先従隗始・温故知新

はてダからの引っ越し(http://d.hatena.ne.jpのURLからここへ自動転送されます)。元サイト:アニメイレコムhttp://kasumin7.web.fc2.com/ire/

フィルターベント装置は、いわば触媒付きのドライベントにすぎない

自動車の排気と同じ。
そしてフィルターはすぐ劣化する…福島レベルで何日も使い続けるのは無理だ。
そしてベント煙突はものすごい高線量(10シーベルトとか、数分で人が死ねる)となるので、人間がフィルター交換しに行けない。


ITや製造業の技術者であったので、技術論の大事さは知っている。


まず原発技術者の意見…
以下の憶測は、NHKスペシャルの取材で覆されている。

http://www.genanshin.jp/report/column/wave_20131112.html
電気新聞「時評」フィルターベントは必要か

平成25年11月12日
元日本原子力技術協会最高顧問
石川 迪夫


福島事故の放射線量率の図を眺めていて、フィルターベントが必要なのか、ふと疑問が湧いた。

図が示せないのが辛いが、発電所正門での線量率(毎時)は、事故翌朝の12日4時頃に約4μSvに急上昇し、3日ほどその値を保ったのち、14日深夜に約300μSvに再上昇している。

最初の線量上昇は、1号機の爆発時刻から見ても、ベントの記録からいっても、1号機から出た放射能であることに間違いはない。

2回目の上昇は2号機からのもので、時刻的にも、格納容器の圧力変化からも証明できる。線量率が高いのは、ベントの失敗によって、溶融炉心の放射能が格納容器から直接漏れ出たからである。

少し説明しておくと、事故後の線量率はスパイク状の上昇を、度々繰り返している。これらはベントの開放や爆発毎に現れ、最大1000μSv近くまで上昇するが、直ぐに元の4μSvほどの背景線量率に戻っている。

敷衍すれば、スパイク状に出た放射能量は僅かで、背景全体の線量率に影響を与えていない。となると、背景線量率に影響を及ぼした大量の放射能放出は、一回目の4μSvと二回目の300μSvの、二回ということとなる。

両者を比較すると、2回目の放出が圧倒的に大きい。この差をベントの有無と考えるのは常識だ。ベントを通る放射能は、格納容器底にある水溜りを潜る間に洗われて、濃度が薄まるからだ。

従って、二つの線量率を比較すると、ベントによる放射能の除去効果が出てくる。300μSvと4μSvの比だから、除染効果は75となる。これは、ガスを格納容器の水に潜らせたことで、放射能濃度が75分の1に減ったという事実を示している。

これは大きな除染効果だ。繰り言になるが、もし2号機のベントが開いてれば、背景線量率は約4μSvに止まったに違いない。この線量率はICRPの避難勧告の下限、年間20ミリSvに近い。

この様に雑駁に考えていたのだが、誤りに気付いた。1回目の線量上昇時刻4時は、1号機のベント実施時刻9時よりも5時間も前だから、この上昇はベントと無関係だ。更に考えると、3号機のベントで放出量が倍増したのに、4μSvの線量率が変わらないのも変だ。犯人はベントではない。

調べ直したところ、同時刻に原子炉に直結する配管に消防車を繋ぐ作業があり、線量率上昇によって作業を一時中断したことが、東電報告書に記載されている。時刻的に見て、これが疑わしい。

消防ホースの繋ぎ目は気体を密封できない。専門的だが、注水による溶融炉心からの水素発生も考えられる。消防車の注水作業に伴い、放射能が建屋から直接漏えいしたと推定される。最初の上昇は微量ではあるものの、1号機建屋からの直接漏洩なのだ。

とすれば、格納容器水溜まりの除染効果は更に大きくなる。ベントの放射能量は、直接漏洩量より更に微量でなければならず、その10分の1程度でないと、線量率が一定であった事実が説明できなくなる。これを当てはめれば、除染係数は750にもなる。

以上の検討が正しいとすれば、ベントさえ開いていれば、事故時の線量率は年間2ミリSvほどに治まり、避難は無用となる。

論より証拠だ。BWRグループは格納容器の除染効果を実験で確かめることだ。既設設備の安全性能の確証のためだ。実れば、フィルターベントは必要なくなる。余分な装置は安全上有害だ。

加えて、緊急時の手順書も改めることだ。格納容器隔離と同時にベントを開けば、炉心溶融が起きても放射能は水に洗われ外に出ない。線量率も低い。官邸にベントの許可を求める愚も無用となる。

本案の検討実施を、BWRグループに強く要望する。


実際は、高温の蒸気が来るとSCの水が沸騰してしまいボイド気体のまま逃してしまったので放出線量は上昇したという実験結果。
設計上は、電源喪失の長期化は想定されず、ちょっと熱い湯気が来てブクブクとすると水に戻るので通水してウェットベントになるはずだった…つまり事故の実際はオーバーキャパシティであった。
http://d.hatena.ne.jp/geasszero/20140331/1396225644
NHKスペシャル 放射能"大量放出"の真相


ALPSもさあ、ミニチュア試験でOKでも原寸実物で思わぬトラブル続き…
だからシリアスなホット試験をしないとダメで
しかし福島原発並みにわざと電源喪失させて1週間もECCS動かし続けたり、フィルターベントをまる三日間やるようなホット試験は不可能…
つまり原発という特殊プラントはそこで終わってるの。他のプラントとそこだけが違うので、命取りとなっている。
有意の検証結果が、原発事故そのものでないと取れないんだよ…医療側も含めてね=患者たちが統計の材料
そりゃ核実験じゃないとデータ取れない兵器の民生転用ですし。

http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20140410/3613471.html
柏崎刈羽フィルターベント試験
04月10日 17時16分


新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所で、原発の新たな規制基準で義務づけられた「フィルターベント」と呼ばれる事故の拡大を防ぐ装置が設置され、性能を確認する試験が行われました。
装置の運用を巡っては、新潟県が安全性に懸念を示していて、運転再開を目指す東京電力は試験の結果を地元自治体に説明し、運用方法を協議したいとしています。
フィルターベントは、事故の際圧力が高まった格納容器が壊れないよう、金属のフィルターなどで放射性物質の放出を抑えながら、内部の気体を外に逃がす装置で、原発の新たな規制基準で設置が義務付けられています。
現在、柏崎刈羽原発では、運転再開の前提となる原子力規制委員会の安全審査が6号機と7号機で行われていますが、このうち7号機では、装置の本体を設置する工事が終了し、10日、性能試験が行われました。
試験では、高さ8メートル直径4メートルの円筒形の装置に、放射性物質を含む気体に見立てた窒素を送り込んで、設計どおり配管を流れているかを確認していました。
フィルターベントを巡っては、放射性物質の放出で住民が被ばくするおそれがあるとして、新潟県が安全性に懸念を示し、県の技術委員会で装置の安全性や運用方法の検討が進められています。
東京電力は、試験結果を地元自治体に説明するとともに、運用方法を協議していきたいとしています。
東京電力柏崎刈羽原発原子力安全センターの新井史朗所長は「フィルターベントにとどまらず、さまざまな安全対策を進めて地域住民に安心してもらいたい」と話していました。


 ◇



安全装置を、わざわざ外して回っていたら意味がなくなる。


歴史上言われることの一つ「どんなハイテクも叡智も、政治支配者に渡したら台無し」


次の爆発事故への最短路とならねばよいが…

原発推進側官庁に104人戻る 規制庁職員

2014年4月10日 20時59分

 原子力規制庁は10日、2012年9月の発足から今年4月1日までの約1年半の間に、同庁の職員計132人が出身官庁に戻ったことを明らかにした。原子力推進側の官庁への配置転換は認めない原則だが、推進側の経済産業省文部科学省に59人と45人の計104人が戻っていた。

 旧規制組織の原子力安全・保安院経産省の傘下にあり、東京電力福島第1原発事故を防げなかった反省から設けた仕組みが、機能していない実態が浮かび上がった。

 自民党原子力規制に関するプロジェクトチーム(座長・塩崎恭久官房長官)などの合同会議で明らかにした。
(共同)


震災時なんて、あっちもこっちも警察大わらわに信号停電も重なるのに
どうやって交通整理を徹底するのやら…
丸3日もマイカー移動していたらものすごい被曝になるし、原子炉内の蒸気だった放射性物質をいっぱい吸い込み続ける。
フクシマの二の舞いだ。


だいたいがど田舎だったフクシマ被災地と違い、大勢が一斉避難するんだが
どこに寝泊まりし生活する?
騎西高校みたいな物件がいつもあるとは限らない。
出口より先の計画性が不透明だ。

http://mainichi.jp/select/news/20140411k0000m040116000c.html
東通原発:避難に65時間…30キロ圏7万人 青森県試算

毎日新聞 2014年04月10日 22時05分(最終更新 04月10日 22時09分)


 青森県は10日、東北電力東通原発東通村)で事故が起きた場合に、原発から30キロ圏内の住民約7万3000人が、30キロ圏外に避難する際の「避難時間推計シミュレーション」を公表した。試算した125通りの想定のうち、県が「最も現実的」とするシナリオでは避難完了まで65時間10分かかったが、交通誘導を徹底すれば27時間20分に短縮できるとしている。最長シナリオは、冬季に多くの人が自家用車で避難するもので、70時間50分かかる結果となった。

 試算は民間の専門業者に委託。国や自治体の指示を待たずに自主的に避難する人の割合や、避難の際の自家用車の使用率、避難開始が夜間か日中か、などの要素を組み替えながら試算した。

 「現実的」としたのは、冬以外の夜間に避難を指示し、指示以前に既に自主避難を始めた住民が60%、自家用車使用率95%という想定で、避難に要する時間は約66時間。これを交通誘導を徹底させることで半分以下の約27時間にできるとした。最長の約71時間は、冬の日中に自主避難率20%、自家用車使用率95%とした想定だった。県は「一斉に避難すると結果的に個々の避難時間が増える」としている。

「キリンじゃないよ、チワワだよ」
小さく見せたくて必死です、安倍自民も、国際原子力機関も…どっちも原発の商売側を担当する極右勢力だから。

http://mainichi.jp/select/news/20140413k0000m040119000c.html

外務省メール:被ばく情報、矮小示唆し要求 福島自治体に

毎日新聞 2014年04月13日 09時40分

 東京電力福島第1原発事故による住民の被ばくと健康影響を巡り、外務省が先月中旬、「報告書を作成中のIAEA国際原子力機関)から要請された」として、福島県自治体にメールで内部被ばくなどの測定データ提出を求めていたことが分かった。メールは、他の国際機関より被ばくを小さく評価されるとの見通しを示しており、受け取った自治体の約半数が「健康影響を矮小(わいしょう)化されかねない」「個人情報をメールで求めるのは非常識」などと提出を断り、波紋が広がっている。【日野行介、奥山智己】

 メールは3月17日、外務省国際原子力協力室の担当者から、内部被ばくを測定するホールボディーカウンター(WBC)を独自に病院などに設置している福島市など18市町村に、福島県浪江町を加えた20自治体へ送られた。メールは「IAEA原発事故の報告書を作成中だ」として、WBCや個人線量計などで測定した住民の被ばくに関するデータを要求。同24日までに返答を求めていた。

 毎日新聞が8、9日、20自治体に問い合わせたところ、10自治体が提出を断ったか断る方針と回答。理由については「慎重に取り扱うべき被ばくデータをメール一本で求めるのは非常識だ」「急過ぎてデータを整理できない」との声が多かった。

 また原子力推進機関のIAEAが「他の報告書よりも被ばく量の現実の値が小さいことを検証しようとしている」というメールの文面から健康影響の矮小化を疑い、「都合良く使われれば住民の不信感を招きかねない」との反発が複数あった。

 一方、8自治体が個人名などを削除したり、公表済みの範囲に限定したりして提出したが、その中にも「矮小化の意図は感じたが、どんな報告書を出すのか見たい」といった意見があった。

 今回の事故による被ばくと健康影響を巡っては、世界保健機関(WHO)や原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が報告書を公表。「最も影響を受けた地域で、最初の1年で12〜25ミリシーベルトと推計。がん発生増加が確認される可能性は小さいが、一部でリスクが増加する」(WHO)、「福島県の大人の生涯被ばく量は10ミリシーベルト以下と予測。がんや出生児異常の増加は予想されない。小児甲状腺がんのリスクが増える可能性はあり得る」(UNSCEAR)と結論付けている。