開発環境の構築2〜スケジュール管理ソフトをS!アプリで作ってみよう(その35)

新しいノートPCを買った(OSはWindows Vista)ので、開発環境の構築をやり直している。以前の開発環境の構築の記事は、予想外にアクセス数が多いので、アップデートしておこうと思って、再度、書く事にした。(前の記事では、JavaEclipseについての知識はあるものと言う前提で記事を書いていたのだが、素人の人も見ているようなので、もう少し細かく記載しておいた方がよさそうだと言う理由もある)

開発環境の構築

Java SE Development Kit(JDK)のインストール

JDKを、SunのJava SEのダウンロードページからダウンロードする。JavaでのWindows Vistaのサポートは、J2SE 5.0 Update 11からである。今回は、現在の最新版のJava SE 6 Update 10をダウンロードしてインストールした。

Eclipseのインストール

EclipseのダウンロードページからEclipseをダウンロードする。今回は、Ganymede SR1(Eclipse 3.4.1)パッケージのEclipse IDE for Java Developersをダウンロードする。それから、Eclipse 日本語化言語パック (サードパーティ版)もダウンロードする。(本当は、Pleiadesのプラグインを入れたいところだけど、非力なPCなので、言語パックをインストールする事にした)

インストールそのものは、単純に圧縮ファイルをフォルダに展開するだけ。Eclipse本体の方は、C:\Eclipseにダウンロードしたものを展開した。Windows Vistaの標準の機能で展開したので、Eclipseの実行ファイルのパスはC:\Eclipse\eclipse-java-ganymede-SR1-win32\eclipse\eclipse.exeになる。それから、すぐに日本語化言語パックの中身をC:\Eclipse\eclipse-java-ganymede-SR1-win32\eclipseに展開する。

S!アプリの開発用のツールのダウンロード

Softbank Mobileの開発者サポートサイトから、開発関連の資料やツールをダウンロードしてくる。(しばらく見ない間に、コミュニティ機能や初心者向けコラムが増えていた)

前回の記事では、「S!アプリ開発ツール JSCL SDK」での環境構築を記載していた。今回は、「S!アプリ開発ツール MEXA SDK」を使う事にする。「S!アプリ開発ツール MEXA SDK」と「Eclipse向けプラグイン for MEXA SDK」をダウンロードする。「S!アプリ開発ツール MEXA SDK」のインストールはデフォルトの値でインストールした。「Eclipse向けプラグイン for MEXA SDK」はインストール先を「C:\Eclipse\eclipse-java-ganymede-SR1-win32\eclipse」に変更してインストールした。

「Hello, World!」アプリを作る

またしても、「Hello, World!」を表示するアプリを作ってみて、動作確認をしてみる。(前回の記事は、「Eclipse向けプラグイン for JSCL SDK」を使ったものなので、今回のものとは手順が違います。)

エミュレータの準備

Eclipseで、開発の作業に入る前に、エミュレータ側の以下の準備をしておく。

  1. MEXA Emulatorを起動する。
  2. メニューの[ファイル]-[新規作成]を選択する。
  3. [プロジェクトの新規作成 1/3]画面で、[プロジェクト名]に名前を入力し、[次へ]ボタンをクリックする。(プロジェクトの保存場所の情報は後で必要になるので、メモしておく)
  4. [プロジェクトの新規作成 2/3]画面では、特に何も変更せず、[次へ]ボタンをクリックする。
  5. [プロジェクトの新規作成 3/3]画面でも、特に何も変更せず、[完了]ボタンをクリックする。

Eclipseのプロジェクトの作成

まず、Eclipse上で、アプリ開発のためのプロジェクトを以下の方法で、作成する。

  1. メニューで[ファイル]-[新規]-[プロジェクト]を選択する。
  2. [新規プロジェクト]画面で、[MEXA]の[MEXAプロジェクト]を選択し、[次へ]ボタンをクリックする。
  3. [MEXAプロジェクトウィザード]の[新規プロジェクトの作成]画面で、プロジェクト名を入力する。

    プロジェクト名は今回は、「HelloWorld」としておく。[デフォルトロケーションの使用]のチェックボックスはチェックしたままにしておく。
  4. [MEXAプロジェクトウィザード]の[MEXA Emulatorの設定]画面で、

    [実行パスを指定する]のチェックボックスにチェックをし、[MEXA Emulatorの実行パス]で、「C:\Program Files\SOFTBANK_MEXA_EMULATOR21」を指定する。(ここを指定しないと、古いバージョンのエミュレータのパスを指定したことになって、エラーになってしまう...)

    [MEXA Emulatorのプロジェクトを指定する] のチェックボックスにチェックをし、「エミュレータの準備」の時にメモしたフォルダ内に作成されたプロジェクトのフォルダにあるvjpファイルを指定する。

    [ビルド用クラスパスを直接指定する]のチェックボックスにチェックをし、[ビルド用クラスパス]に、「C:\Program Files\SOFTBANK_MEXA_EMULATOR21\lib\stubclasses.zip」を指定する。(ここも指定しないと...)
プロジェクトを作成したら、[HelloWorld.jad]ファイルをダブルクリックして、JadEditorで編集をする。ひとまず、[必須属性]の[MIDlet-Name]と[MIDlet-Vendor]に、値を入力する。

プログラムの作成

以下の手順でクラスを作成する。

  1. [src]フォルダを選択して、メニューで[ファイル]-[新規]-[クラス]を選択する。
  2. [新規Javaクラス]画面で、以下の通り入力する。

    [パッケージ]に「com.example」

    [名前]に「HelloWorldMIDlet」

    [スーパークラス]に「javax.microedition.midlet.MIDlet」(実際は[参照]ボタンをクリックして、MIDletを選択)
  3. [終了]ボタンをクリックする。

HelloWorldMIDlet.javaのクラスファイルを以下のように編集する。


package com.example;

import javax.microedition.lcdui.Command;
import javax.microedition.lcdui.CommandListener;
import javax.microedition.lcdui.Display;
import javax.microedition.lcdui.Displayable;
import javax.microedition.lcdui.TextBox;
import javax.microedition.midlet.MIDlet;
import javax.microedition.midlet.MIDletStateChangeException;

public class HelloWorldMIDlet extends MIDlet implements CommandListener {
private Command exitCommand;
private TextBox textBox;

public HelloWorldMIDlet() {
exitCommand = new Command("Exit", Command.EXIT, 1);
String str = "Hello, World!";
textBox = new TextBox(str, str, str.length(), 0);
textBox.addCommand(exitCommand);
textBox.setCommandListener(this);
}

protected void destroyApp(boolean arg0) throws MIDletStateChangeException {

}

protected void pauseApp() {

}

protected void startApp() throws MIDletStateChangeException {
Display.getDisplay(this).setCurrent(textBox);

}

public void commandAction(Command c, Displayable d) {
if (c == exitCommand) {
try {
destroyApp(false);
} catch (MIDletStateChangeException e) {
e.printStackTrace();
}
notifyDestroyed();
}
}
}

これで、コーディングは終了だ。

HelloWorld.jadファイルを開きなおすと、[起動MIDletの選択]で、使用できるクラスの情報が更新されている。「HelloWorldMIDlet」のクラスの使用にチェックをし、[アプリケーション名]に名前を入力する。

エミュレータの起動

以下の手順でエミュレータを起動する。

  1. HelloWorld.jadファイルを選択し、メニューの[実行]-[実行構成]を選択する。
  2. [実行構成]画面で[MEXA Emulator - MEXA]を選択し、[新規]ボタンをクリックする。
  3. [名前]に値を入力し、[プロジェクトの選択]で「HelloWorld」を選択する。
  4. [実行]ボタンをクリックする。