読んでよかった漫画

　町田洋『惑星9の休日』（祥伝社）。『夜とコンクリート』（こっちの方が初期短篇集なのね）を読んで気になりつつも、今まで手にしなかっや。読んでみたら、なにこれ、メッチャいい。驚くほど。初期に見られた輝きをそのままに、さらに巧くなった感じがする。暑さと切なさが募る短編集で、夏休みに合う。暑いこの時期に読めてよかったのかもしれない。人が少ないのがいいな、この惑星。

惑星9の休日

　沙村広明『春風のスネグラチカ』（太田出版）。ロシア革命を巡る陰謀あれこれを描いているのだが、本当にこの人は容赦なくて、時折り怖くなる瞬間もある。こちらはロシアが舞台なだけに、寒さを感じるピリッとした空気がいい。エロティックさもあり、ミステリーもあり、政治劇でもあり、家族の因果でもあり、壮大長大になりそうな物語を一冊でビシッとまとめてくるあたりの剛腕がいいです。　

春風のスネグラチカ (F COMICS)