芸能界熱愛もよう2010初春

有名人同士の交際が騒がれるとき、同業であろうと異業種であろうと、お互い格が釣り合っていてほしいという潜在的な(甚だ勝手な)願望が私にはあるらしい。また、自分が好きな有名人については、その人よりも明らかに格下の相手だとすごくがっかりしてしまう。もちろん、この格付けっていうのは、思いきり私の主観でしかないんだけど。

だから今週、小栗旬山田優の仲がいまだ続いているらしいことをズームインスーパーか何かで知らされたときには、もう朝から落胆しきりだった。これからの日本の映画界、ドラマ界、そして演劇界をしょって立つ小栗さんには、自分と同じくらい未来を嘱望された人と付き合って欲しいものだ。昔は矢口まりっぺが相手でも良かったかもしれないが、今はそうはいかないよ。大河ドラマの主役を演じてもまったくおかしくない逸材なんだからね、あなたは!(というのが、私の若手役者に対する最大級の賛辞っていうのもどうか。)

ほかには、ユッキーナフジモンさんなんかだと、どちらともにそれほど興味がないってのもあるけど、静かに見守れる感じ。格は釣り合ってると思う。東山紀之木村佳乃さんも、今ではいい感じにバランスするんじゃないでしょうか。海老蔵と麻央さんについては、ここは特殊な世界なのでまたちょっと違った判断基準が必要で(何を大まじめに・・・)、麻央さんは良き梨園の妻になるのではないかと思う。

で、小栗さんと山田さんの件よりも、低血圧の私を一気に目覚めさせたのが、ロンブー淳と安室ちゃんの熱愛発覚! 

これは良い! 今やどちらも自分の世界で確固たる地位を築いている本格派同士! なおかつ異色の組み合わせ! いやー久々に興奮です。

格の釣り合いの良さもさることながら、私は田村淳って人に並々ならぬ興味があるってことに最近気づいたので、こういう大きなネタは大歓迎である。

髪の毛赤く染めて“ガサ入れ”やってたころ、その自信に満ちた素人いじりが怖くて仕方ないと思ってたんだけど、この人の只者じゃない感は本物だ!という確信と、着実にイメージアップを果たしている虎視眈々とした策士ぶりに、「オマエは何を目指してるのだ・・・」と好奇心が抑えられなくて、今は見ててわくわくする。

進行やる番組に外れはない抜群の安定感だし、笑っていいとものレギュラー出演や過去のドリームマッチでの浜ちゃんとのコンビなど、大物と絡んでもソツなくこなす。なおかつ、城好きネタ(いっそ『TAJOMARU』まで見に行きたくなった - moonshine)や野菜ソムリエの資格取得、政治への興味を噂されるなど、意外な引き出しにも事欠かない。

そこへきて、今回の安室ちゃんとのアリゾナ旅行! 藤崎奈々子若槻千夏など、さまざまな芸能人との浮名を流してきたけど、ついに安室ちゃんですよ。女に対してもこの上昇志向。会見での、誠実で真摯な態度ながらも、「どや! 安室をモノにしたぞ!」とでも言いたげな、そこはかとなく漂う得意げな様子も良かった。ああ、おそろしい子・・・! 今年も彼から目が離せない。

『密謀(上・下)』 藤沢周平

密謀 (上巻) (新潮文庫)

密謀 (上巻) (新潮文庫)

密謀 (下) (新潮文庫 (ふ-11-13))

密謀 (下) (新潮文庫 (ふ-11-13))

2010年最初の読書。名手の文章はお正月によく似合う。この小説は、筆者の作品では珍しく歴史の表舞台が題材になっている。藤沢周平の描く戦国絵巻である。

秀吉の天下統一を目前にしたころから、関が原の勝敗が決するまでの時期のことだから、その一生を追いかけたわけではないけれども、主人公は直江兼続。というわけで、妻夫木くん、北村一輝さん、そして小栗くんの姿をイメージしながら読んだ。あの大河ドラマの中でも一、二を争うマトモな役どころだった小栗くんはともかく、残りのふたりについては良い供養をしてあげた思いになった(笑)。名人の手にかかれば、景勝−兼続主従もすがすがしく格好良く、すこぶる魅力的な人物として浮かび上がってくるのだ。

従来、多作な藤沢さんの小説の中で、代表作である『蝉しぐれ』やらに比べると劣後した評価になっているんじゃないかと思う本作だけれど、やっぱりさすが、正面から歴史を描いても面白い。武将たちの駆け引き、天下のゆくえ、勝つ者、負ける者、死にゆく者。全編を貫く緊張感といったら、とてもページをめくる手を止められない。戦国の世とはこういうものだ!と、ぬるいぬるすぎたあの大河ドラマの製作陣に言ってやりたいよ。

藤沢さん作品らしい「草の者」の登場は、物語に厚みを増すのと同時に、時に弛緩剤にもなっている。ただ、やや、とっ散らかった感もあるかも。

『非道、行ずべからず』 松井今朝子

非道、行ずべからず (集英社文庫)

非道、行ずべからず (集英社文庫)

『家、家にあらず』(ごろね読書の記録 - moonshine)に続く「花伝書シリーズ」第2弾。硬いタイトルに加え、本はかなりぶ厚く、ぱらりとめくると漢字も多く、余白少なくびっしりと書きこまれているのに怯みそうになるが、読み始めるとぐいぐい引き込まれる迫力の作品なのだった。江戸の歌舞伎興行、中村座を舞台にした殺人事件。長編だから、謎解きのほうは遅々として進まないのだが、人間ドラマや芸の道のすさまじい描写でまったく飽きさせない。人間の屈折や情念を書かせると松井さんは本当にうまいんだけど、常に姿勢が正しいというか、読んでいて嫌な気分になることのまったくないのがこの人らしさだなーと思う。

2002年上半期の直木賞候補作であり、このときは受賞を逃している。でも、同じく時代小説の書き手であり、このとき受賞した乙川優三郎さんの書く小説よりも、私は松井さんの小説のほうがずっと面白いと思う。ちなみに、そののち松井さんは2007年上半期、『吉原手引草』(GW備忘録 - moonshine)で直木賞を受賞しています。これはまた見事な作品です!