ひかりTVビデオざんまいプランで見た映画。2013年3月は17本！

先月の2月。俺は、ひかりTVの、このビデオざんまいプランを、もうやめてしまおうかと思いつめるほどに、ハズレ映画ばっか見てしまうという、たいへんな不幸に見舞われた。そこで俺は、俺が好きそうな映画だけ見るという、人類の叡智がたどりつく賢者の姿勢を、3月は保ったのだった。

(1)スリーデイズ(2010)米

←アメリカ製のほう

先だって見たフランス映画の、アメリカ版リメイク。内容がアレンジしてある。俺はもとのフランス映画のほうが、映画としてはいい出来だったと思うが、主演男優は、こっちの、ラッセル・クロウのほうが、男として好みだ。

←フランス製のほう

劇中、俺が、爆笑したシーンがある。

ラッセル・クロウが演じる主人公は、善良な教師で、愛車はトヨタのプリウスである。この映画、全編、ラッセルがプリウスを運転するシーンの連続であり、カーナビを駆使し、キーレスエントリーを駆使しての、副題「ラッセルくん、プリウス号で大冒険」とでも言おうか、プリウスのコマーシャルムービーのように、プリウスまみれなんである。

そんな中、主人公は、本意ではない犯罪に、手を染めてしまう。強盗殺人事件の現場を調査した、おまわりさんが、現場に落ちていた、自動車のライトのかけらを拾い、車種を割り出せと部下に命ずる。

部下「デカ長！ホシのクルマが、判明しましたぜ！」

刑事「なんだった？」

部下「2004〜2009年製の、プリウスです！」

刑事「プリウスぅ？強盗殺人犯のくせに、環境には優しいのか！」←爆笑

(2)バトル・ロワイアル2鎮魂歌(2003)日

フカギン・フカケン親子合作作品にして、我が愛しのフカギンの遺作。

(3)青い目の殺人鬼(2012)米

3月の100円作品。米国で本当に起こった殺人事件をベースに、裁判の進行と、事件の進行を相互に描いている。初婚の夫を惨殺した若妻。青い目のヒロインは、はたして殺人のクロかシロか。女性心理として見て、同情できる殺人者なのか、そうではないのか…？

見てよかったと思える映画。俺はこういう、暗いサスペンスが何よりも好きなのだ。そのためならば、ひかりTVの今月のお支払が、100円増えたって、ぜんぜん構わない。

(4)スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい(2007)米

タイトルと解説文からすると、ユーモラスな味付けのアクション映画かと思ったら、最初のほうは、そういう感じの演出で見せておいて、収束に向かうにつれて、がぜん悲壮感が、あたかも血の池地獄が、沸騰してゆくがごとくに、悲壮感が強まってゆき、ラストは、絶望が支配した。

俺の大好きな、バッドエンドだった。

(5)るろうに剣心(2011)日

3月の100円作品。猫と鶏と佐藤健が大好きな、「龍馬伝」の監督作品。俺は原作の少年マンガはまったく読んでいない。一本の創作時代劇として、非常におもしろく、配役も的確であった。俺もね、猫と鶏と佐藤健が、大好きなのだよ。ねこと にわとりと さとうたける。このフレーズいいよね。

(6)バッファロー66(1998)米

映画のお手本のような映画。完璧な脚本。完璧な配役。完璧な撮影技法。完璧な演出。完璧な美術。完璧な衣装デザイン。

映画のお手本のような映画。映画の雰囲気は、あれっ、この映画って、1970年代の製作か？と、みまちがえた。えっ、1998年？そんなに新しい映画なの？わざと、古臭く（もちろんいい意味で）、見えるような、作り方をしているらしい。

監督と主演をつとめたのは、ヴィンセント・ギャロ。えらいひとやなあー！すごい才能、すごい気配りだよ、このひと。

ラストシーン。

ドーナツ屋さんで、主人公の青年が、彼女のために、ホットココアと、ハート型のクッキーを買うシーンだ。

この映画の、このシーンには、世界じゅうの金銀財宝を集めても、ぜったいに勝てっこない、人間にとっていちばんすばらしい宝物が、つまっていた。

それは、幸福という名の、宝物だ。

幸福は、ただひとつの場所にあり、ただひとつのものによって、もたらされる。
それは、心だ。幸福とは、心にあるのであって、よそにはない。
そして心にある幸福とは、その心自体のちからによってのみ、もたらされる。

映画「バッファロー66」とは、人間にとっての幸福とは、なんであるのか？このテーマを、切々と描き出した、名作である。

(7)ポリスアカデミー4 市民パトロール(1987)米

今回のポリアカ、ちょっちテンポが悪かった。

(8)SHERLOCK/シャーロック 第1話 ピンク色の研究(2010)英

こいつは特別だ。格別だ。言いたいことは、山のようにある。別の記事で書こうと思ってる。2月、映画が不作だったので俺は、読書月間に突入した。それで、改めて全巻を読破したのが、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズぜんぶだった。

俺内で、シャーロック・ホームズ・ブームが巻き起こり、この新制現代版ホームズ、ネットで調べたら、大ファンが多いし、萌え絵がたくさん投稿されとるし、ワトソン役のひとは、助演男優賞をとったとあるし、これはビデオざんまいにおいて完全有料なんやけれども、いい映画体験をするために毎日働いとるんやからと、三話パック945円やったかな？もうそんなん、ぜんぜん、安い。

すげえでやんすよ、このシリーズは！！特にですよ。原作のホームズを読破した直後に見たので、時代が現代になっていながら、非常に原作に忠実でね！まずそこに大喝采！

(9)SHERLOCK/シャーロック 第2話 死を呼ぶ暗号(2010)英

第1話を見たときには、レストレード警部が、中年でしぶくて、オットコマエで好みだったが、慣れてくると、シャーロックが、いとおしく感じるようになるから不思議だ。こんな、ナマズの孫みたいなツラの、松田優作の隠し子みたいなツラの、クソガキがよー

スーパーマーケットで、レタスがバーコードのレジ通らんで、イラつくワトソンも素敵だけどさー
マイクロフト兄さんも、ダサかっこいいけどさー

そんなクソガキで恋愛に興味のないシャーロックに、惚れてしまっている、死体安置所勤務の女の子に、シンパシー急上昇。彼女の気持ちを知っていて、髪型をほめて、

「髪のわけかたを変えた？いい工夫だ。」

などと、ワザとゆって、彼女を利用するシャーロックに、怒り心頭の俺。おまえなんかー！滝に落ちて死んでぇーしまえー　ワー

(10)SHERLOCK/シャーロック 第3話 大いなるゲーム(2010)英

別の記事で書くと言いながら、我慢できずにつらつら書いておりますが、第3話の以下のシーンは、10回ぐらい再生しました。

「彼はゲイじゃないわ。どうして意地悪するの」（涙目）

シャーロックのクソガキに、惚れてしまっている、この女の子、好きすぎるぅー　このシーン最高ぉー

あまりに大興奮し、大大大ファンになってしまったので、シャーロックが唯一、「あのひと」と呼ぶ女性、アイリーン・アドラーが登場するらしい回、パスカヴィルの犬の回、ライヘンバッハの滝の回が来る、第2シーズンを見るのは、4月まで、俺内で、おあずけ、にしたのであった。

(11)レストストップ デッドアヘッド(2006)米

不条理な犯罪に、巻き込まれる少女。殺されそうになり、敵と戦う少女。アメリカ製ホラー映画の典型として、よく見られるシチュエーションである。

そいでもって、この映画は、たいへん、たいへん、よっく出来た、すっごくいい映画だ。無駄な要素が、ひとつもないのだ。導入の日常描写から、ヒロインの性格描写、事件のとっかかり、事件の色合い、謎のありか、問題提起のありか、各キャラクターの配置…

実に感動したよ。俺は、殺人事件を描いた映画を特に好んで見てきたが、この映画のように、完璧で、手抜かりのない映画も、珍しい。

(12)ダークマン(1990)米

サム・ライミ監督。目と目がはなれているリーアム・ニーソン主演。この映画は知ってた。

ダークマンが、暗闇でしか活躍できない、らしい設定が、後半どうでもよくなり、白昼堂々と市街地でアクションしちゃう難点もあったけど、主人公の悲哀が美しく描かれた、バブル期らしい一編だ。

(13)シャンハイ(2010)米

見るんじゃなかった。俺貴余映画だった。（注：おれきよえいが。俺の貴重な余暇を返せ映画の略。）

金ばかりかけて、名優多数使って、なにバカやってんのって感じ。服装デザインだけが眼福でした。

(14)ミリオンダラー・ベイビー(2004)米

信頼と安定の、クリント・イーストウッド監督、主演作品にて、激暗映画として高名な映画で、知人からあらすじは聞いて知っていたが、長年、きちんと見る機会なく。このたび、きちんと見て、

暗いっ。

暗っすぎるっ。

さすがは、イーストウッドだと、改めて彼を、信頼した。

(15)グランド・クロス ドゥームズデイ・プロフェシー(2011)米・カナダ

タイトルを見て、これは低予算でハズレな気がするなーと思った。いまどきグランド・クロスですってよ奥さん。トンデモですわよ奥さん。そんなんで、いちいち地球が危機にひんしていたら、地球がいくつあっても足りませんことよ奥さん。

見始めて、登場人物の配置には、興味をひかれた。しかし、肝心な、地球の危機をふせぐアイテムが、安直すぎて、見終わり感の、損した感は、当初の予測の通りだった。だってモアイなんですもの奥さん。

(16)バットマン・ビギンズ(2005)米

実は俺、アメリカ〜ンヒーロー数あれど、バットマンのことは、そんなに、好きでもなければ、きらいでもない。バットマンの映画シリーズの歴史の深さと、評判のよさも、知ってはいたけど、そんなに興味なかったのね。

今回、ひかりTVの見放題にこれが入ってきたから、見た次第なんだけど、かなりよかったね。

バットマンの、最初は先生役で、後半、適役で、目と目がはなれているリーアム・ニーソンが出るのだが、「ダークマン」（1990）見た後、「バットマン　ビギンズ」（2005）見たから、あーこの人って老けないなあと思った。

(17)ザ・レッジ 12時の死刑台(2011)米

あまりにも大喜びしたので、ひかりTVの五つ星評価、滅多に出さない、五点満点をたたいた。こういう映画が、この映画が、俺は見たかったんだ！！なんでこれもっと宣伝しとらん！すげえやねーか！

まず、サスペンス。謎とき。時系列。登場人物の役割分担。これらが完璧に機能している。

脚本の根底に、しっかと確保しているテーマは、宗教の是非を問う論争である。これが俺の大の好み。好みっつーか大学んときの専攻。

キリスト教の国、アメリカにおける、9.11以降の思想のありかた。人々の暮らしかた。これを土台に、男女の悲哀を力強く描き、肝心なサスペンスは劇的に急転する。

ああ、いい映画を見た！！こうでなくっちゃ！3月最高！映画ってすばらしい！