将来の市場価格の動きは、新しい情報と市場参加者の期待との「差」の部分によって決まる

ちょっとだけ古めの本です。個人的には、この人の「語り口」は鼻につく(好きなのか嫌いなのかどっちなのか)。

  • わからない商品に投資しなかったからといって損をすることはほとんどない
  • リスクの大きさがわからなかったり、リスクの内容に自信がもてなかったりするのならば、購入金額を減らすことがなんといっても確実なリスク管理の手段
  • A格の銀行とBBB格の銀行では、一年物の債券の利回りに直して約1.5%もの差があると市場は評価している
  • 無リスクでかつ有利という運用対象には必ず理由がある。いずれも有利性を大規模かつ長期には維持できない
    • 信用リスクなど隠れたリスクがある
    • 過去に築いた含み益などの原資がある
    • 制度的に他の勘定や異時点の顧客の資産を流用できる歪みがある
  • どういった為替リスクを取るかは、資産配分(アセット・アロケーション)と同時に決定されるべき
  • 同じくらい有望な銘柄であれば、10銘柄に均等に投資するポートフォリオよりも、100銘柄に均等に投資するポートフォリオの方が期待リターンとリスクの関係は有利
  • 株式投資の場合に、先物ETFで「売り」のポジションをとってそれが意味があるのは以下の場合だが、個人投資家の場合、これに具体的に当てはまるケースは滅多にない
    1. 株価が下がりそうだということをある程度以上の確度をもって予測できるとき
    2. 一時的にリスクを縮小したい事情があるときに、株式を売却するよりも、「ヘッジ」のほうがコストが安い場合
  • ある運用商品の手数料が大きいと感じた場合は、その先の検討は99%は必要ない。実質的な手数料がよくわからない場合には、「見送り」が原則
  • 若い人の場合、現在の狭義の資産運用をどうするかというよりは、文字通り自分自身の可能性に「投資」するほうが、経済的にも収益率が高い。稼ぐ能力を持った自分自身も自分の運用資産の一部
  • リスク資産(株式と外貨建て資産)は年間最悪3割の損
  • ドルコスト平均法は「単なる気休め」。ドルコスト平均法自体が有利なのではなく、株価が下がっている状態はある意味でチャンス
  • パッシブ運用のメリットは
    1. コストが安いこと
    2. キャッシュポジションが小さいこと
    3. 中身がわかりやすいこと
  • 理論上は、「益利回り(PERの逆数)+利益成長率」と「金利+リスク・プレミアム」を比較して、前者が大きければ株価は割安、後者が大きければ株価は割高
  • 投資で儲けるために、マクロ経済の分析に期待を寄せることは、プロ・アマの別を問わず、ほとんどの場合有効ではない
  • 株価に限らず将来の市場価格の動きは、新しい情報と市場参加者の期待との「差」の部分によって決まる
  • (ファンドの信託報酬等のコストの差は)「確実な(コストの)差」は「あるかどうかわからない(将来の運用結果の)不確実な差」よりも意志決定上のウエイトがはるかに大きい。実際は0.2〜0.3%程度の差ですでに決定的。
  • 税引き後の所得から積み立てることは年金の利用に比べて著しく不利
  • プロとアマは同じ材料による料亭と家庭料理の差
  • システム運用は、運用を始める時点で、いわばまとめて判断しており、運用の途中では、「当初の判断を変えない」という判断をしている。時間とともに増える情報を利用しないのは合理的ではない

本書で好意的に紹介されている文献