カメのきた道―甲羅に秘められた2億年の生命進化

id:takahashim が1.9の紹介記事を書いたと聞いた矢先に、カメの設計が面白かったと id:m_seki がぼそっとつぶやくのが聞こえたので、仕方なく WEB+DB PRESS Vol.43 をぽちっと購入。10時間後には会社に届いた。Amazon プレミアムは危険すぎる。

WEB+DB PRESS Vol.43

WEB+DB PRESS Vol.43

まず、会長と moriq さんのRails連載の最終回を読んでみたら、これがもう冒頭かぶりすぎというか、おいらも調査機関Gをつかって blade ひきまくって歴史一生懸命調べたのにとか思いつつ、余儀なく手元の作業が大幅に後退。うるうる。でも、読んどいてよかった。危ないところであった。

次に、角谷さんの「設計を進化させる」を読んでみた。

本筋はさておきカメである。いやいやいやいや、カメはすごいんだってば。カメのすごいところをあげてみよう。

  • 陸生のカメは低燃費で一ヶ月くらい断食しても平気らしい
  • どの種も平均的に長寿で小さなカメでも50年くらい大きなものは100年
  • 記録では200年以上生きるらしいが長生き過ぎで記録がすごくすくない
  • 三畳紀からいる
  • 祖先不明で突然登場
  • 基本構造はデビューからあんまり変わってない
  • 甲羅は背骨と一体化している
  • 歯がなくてくちばしみたいなのがついてる
  • 乾燥地から深海まで幅広く分布
  • リクガメは結構足がはやい
  • オサガメはクラゲを食いに1000メートルの深海に潜る

背骨のあるぼくたちの仲間には三畳紀後期あたりですごい分かれ道があって、恐竜みたいな巨大化エネルギー効率化の方向と、哺乳類みたいな毎日大量に食べ続けるあじゃいるな方向があったんだけど、カメだけがまったく違う時間スケール戦略を選択して多様な進化を遂げているわけなのです。

以上、だいたいは カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス) の受け売り。この本のいいところは、説明の平易さと、冷静なところ。類書はあまりないそうで、入手しやすいのはありがたい。

カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス)

カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス)

目次

  • 第1章 カメの体の驚異的な仕組み
  • 第2章 多様な環境に進出したカメたち
  • 第3章 謎だらけの起源
  • 第4章 恐竜時代のカメたち―世界への大拡散
  • 第5章 海ともう一つの世界へ―最古のウミガメの姿
  • 第6章 甲羅を力に変えて―哺乳類時代のカメたち
  • 第7章 迷惑な保護者

ミッシングリンクが激しすぎて起源はいまだによく謎だらけだそうな。そういう意味では設計としては説明しづらいというのはもっともな話。でもそれって途中がわかってないからでもあると思うし、淘汰の過程は当時の生態系に依存した再現性のない話なので、そのときの生態系がどうだったのかがもうちょっとわかってこないとどれくらいとっぴだったのかは正直わからない。とっぴなだけだったら、ゼブラガニはすごいなあ。去年の8番目くらいのヒット。ウニを操縦して出会いを求めるなんて、回りくど過ぎ。とっぴな生き物の生活環については、Boy’s Surface (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション) に詳しい。嘘だけど。

Boy’s Surface (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

Boy’s Surface (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

とはいえ、まだ途中が知られていない以上、いまのわれわれからすると、カメの開発というのは要求に対する設計というよりは、新商品開発とかビジネスモデル開発みたいな感じ。なんちゅうか、第三のビールみたいな。きっと酒税なみの厳しい現実があったに違いない。そこには営業部隊たる生態と技術部隊たる構造の軋轢もあったに違いない。まあ軋轢あっての両輪なんだろうなとも思う。というか、最近本を読んでなくて愕然とする。モーニングくらいしか読んでない。

営業の牧田です。(1) (モーニング KC)

営業の牧田です。(1) (モーニング KC)

追記 2008-7-18

WEB+DB PRESS Vol.43 に掲載の「第5回 設計を進化させる」は gihyo.jp で読めるようになっていた。
http://gihyo.jp/dev/serial/01/agile