『アフタヌーン』2018年6月号 「蛇の山」窪田航

『猫が西向きゃ』01「The tail does not always face the east.」/02「The tail goes back in time.」漆原友紀
 ――空間が不動化してしまう「フロー」という現象が各地で起きていた。フロー処理業者「広田フロー」のヒロタとアルバイトの「ちまちゃん」と猫の「しゃちょう」は、七叉路に増えた三叉路や季節外れの夏桜などと遭遇する。

 漆原友紀の新連載。時代はほぼ現代。現象を現象としてあるがまま受容するという姿勢は『蟲師』にも通じるところがありました。
 

『天国大魔境』05「ヒルコ(2)」石黒正数
 宿を襲う化物との戦い。なぜか化物を素手で殺すことができるマルですが、その理由はまだおあずけ。

ヴィンランド・サガ』149「バルト海戦役(25)」幸村誠
 父親の仇フローキを目の当たりにして、理性が飛んでしまうトルフィン。

「蛇の山」窪田航(くぼた わたり)
 ――准が蛇の抜け殻を昌也に見せに行くと、昌也の姉・葉奈が水を浴びていた。その後、葉奈は池に入って自殺した。昌也は「姉ちゃんは殺されたんだ」と呟いた。遺言を実行するため、熊の出る山に蛇の抜け殻を探しに行った昌也は、准に葉奈が死んだ理由を告げる。

 四季賞2018年春のコンテスト四季大賞受賞作品。蛇の抜け殻の使い方が巧みです。不意に明らかにされる復讐も、二人それぞれの思惑による熊との二段構えで凝っています。どう調理しようと後味が悪くしかなりえないような話が、リドルストーリーっぽくすることできれいにまとまっていました。
 

『しったかブリリア』10「ボケ」珈琲
 すれ違ってどうなるのかと思えば、急接近して次回最終回。

『ダレカノセカイ』07「カッコウノコドモタチ」三都慎司
 加茂野ゆかりのことを知らない奈緒がいる世界で、その奈緒と交流し、少しだけ楽になれたゆかりでしたが、そう言えばこんな登場人物もいました。第1巻が今月号ともども発売中ですが、あまり説明しない作風なので連載で読むより単行本でまとまって読む方が適してると思います。じっさい今月号の巻末コメントで「現代私達の住む日本にやってきたゆかりちゃん」とあって、そうだったのかと驚きました。

『バギーウィップ』13「ひとりぼっちの戦い」大野すぐる
 

『シンギュラリティは雲をつかむ』15「雲をつかむような話」園田俊樹
 あっと言う間に最終回です。しかも第3巻は電子版のみってふざけてますが、それくらい売れてないってことなのでしょうね……。突然とち狂った感のあるジジイですが、カラコの希望もヒナチカの復讐もひとまず片づいていて、投げっぱなしにせず作品としてちゃんと完結させてくれたのはありがたいです。基本的に著者は人間ドラマのひとだと思うので、ロボットや戦闘機は不利だったのかな……。
 

  


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