成瀬巳喜男(9)/ AMM

BGM : AMM「It Had Been An Ordinary Enough Day In Pueblo, Colorado (AMM III)」

It Had Been an Ordinary Enough Day

It Had Been an Ordinary Enough Day

脳内を犯す、進入してくる音、ということで、AMMのこのアルバムです。

 ※

女の中にいる他人」の冒頭で、小林桂樹は車が激しく往来する大通りの歩道を放心して歩いています。大通り、といっても決して人通りは少ない。後にわかる設定から、赤坂界隈であったようです。そのファーストショットの、小林を覆うノイジーな車の走行音。この映画は、音が印象的です。林光氏の卓越した音楽の力もあるかもしれません。タイトルテロップが出た瞬間に流れ出す、微妙なずれを孕んだ美しい旋律で、鋭敏になった耳が、この映画を音の映画として強く意識させたのかもしれません。

以下、ネタばれです。

続きを読む