枕を妻にして寝ている権田哲郎を両手で揺らし始めました。権田哲郎を起こそうとしているのは、彼の妹(当たり前の話ですが、義理です。義理)である権田美耶子さんです。ちなみに、現在の権田一家は、権田哲郎と美耶子さんの2人暮らしです。両親は仕事の都合で家を空けがちで(中略)結局、美耶子さんが家事の一切を引き受けているのでありました。美耶子さんの家事は、朝ごはん&昼食用のお弁当を作りつつ、ダメな本当にダメな権田哲郎を起こすところからはじまるのです。


「起きないと遅刻するよー」「今日は朝イチで小テストだよー」


 美耶子さんがどんなに揺らして呼びかけても、権田哲郎は起きません。「く、くろゆりさ…あふっ」とか呟きつつ、枕を抱きしめています。


「仕方ない、最後の手段…」


 そう呟くと、美耶子さんは権田哲郎の部屋からでていきました。しばらくして戻ってくると、手にはフライパンが。
美耶子さんは、寝ている権田哲郎の前にたち、「せえの」とフライパンを振り上げました。


「ま、待てー! 貴様は兄を殺す気かー!」


 ものすごい勢いで起きる権田哲郎。そんな権田哲郎を見て、美耶子さんは微笑みます。


「はやくごはんを食べちゃってよ。お弁当もできているし」


「あ、弁当なんだけど」


「なに?」


「今日からいらねえ」


「え、なんで」

 
 弁当がいらない理由が気にかかるところですが、ここで悲しいお知らせです。このお話の「このお話の主人公は、権田哲郎という男子高校生です。どこにでもいる普通の男子高校生です」から先の部分は、全て嘘です、美耶子さんなんて妹は権田哲郎にはいませんし、権田哲郎の両親も権田哲郎と同居しています。美耶子さんがこれからでてくる予定もありませんし、この間父親がリストラにあったので「両親は仕事で家を空けることが多い」ということもありません。「主人公は権田哲郎という男」ということだけを伝えたかっただけなのですが、ただ単に伝えるだけではおもしろくないので、嘘を書きました。申し訳ありません。さっき、親にも「はじさらし!」と罵られたので、二度とこんなことがないように気をつけます。


 そんなわけで、2話目からは権田哲郎の物語が始まる予定です。