分裂勘違い君劇場 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2008-01-11

「地道な努力」よりも、はるかに人生を好転させる努力の仕方 12:08 「地道な努力」よりも、はるかに人生を好転させる努力の仕方を含むブックマーク 「地道な努力」よりも、はるかに人生を好転させる努力の仕方のブックマークコメント


1ヶ月間だけ、思い切りがんばれば。より引用:

  • 現状を変える一発逆転があると思うかもしれないけど、どうやら近道はないみたいです。
  • 毎日少しずつ、少しずつ努力を積み重ねるしかない。まったく人生ってやつは。まったく。

違うよ。全然違うよ。


「現状を変える一発逆転」はいたるところにある。

多くの人は、勇気がなかったり、ぼんやりと生きていたりするために、

一発逆転のチャンスが目の前を通り過ぎるのを

見過ごしてしまっているだけだ。


むしろ、「近道を探す努力」こそが正しい努力であって、

「近道や一発逆転を狙わないで地道な努力を積み重ねる」という姿勢が、

自分と周囲を不幸にし、

格差と貧困を生み出し、日本を衰退させてきた。


それは、「ハゲタカ」というレッテルを貼られて悪者扱いされてきた人々が

どのようにして人々に豊かさをもたらし、何十億ものお金を稼いでいるのかを見るとよく分かる。


たとえば、3000万円の工作機械が故障したとする。

仕組みが複雑すぎて、どこが故障したのか普通のエンジニアには分からない。

だから直せない。だから、その工作機械はほとんど価値が無くなった。

そこで、その工作機械の持ち主は、その工作機械を廃棄処分することにした。


そこに、ハゲタカエンジニアがやってきて、その工作機械を30万円で買い取ってくれることになった。

その機械の持ち主は、捨てようと思っていた機械を30万円で買い取ってもらったので、

ハッピーな気分だった。


ハゲタカエンジニアは、その工作機械の複雑怪奇な構造を理解できるだけの

高度な知能と知識とセンスを持っていたので、どこが故障しているのかを5分で突き止め、

5分で修理した。


これによって、たった10分で、無価値なゴミでしかなかった壊れた工作機械が、

3000万円の価値のある工作機械に生まれ変わった。

時給1億8千万円分の仕事をしたことになる。*1

これは詐欺でも錬金術でもない。純粋な価値創造労働だ。


そして、実際のハゲタカたちは、企業や不動産に対して同じことをやるのである。

「故障」して機能不全になり、赤字を垂れ流し続けるホテルやゴルフ場を安く買い叩き、

それを「修理」して、より価値あるサービスを消費者に提供し、利益を生むように作りかえ、

それを転売して大金を稼ぐのである。


もちろん、ハゲタカたちは詐欺まがいの買い叩きと転売、犠牲者を多く生み出す企業解体をやることも多く、

負の側面も多いのだが、だからと言って、こういう価値創造の側面を見過ごすと、その本質を見誤る。


ハゲタカたちの巨大な価値創造力の源泉は、

「少しの労力を投入するだけで、巨大な価値を生むポイントを見抜く眼力」

と、

「失敗した場合に、損失を引き受けること」

の2点である。


たとえば、先ほどの壊れた工作機械を買い取ったハゲタカエンジニアは、

それを買い取る時点では、本当に修理に成功するかどうかの保障はない。

しかし、失敗したときに30万円の損をすることを覚悟で、

あえて、その故障した機械を買い取ったのである。


日本の多くの会社では、大企業も中小企業も、

このようなハゲタカ的努力が欠落しているために、

多くの非能率と不幸が生み出され続けている。


たとえば、あるケータイコンテンツ会社で、

赤字を垂れ流し続けるサイトがあったとする。


そして、「地道な努力」教の信者たちは、

地道な努力によって、そのサイトのコンテンツを充実させ、

こつこつとユーザビリティを向上させるわけである。

そして、ますます赤字が拡大していく。

会社も、従業員も、顧客も、だれもが不幸になっていく。


それを見かねた経営陣が、そのプロジェクトに

ハゲタカプロデューサを投入する。


そのハゲタカプロデューサは、

「そのサイトに欠けているのは、コンテンツの充実でもユーザビリティでもなく、

単に、そのコンテンツが、そのコンテンツを求める客に認知されていないのだ」

ということを見抜く。


そこで、そのハゲタカプロデューサは、まず、そのケータイコンテンツの

コンテンツタイトルを変更した。コンテンツの内容を表すタイトルではなく、

そのコンテンツの潜在顧客の注意を引くようなタイトルに変えたわけである。


次に、そのコンテンツのメニューカテゴリを、その潜在顧客のいるカテゴリに変更した。

さらに、そのコンテンツとシナジーを引き起こすサイトとアライアンスを行い、

相互リンクを張ったり、データベースの相互利用ができるようにした。


これにより、そのサイトは、

エンジニアやグラフィッカーの工数をほとんど投入せずに、

利用者を飛躍的に伸ばし、そのプロジェクトは高収益プロジェクトに大化けした。

従業員も、会社も、顧客も、みんなが幸せになった。


実際、こんな話はそこら中にあり、

少しも珍しい話じゃない。


そして、これは、スキルアップでもキャリアアップでも

ボランティア活動でも、

ほとんどあらゆる努力について、

同じようなことが言えるのだ。


たとえば、英語力を向上させたければ、

毎日地道に英会話教材をコツコツ勉強するなんて、能率が悪すぎる。


自分を熱くさせるような議論が英語で行われている空間や集団を見つけて

思い切ってそこに深くコミットしてしまった方が、

はるかに能率よく、しかも、実践的な英語力が身につく。


そういう熱い議論や空間に巻き込まれ、

寝ても覚めてもその議論のことが気にかかり、

夢の中でも、英語でやりあっていたり。

気持ち的にも引っ込みがつかなったり。

このまま引き下がってはいられない、という気持ちに駆り立てられたり。


血が沸騰するような興奮の中で相手からまくし立てられ、自分でもまくし立てた英語のフレーズは、

完全に血肉となり、身体化する。

英語で行われる重要な会議で、ここぞというタイミングで、実に効果的に口から出てくる。

退屈な英語教材で地道に覚えた英語力なんかとは、戦闘力が桁違いなのだ。


つまり、地道な努力を積み重ねるのではなく、

「自分を英語に没頭させてしまう」というキッカケ、空間、タイミングを探し、

見抜き、ここ一発というところで、すかさずそのチャンスを捕まえてしまえば、

あとは自動的に、坂道を転げ落ちるように簡単に英語力が向上していく。


その、分水嶺、運命の分かれ道を、意識を研ぎ澄まして見極める努力こそが、

本当に効果的な努力なのではないだろうか。


そして、これは日本社会全体の構造で見ても同じだ。


たとえば、この国の外では、何十億もの膨大な人口が、

豊かさを求め、日本の製品やサービスを欲しがっているのに、

それにろくに答えようとせず、

すっかり飽和した日本市場向けに商売することばかりを考えているから、

生活が楽にならない。


実際、海外の人々に製品やサービスを提供する企業はここ数年で急成長しているが、

日本国内向けの商売ばかりやっている企業は、むしろ衰退している。

こうして、いざなぎ越えと言われる好景気の中で、格差と貧困が広がっていった。


こういう状況でするべきは、

飽和した国内市場と、急成長する海外市場という全体構造を見抜き、

正しい方向に努力することであって、闇雲に「地道な努力」をすることではない。

国内市場向けに「地道な努力」をすることよりも、

海外市場向けに「効果的な努力」をした方が、何倍も、いや、何十倍も報われやすい。


また、非正規雇用が増大し、必死で「地道な努力」を重ねたにも関わらず

ワーキングプアに転落する人々が増える一方、

日本社会のあらゆるところで、

「ちょっと修理すれば高収益な企業or不動産or利権に生まれ変わる案件」

=「最小の努力で膨大な富を生み出せる案件」を

目を皿のように探し回っている「近道を探す努力」の権化のような、

ハゲタカ金融マンは何千万円〜何億もの年収を稼いでいる。


これは、農家、干物屋、イラストレータ*2などの自営業者も同じだ。

ひたすら「地道な努力」を積み重ねるばかりの人は、

顧客も、自分も、家族も不幸にする。


逆に、最小の手間と予算で、

自分の持つサービスや商品を、もっとも的確な潜在顧客に合わせ、

その人たちに正しく届ける「効果的な努力」をする人たちは、

顧客も、自分も、家族も幸せにする。


30年くらい前に少年ジャンプで人気だった

「努力と根性で成功する」というタイプのマンガだって、

よく考えてみると、常に「正しく、効果的な努力」によって

主人公は成功を手にする。


巨人の星だって、挫折するたびに、ひたすら創意工夫して、

新しい魔球を開発し続けて成功するストーリーなのであって、

ただただ地道に筋トレや投げ込みや走り込みをし続けて

成功するストーリーではないのである。


しかしながら、広く一般に世論調査をすると、たいていの場合、

「実績を上げた人が報われる社会」

よりも、

「努力した人が報われる社会」

を望む声が多いという。*3


これは、非常に根深い病なのだと思う。


だから、こういう記事を書くと共感より反感の方が多いことは容易に想像できる。*4


マルクスでさえ、「労働価値説」を信じていたぐらいだし、

ほとんど動物的なレベルで「努力に比例して価値が生み出される」ということが

正しいと思えるのが、人間という生き物なのだろう。


しかし現実には、

常日頃から「一発逆転」するポイントを検出するための鋭敏なアンテナを張り巡らせ、

徹底的に「近道を探す努力」をし続けた人間こそが、

自分と、周囲と、社会と、世界を豊かにし、幸せにするのである。


「近道はない」などという、「地道な努力が報われる」教の信者の妄言に

惑わされて、1回しかない人生を台無しにしないようにしたい。

関連エントリ

効果的な努力の仕方の例1:

「努力すればスキルが向上して上に昇れる」というのは幻想


普段の仕事におけるスキルアップ速度を最高能率にするためのライフハック:

未来の転職が、過去にさかのぼって現在の自分を有能にする


地道な努力が実らなくなった社会的背景:

現代という時代は、どのようなプログラミングを求めているのか?

*1:そのうち、30万円は元の持ち主の取り分になったので、このエンジニアの取り分は1億7970万円になる

*2:たとえば、かなり儲けているイラストレータがいる。彼の戦略は、特定のニッチマーケット向けターゲットを絞って書いたイラスト集の「使用権」だけを企業に売るというビジネスモデルだ。同じイラスト集を複数企業に売ることで、どんどん利益が膨らんでいく。ライバルに気がつかれてない、小さなニッチマーケットなので、競合のイラスト集もない。

*3:山崎元著:「会社は2年で辞めていい」より

*4:もし、共感の方が多かったとすれば、それは、はてな村がそれだけ偏った集団だと言うことだ。

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