■Yuki von Murata 氏からのレポート その2

■Yuki von Murata 氏からの貴重なレポート その2
◆4.ユーロ危機 確かに時間がない。
◆ここでは、ユーロ危機の本質を一般的なメディアや金融の見解でない視点から分析
◆4-1.二面戦
◆日本の政治家の多くは現状から逃げている。
◆4-2.ドイツ連邦共和国の金融における防衛線
◆僅かな間は、ドルの基軸通貨の地位は残るが、永遠ではない。
◆4-3.重要な事;国家主権移行を目的とする状況を生め。
◆私の見る限り、このことを述べている経済学者はいない
◆4-4.国家主権と統合。そしてEUとドイツ連邦共和国の動向
◆(注4-4)当初、強力な統一ドイツに警戒した他の欧州諸国は
◆果たして日米関係は同じだろうか?日本がここに学ぶ事がある

◆◇◆さてもわが新著について、
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◆4.ユーロ危機
時間がない!時間がないと不思議な国のアリスに登場するウサギは
慌て走っていった。どうやら、我々はキーワードを見つける最後の
場所の入り口に辿り着いたようだ。ユーロ危機・・・確かに時間がない。

◆ここでは、ユーロ危機の本質を一般的なメディアや金融の見解でない
視点から分析していくことにする。(注ここでは前回同様に国際金融に
ついての陰謀論や批判という観点では述べない。このような観点で状況を
見ても判断が狂うからである。従って、ここではどこの国、どのような組織
でも法的に制約がない限り、経済、金融に影響を及ぼす力などを合法的に
持っているならば、その力を行使することは自然であるという視点で述べる。)

◆4-1.二面戦
このユーロ危機を簡素化することは危険でもある。あえておおまかに言えば、
女王陛下の大英帝国・アメリカ合衆国のアングロサクソンVSドイツ連邦共和国
と言う一つの側面。国際金融(からの)VSドイツ連邦共和国が率いるEU(への)
という側面(ここでは意図的に述べないがEU側の国際金融の存在も考慮する必要
がある。但し、この側面は一瞬見え隠れする存在である)からの2面戦の金融・
経済戦争でもある。ドイツ連邦共和国はこの事を明確に理解している。
メルケル首相はゲルマニア(ドイツ国家を象徴する武装した女性)のように
祖国ドイツ連邦共和国をこの金融戦争からの様々な工作から防衛している。
どこかの国のドジョウ総理など足元にも及ばない。(メルケル首相と比較すること
自体が大変失礼な事。メルケル首相には手を旨に当てながらこの無礼深くお詫び申し上げる。)
その能力は大人と坊やの差。悲しい事だが、ドジョウ総理以外でもメルケル首相が
置かれて立場で指揮できる日本の政治家はいないのかもしれない。・・・
残念ながらいないね。
◆日本の政治家の多くは現状から逃げている。

メルケル首相は旧DDR(東ドイツ)出身の物理学者で政治家としては優秀だが、
経済及び金融に関して経験の蓄積が少ない。まして、多面的かつ敏速に攻撃する
ヘッジファンドや国際金融に対処できるか疑問という意見もある。
(某ドイツ連邦共和国・外務省職員談話)確かに指摘の通りだ。だが、
彼女にBND(ドイツ連邦情報局)が早朝にブリーフィング
するように、優秀なドイツ連邦銀行、ドイツ賢人会、金融関係者のブレインからの
ブリーフィングで全容の本質(ポイント)は(ドジョウ総理以上に)理解されて
いることと判断する。その根拠は、そうでなければ彼女は今日のユーロ危機に
敏速かつ的確に対処できないはず。また、リーマンショック後の彼女のコメントは
この背景を理解した上での的確なコメントであったことからも問題の本質を見通
していると判断できる。対照的な例:ドジョウ総理と前任者達、隠蔽と迷走した
“さらば仙菅ヤマト38、永遠に!とエーリアン・ハトポポのジパング冒険”。

◆4-2.ドイツ連邦共和国の金融における防衛線
ユーロ崩壊の危機の情報が流れるなかで、私見ではあるが、ドイツ連邦共和国の
第一防衛線はギリシャではない。イタリアであると判断する。第二防衛線は意外と
思われるだろうが、世界の金庫番であるスイス経済の動向によってドイツ連邦共和国
のユーロ政策の動向を見極めることができるだろう。

対してユーロ危機を望む者、EUの弱体(崩壊でなく弱体。崩壊は望んでいない)
の願望を抱くのが、アメリカ合衆国であり、アメリカ合衆国を中心とする
アングロ・サクソンによる情報は世界中でユーロ危機を意図的に“煽っている”。
アメリカ合衆国としては基軸通貨のドルの維持、当然ながらライバルのユーロ
の存在は認めたくない。(アメリカ合衆国では
EUとユーロに敵対、またはライバル以上に危険視する出版物が多く発行されていた。
判り易く日本人に説明すると、日本人が中禍人民元に危惧する書物が多数あった
ということだ。自然な心理的な反応とも言える。)だが、ミイラ取りがミイラに
なるようにドルがそのようになることがある。しばらくの間・・・
◆僅かな間は、ドルの基軸通貨の地位は残るだろう。が、それは永遠ではない。
つまりドルのデフォルトの危険性は皆無ではない。補足:アメリカ合衆国で
金融を学んだ者達の中には、金からドル基軸通貨になったと勘違いしている者
もいるが、ドル基軸通貨以前はポンド(第二次世界大戦終結前までは)
基軸通貨としての役割を果たしていた。今日ポンドは基軸通貨の地位から転落した。
ドルが永遠に基軸通貨と信じるのは幻影を現実と信じるようなことだ。

そこでEUの双頭であるドイツ連邦共和国とフランス共和国の結束に楔を打ち分裂か
弱体化させる目的が誰かの利益となるのであれば、防御能力の高いメルケル首相より、
フランス共和国サルコジ大統領に目標表を絞ればよいと考えるだろう。
タイミングがよいことに2012年にはフランス大統領選がある。
この機会にサルコジ大統領に何らかの方法で失脚させねばならない状況にする工作
(スキャンダル)が行われる可能性が高いとドイツ連邦共和国政府に対して警報を
鳴らしておく。(フランス政府には貸しだよ。フランス政府がこの情報を有効に
用いて欲しいが、恐らくこの警告が生かされないどろう。表面上はフランス内部から
沸きあがったようになるかもしれないからね。)従って、ドイツ連邦共和国は
フランス共和国の脱落後に単独でEUを支えられるか想定しなければならない。

◆4-3.重要な事・・・国家の主権を移行させる事を目的とする状況を生め。
女王陛下の大英帝国“政府”は表面的にEU各国の国家主権を失うとして反対するが、
英米を中心とする“国際金融”は当然ながら金融による支配を追行している。
彼等はユーロ危機によって、各欧EU国家の“主権(通貨など)をなくさせること“。
そしてEUという人工政府をっ落にせ一つの金融のルール(指導、命令コントロールなど)
にして更にそのEUを支配することが最も重要な目的でもある。

◆私の見る限り、このことを述べている経済学者はいないようだ。
先に述べたリーマン定理のように、経済学者(先の数学者)の視点でなく別
(先の物理学者)の視点の立場で見ると見えることがある。

この問題を簡素化すると(4-1を視覚化させると)
目的はEU加盟国の国家主権をEUへの移行。
支配において、国際金融は、国際金融>EUを望む。また、国際金融>英米を望む。
国家レベルではEUはEU>英米を望む。英米政府は英米>EUを望む。
このような中でドイツ連邦共和国は状況を把握して防衛戦を行っている。
日本は状況を理解していない戦争論なき防衛戦を行っている。
さらに国際金融の中では、欧州系国際金融VS英米系国際金融、
時には共通した目的しは奇妙な同盟、時には争う(例:単純には言えないが大まかに
言えば、欧州系金融:ウランVS英米系金融:石油)。いずれの状態でも国際金融には
究極的には国境は必要ではない。各国の規制等は邪魔なものである。
その上で後述の9-1を参照。

同時にこの主権の譲渡に伴う巨額の利益(英米の国際金融)と巨額の損失(CDSなど)
をどこに負わせるかこのユーロ危機の本質を見極めるポイントである。

ドイツ連邦共和国政府は国際金融のような手荒い主権の急激な譲渡を望んでない。
穏やかな譲渡を望んでいた。また今回のようなこのユーロ危機での巨額な損失を
負いたくない。
(これはメルケル首相の本音も立場上公言できないがドイツ国民と同じであろう。
そのため、防衛戦を行っている。しかしながら、来年からいよいよユーロ維持
はかなり難しくなるのが現実となる可能性が非常に高い。ドイツ連邦共和国が
国際金融の目的には乗りたくないため現行のユーロを意図的に一部の国の
離脱を容認して維持する(ドイツ連邦共和国はいわゆるゲルマンの
中央ヨーロッパ諸国とスカンディナビア諸国でのユーロの構成、
ギリシャ、イタリアなどの離脱を容認する)あるいは可能性は低いがEU全体を壊す
可能性もある。

◆4-4.国家主権と統合。そしてEUとドイツ連邦共和国の動向
国家主権と統合について安易に理解できるような例を挙げる。
ここでドイツ連邦共和国の歴史を見てみよう。神聖ローマ帝国は長い間
ドイツ諸侯と帝国東部辺境のオーストリアのハプスブルグ家に分裂していた。
一方の帝国辺境を越えた北東外縁のバルト海沿岸では聖母マリアの
ドイツ騎士団領がプロイセン王国となり、フリードリッヒ大王時代に急速に
その存在を強めた。女帝マリア・テレジア率いる神聖ローマ帝国の
オーストリアのハプスブルグ家に対抗する勢力になった。
時は流れ、ナポレオン時代にプロイセン王国は風前の灯し火となった。
クラウゼヴィツ達が国王の命に背き、ロシア軍に身を寄せナポレオンに
対してプロイセンの栄光を抱き戦いに挑んだのはこの時である。
ナポレオンの戦争はヨーロッパの国民に国家意識を与え、国家間の戦いは
憎しみを生んだ。やがて、ビスマルク、モルトケの時代にプロイセン王国は
復興した。そしてナポレオンから受けた屈辱を晴らし、
ドイツ統一の盟主として、プロイセン王国は統一した帝国をプロイセン帝国と
名乗らずドイツ帝国とし、プロイセン王国をドイツ帝国の“一王国”
の地位としながら、ドイツ帝国の名手としてドイツ抵抗の全ての実を得た。
これが、今日のドイツ連邦共和国である。
補足:プロイセンは今日のドイツ連邦共和国の失った領土であり存在
しない国家である。しかし、その王国の魂は不滅である。ドイツ連邦軍
(末広がりの十字架=鉄十字=本来は聖母マリア・ドイツ騎士団の
シンボルをマークとしている)にプロイセンは生きている。

今日のEU(注4-4)におけるドイツ連邦共和国について、
ドイツ帝国のプロイセン王国と同じ共通した見方ができる。
ドイツ連邦共和国なきEUは実がない。と言っても、
ドイツ連邦共和国によるEUなど事実であっても公言する必要はない。
ドイツ連邦共和国をEUの構成国の一つであると強調することにより、
EUの全体の実を得ていると見てもよい。そのような歴史的背景からも、
ドイツ連邦共和国は基本的にこのユーロを崩壊させる考えはない。
だが、状況(上記防衛戦参照)によっては、ユーロは崩壊でなく、
ユーロ分裂という選択肢はありえるとみてよい。

◆(注4-4):EUは当初、強力な統一ドイツに警戒した他の欧州諸国は
欧州の一員としてドイツを閉じ込め管理するという側面もあった。
ドイツ連邦共和国は他の欧州諸国への思惑も当時から理解していた上で参加した。
そこには同時にドイツ連邦共和国の他の欧州諸国への思惑も一致した。
皮肉な事に、今日のドイツ連邦共和国以外のEU諸国は自分達の管理下で
ドイツ連邦共和国をコントロールするはずだった。
が、逆にドイツ連邦共和国の指導方針に頼らなければならない状況に置かれて
いる。ドイツ連邦共和国の歴史から学んだしたたかな生き方である。
◆果たして日米関係は同じだろうか?日本がここに学ぶ事がある

◆◇◆さてもわが新著について、
◆私の大好きな雑誌「致知」新年号
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でも書評が、掲載されました。
なお
◆アメリカ在住わが悪友グロース孝夫氏より
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なぜドイツは脱原発、世界は増原発なのか。迷走する日本の原発の 謎]
本の紹介専門新聞「週刊読書人」書評
http://d.hatena.ne.jp/eschborn/20111121/1321935624
◆拙著のポイント
「次々に明らかになる真実・・・・
1」日本の経済復興を後押ししたのは原子力エネルギーだった!?
2)エネルギー争奪戦が戦争につながった!?
3)ドイツの脱原発路線は大震災前から決まっていた!?」と・・・
目次
<<図解による知っておきたい原発と放射能の基礎知識

(プロローグ)
福島原発が過去最悪の状態にあることを3.11に世界は知っていた。
 
第1章 3.11以降明らかになった”世界から取り残される”日本
第2章 誰も止められなかった唯一の被爆国日本の原発事故
第3章 福島原発事故を起こした悪しき日本の構造
第4章 世界を揺るがすドイツの「脱原発政策」事情
第5章 福島の”後”も世界での原発推進の空気は衰えない
第6章 エネルギー獲得競争に翻弄された世界史
第7章 ご先祖様の遺言がドイツを「脱原発」に踏み切らせた
第8章 日本は原発とどう向き合うべきか
(エピローグ)
日本よ、なでしこJAPANに続け!
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_21世紀を迎えた今世界は混沌としています。日本もその渦て
政治経済ともに、国際的視点に立脚し欧州からの情報収集が不可欠に
なってきています。欧州の国際情勢を日記風にまとめドイツ滞在歴40余
年の経験を生かし、現地よりレポートします。
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・ 上記につきクライン孝子名抜きのメルマガの転載・発言は固く
 お断りいたします。
(なお「クライン孝子」および「クライン孝子の日記」
と明記されていれば、転載・発言は大いに結構! 歓迎いたします)
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