飛び越えた感情が君を抱きしめた

gekritzel2007-05-04

id:jyoshiさんの記事に惹かれて
藤森照信氏のふたつの展覧会を観てきました。
オペラシティで開催されている『藤森建築と路上観察』展と
メゾンエルメスで開催されている『メゾン四畳半』展です。


『藤森建築と路上観察』


こちらは、藤森建築で取り入れられている、さまざまな仕様の土壁や、
屋根を葺く銅板、それに使用する機械などが展示されていました。
大型の写真パネルで、細かいところまで藤森建築が楽しめました。
着眼点がとてもユニークで、
古くからある日本建築の良さと、それに現代建築を融合させて
あくまで『藤森建築』と呼ぶしかないオリジナルなものを作り上げているのです。
細川護煕氏ともつながりがあることに驚きました。
ユニークなのはこれだけではなく、
会場に芝や苔のタワーがあったり(壮大な都市再生計画、となっていました)
荒縄を編み込んだ籠のような家
(内部では、路上観察の映像が上映されていました)があったり、
あくまでも本物を見せる、ということに強いこだわりがあるように感じました。
変な言い方ですが、
『展覧会』という言葉の持つ洗練された響きが
この展覧会にはまったくなくて、
その力強さに、迫力に、ただただ圧倒されました。
もうひとつのテーマ『路上観察』は、パネルのみの展示で
これはやっぱり、実際にやってみないと面白くないよ、ってことなのかな。
パネルの内容も充分面白かったんだけれど、
考現学に通じるものがあるような。
大田垣晴子が、以前、似たようなことをやって本を出していたなぁ。
カタログも、もちろん購入しました。


『メゾン四畳半』

「メゾンエルメスのギャラリーに自分の家を建てましょう。
 その家が建ってゆく過程を展覧会として公開しましょう。
 そして家を展示するだけではなく、
 実際に友を招き入れて使い心地を見てみましょう」
という藤森氏の呼びかけに賛同した、
モノづくりにこだわるエルメスの関係者達によって建てられた、
日本人が生活を営むことのできる最小限の空間であり、
日本の住居の原型となっている「四畳半」の家が、3軒建てられています。
どの住居にも自由に出入りできる、嬉しい参加型の展覧会です。
もぐってみたり、顔を出してみたり、上ってみたり、
それは、小さい頃に遊んだ秘密基地のような楽しさ。
そして、驚いたのは、
家具も飾りもない、何もない、シンプルな四畳半の広さ。
広いのに、不思議に落ち着く空間なのです。
会場にはもうひとつ、
ヴィーナスの誕生』へのオマージュとしてつくられた貝(笑)
が展示されていました。
ヴィーナスの誕生』の複製画も並べられていて、
エルメスのお姉さんに、
「よかったら、同じポーズで写真を撮りませんか?」って誘われたのだけど
丁重にお断りしました(笑)
やったひと、いるのかなぁ?


ふだん、建築には何もなじみがなくて
釘ひとつ、満足に打てないわたしだけれど、
こういうものを観ると、
わたしも、誰かに感動を与えられる仕事が出来たら、と
考えてしまうのです。
何もないところからモノを生み出していくことの素晴らしさに感動して、
就職先をメーカーに選んだのだから。