ベイビードライバー 感想

映画「ベイビードライバー」を観ました。
9月30日、横浜ブルク13にて。
2D字幕版。

なんか、ものすごかったです。
こういうカーチェイスものみたいなのはあまり見てないのですが、覚えのある中だと「HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY」にけっこう派手なカーチェイスアクションのパートがあって、あれを映画全編に渡ってやっているような感じとでも言いましょうか。

あと、パルプ・フィクションというなんか有名らしい映画がありますが、つい最近たまたまアマゾンプライムを眺めてたときに気になって見ていまして。
「似ている」とまで言ってしまうとまたちょっと違うのですが、ファミレスみたいなお店が重要な場になっていたり、姿形の見えない巨大な闇組織がありそうな舞台背景と、その謎の組織の指示で行動する末端の派遣社員さんたちみたいな人物配置はちょびっと通ずるものがあるのかもなんて思ったりしました。

主人公、というかタイトルになっている「ベイビードライバー」は、そんな謎の闇組織の、組織といってもメンバーは固定ではなくて毎回異なる人員をどこからともなく調達してくる形態なので人材派遣組織っぽいようにも感じたわけですが、そんな闇組織の「お仕事」のために、現場までの送迎をする運転手の役割を担うのが、ベイビーフェイスのドライバーというわけです。

「お仕事」がお仕事なので、帰路がとにかく重要です。
逃走経路を確保したり追っ手を捲いたり、時には車を乗り換えたり。

謎の闇組織が暗躍しているだけあって治安が良いとは言いにくい街ではありますが、警察も無能というわけではありません。
むしろ、この手の犯罪ものにおける警察としては優秀な部類に思えます。

追跡班を複数用意するだけでなく、先回りして逃走経路を塞いだり、素早く検問を敷いたり、高速道路を封鎖したり。
更にはヘリコプターで上空からも追尾して、逐一、各所と連絡を密に取っていて。
ルパン三世における銭形警部もかくやというほどの包囲網だったようにすら思えます。
警察サイドについては個人の顔は表に出ることなく、あくまでも警察組織という集団としての扱いではありましたけれども。

ともあれ、よくまあ、あんな包囲網を突破できるものだと惚れ惚れしてしまいました。

細かいことを言えば、あれだけ交通事情が大混乱になってしまっては、二次的三次的な被害もあったのではなかろうかと、つまり、巻き込まれて追突や横転といった事故が起きていても不思議ではないし、救急車両が通行できなくて救急に間に合わなかったなんてことも起きていたかもしれないと、思わなくもないですが、そのあたりは本作で考慮するのは野暮かもしれません。
江戸川コナンくんがスケボーで道路を走り回って迷惑かけまくっている程度に捉えておけばよさそうです。


ベイビードライバーくんは、過去のとある出来事をきっかけに聴覚に異常というか慢性的な耳鳴りを抱えてしまっているのですが、好きな音楽を聞いている間はその耳鳴りが軽くなるという症状のようで、映画を通して様々な音楽が流れます。
また、その音楽と映像との連携も楽しいです。
リズムに合わせて踊ったり、音を鳴らしたり。車の運転のリズムもまた音楽と同調しているかのようでした。
こういうのもミュージックビデオ的と言うのかもしれません。


「お仕事」のメンバーは毎回異なると書きましたが、さすがに1度きりということはなく、複数回に渡って関係を結ぶ人たちも出てきます。

その人たちもまた、それぞれにそれぞれの事情を抱えていたり、信念を持っていたりと、一筋縄ではいかない人たちです。
正直なところ、ベイビードライバーくんに肩入れして見ていると嫌な人たちでしかないのですが、かといって憎しみしかないなどということはなく、むしろあの人たちなりの生き様が刻みつけられたかのようで、どこか魅力のようなものが心に残ります。