ハイアール、奇瑞の海外進出


家電、携帯電話、PCなどの世界の多くのメーカーは中国に生産拠点を持っており、メイドイン中国の製品が世界中にあふれています。実際に中国で生産しているのはEMSあるいはODMで、ブランドを持っている製品メーカーからの受託生産であり、中国メーカーのブランドで海外で販売されているケースはあまりありません。iPadは中国で生産されているものの、ブランドはアメリApple社であり、中国ブランドではない。ブランドと生産会社は別モノです。
特に日本市場は優秀なメーカーがたくさんある上に、消費者も日本ブランドへの忠誠心が高いためか、世界で成功しているサムソンや現代自動車でも日本市場での販売はうまくいっていません。いわんや後発の中国ブランドはほんの一部の廉価家電ブランドを除いては日本市場に認知されていないのが現状です。
9月中旬に、家電のハイアール、自動車の奇瑞の二つのブランドが海外攻勢を強めるというプレスリリースが発表されています。生産工場としてブランドがあまり表に出なかった中国メーカーが、世界に向けて中国ブランド発信を強めています。日本企業にとって中国は重要な市場ですが、世界市場では中国は競争相手でもあるという現実を直視、アンテナを高くして行きましょう。


1)ハイアールー>日本市場
中国最大の家電メーカーであるハイアールは02年に三洋との提携により日本市場に進出していましたが、単身独身者向けの小型冷蔵庫以外では日本市場に食い込むことができていません。ところが、ハイアールの日本販社ハイアールジャパンセールスが9月15日のプレスリリースで「中型大型の白物家電を投入し、白物総合家電ブランドとしてスタートする」と宣言しました。


*** 9月15日プレスリリース抜粋 ***

 ハイアール釻Haierは、このほど、「実用家電」の白物家電総合ブランドとして、日本市場で本格的に事業を展開いたします。そのフラッグシップ商品としてこの冬、洗濯・乾燥容量最大級の10kg洗濯・8kg乾燥ドラム式洗濯乾燥機「JW-MD1080A」を全国各地の家電量販店、ホームセンター、大手量販店にて販売いたします。商品名はふとんも洗いやすく、乾燥お手入れも出来る「ふとんラクラクドラム」です。
 当社は、これまで主に、単身者、少人数世帯を対象にした冷蔵庫や全自動および二層式洗濯機などターゲットを絞った商品を展開しておりました。今回、国内最大容量であるドラム式洗濯乾燥機の発売を機に、今後は、中型・大型の冷蔵庫、洗濯機の分野にも、実用的かつコストパフォーマンスに重点を置いた当社ならではの商品展開を図り、「実用家電」としてあらゆるお客様を対象とした白物家電総合ブランドとして新たにスタートいたします。


(リリース全文は→http://www.haierjapan.com/newsData/PressRelease100915.pdf


2)奇瑞ー>ブラジル市場
一方、中国の奇瑞汽車が4億ドル(約300億円)投資して、ブラジルサンパウロ州に自動車工業団地を建設すると9月18日に発表しました。2013年には年間15万台規模の自動車工場を立ち上げる計画です。奇瑞汽車はCheryというブランドの乗用車を販売しており、フォルクスワーゲンなどの海外ブランドの中にあって、中国ブランドとしてBYDについで第2位の販売実績を持っています。(因みに、ブランド別の乗用車販売台数は1位フォルクスワーゲン、2位GM、3位現代、4位日産、5位BYD、6位奇瑞、7位ホンダ、8位トヨタ、9位吉利の順番)

奇瑞は安微省に本社を持つ1997年設立の歴史の浅い会社です。Cheryという低価格乗用車モデルを主力に、またたく間に中国全土で販売台数を伸ばしていっます。ブラジルには昨年TiggoというSUVを投入して進出、既にブラジル国内におよそ50カ所の販売サービス拠点を設立しています。


*** 9月18日プレスリリース要訳 ***

奇瑞汽車とブラジルサンパウロ州政府は9月17日に工場建設投資の基本枠組みについて合意しました。ブラジルに工場建設をする中国自動車メーカーは奇瑞汽車が最初となります。奇瑞工業団地はフェーズ1とフェーズ2の2段階で建設され、フェーズ2が完成する2013年には100万平方メートルの敷地に3シフトで年間15万台の生産能力のある自動車工場となります。工業団地には中国部品メーカーも進出する予定です。


(リリース全文は→http://www.cheryinternational.com/en/node/877