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『重甲ビーファイター』感想39

◆第47話「勝利への復活!!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:扇澤延男)
「思いたくない……信じたくない……あの子達にも明日が無いなんて」
「そうさせない為に拓也を探してるんじゃない」
すれ違った子供達の姿に決意を強くする、というのは『ビーファイター』らしい振り。
その頃ジャマールでは、前回役立たずだったジェラがお仕置き光線を浴びていた。
「ぬぁぁぁ!! 奴の首を獲らぬ限り、このジャマールに貴様の居場所はない! 忘れるな」
ガオーム様の声がちょっと裏返り気味なのは、焦りの現れでしょうか。
ちなみに、シュバルツ−アルティメットギガロ−ジェラ、が並ぶと、配色が、白−白赤−赤、になるのは、狙っているのか偶然なのか。今回のエピソード内容もあり、色彩からも3幹部の結束が更に高まっているように見えます(笑)
「ガオーム様がきつくおっしゃるのも、おまえの腕を信ずればこそだ、ジェラ。落ち込むな」
倒れたジェラの肩をぽんぽん叩いて励ますギガロ(笑)
「ギガロ……」
君ら本当に最高だな!!
「ひゃーははははへへへへへへへ。俺は今回のエネルギー集めが終わったら、ジャマールを抜けるよ」
「「抜ける?!」」
俺、この戦いが終わったら、死の星になった地球を譲ってもらってそこにメカだけの新世界を作るんだ……とドリームを語って丁寧に死亡フラグを立てるシュバルツ(笑)
「夢がかなう! あ、夢がかなう!」
「俺は、ガオーム様への忠誠心を証明する為に」
「私は、ジャマール一の腕自慢の意地をかけ」
それぞれの志を胸に、地球へ向けて出撃していく3幹部。
「影として生まれたこの俺が……光に取って代わる、その為にも」
一方、音楽性の違いから脱退した元幹部も、フワフワと荒野を彷徨いながら、セントパピリアを手に入れて元気になるんだ……と命がけのドリームに最後の希望を託してすがっていた。
そして、荒野をさすらう男がもう一人。
(俺は、遂に街からも逃げ出した。誰とも、何者とも、もう関わりたくない。昆虫たちが、命ある者達が、眠りにつくという。俺も、ここで長い眠りに……)
夢も希望も失い、昆虫魂の燃え滓となった拓也は路傍で野垂れ死のうと倒れ込むが……これ、カブトムシの魂に同調しすぎて、越冬できない体質になっているだけでは。
ビーコマンダーに不備は無い!!(力強く)
だがその時、地面に体を投げ出した拓也は、不審な光とジャマー達の姿を崖上に目撃。そこで目にしたのは、ジャマールホール核へ投射する為にエネルギーを溜め込んだ、貯蔵タンクであった。拓也はこのタンクの場所を、匿名でアースアカデミアへと連絡する……。
「……罠じゃないんですか、なんかの?」
「確かに、名乗りはしなかった……しかしだ。どうして私が、仲間の声を忘れるか!」
「「拓也!」」
ここの向井博士は、これまでで最高に格好良かったです。
「行こう!」
主題歌インストもばっちり決まり、タンクの場所へ向かった大作と舞は、荒みきった拓也と再会。……にしても、前回ラストでトラックに乗せられていた割には首都圏に戻ってきてるし、匿名で電話した割には現場で待っているし、どうにも拓也の行動は中途半端(^^;
そこはせめて、日本海ぐらいまで行こうよ拓也!!
……まあ、日本海まで行った後、(やっぱりこの時期、海に身投げは寒いな……)と、1週間かけて徒歩とヒッチハイクで首都圏まで戻ってきたのかもしれませんが。
「私も大作も、とっくに諦めてたんだ昆虫パワー。でも、捨てちゃ駄目なんだよ希望って!」
「絶望の底であがくのも、そこから這い上がるのも、そいつ自身の意志の問題なんだ! 握ってくれ……もう一度これを」
「言った筈だ! 心も体も、言うことを聞かないんだって」
「いつまでそうやって逃げ続けるんだ、自分から!」
信じるべきは、心や体じゃない、内側から響いてくるマッスルの声だ!
「お前達に何がわかる!」
とうとう、大作を突き倒して渡されたコマンダーを投げ捨ててしまう拓也。そこへ街でギガシュバが暴れているとの連絡が入り、大作と舞はエネルギー奪還を急ぐ事に。
「俺と舞は必ず昆虫パワーを奪い返す!」
「取られちゃったのは私たちのミスなんだもん」
「てめぇで播いた種は、てめぇで刈り取らなきゃな!」
二人は生身で警護のジャマーに突撃していき、響いてくる戦闘の音に悩める拓也。
「……俺は、自分から逃げてるだけなのか? 奪われたものを、大作たちは命がけで奪い返そうとしている。俺はそこまで必死になったか?! ただ街から逃げ、宿命から逃げ、そして自分からも…………俺は…………もう逃げはしない!!」
戦意を取り戻した拓也は生身アクションで二人を助け、大作と舞は昆虫爆弾でタンクを破壊。部分的にエネルギーをジャマールに回収されるも、昆虫魂を取り返す事には成功する。
「俺に必要だったのは、逃げずに立ち向かう事だったんだ! 俺が……俺の遺伝子が、あのブラックビートを生み出してしまった事は、事実だ。しかし、いや、だからこそ奴をこの世から葬るのも、俺自身じゃなきゃいけなかったんだ」
奪われたら奪い返せ、責任を取る為に殺れ、例え百万の味方が死んでも、敵が全滅すればこちらの勝利だ!
それが昆虫魂のジャスティス!!
「俺はもう二度と、こいつを手放さない。行くぞ!」
うーん……前回・前々回と、失意の拓也の彷徨を時間取って描いた割には、単に自分から逃げていたというだけの結論で、拍子抜けする復活。
繰り返し、拓也とシャドーを“光と闇”と表現してきたので、拓也が抱いた力を振るう事への恐怖を、自分自身の暗黒面を見つめて乗り越える事で、力とは結局、使う者の意思次第である、というテーゼに着地させたのかとは思うのですが、そのきっかけが「仲間との絆」一本だったのは、説得力不足。
特に、「科学と昆虫魂」「自然と命」「子供を守るヒーロー」という、今作で中心になっていた要素が全く活かされなかったのはガックリで、拓也が迷いを抱くという展開自体は良かっただけに、そこからビーファイター』的なものの集大成に繋がらなかったのは非常に残念でした。
描写の一貫性や伏線の積み重ねにはこだわりの薄い作品ですが、最終盤に来て、まとまりの弱さが出てしまい、今作ならでは、という形に固まりきらず。
1エピソードでは(当たり外れは別に)非常に物語の積み重ねを大事にした脚本を書く扇澤さんですが、全体の流れをまとめていく作業はまた勝手が違うのか(^^; 今作では安定して良エピソードを送り出していただけに、ここで、宙返りを決めるも着地したのが隣のマットだったみたいな解決になってしまったのは期待外れだったと言わざるを得ません。
かくして甲斐拓也が昆虫戦士として復帰し、街で破壊活動を繰り広げるギガシュバの前に並ぶ3人。
拓也が大作と舞を助けた際ジャマーには生身で立ち向かっていたので、仲間の為に戦えるようにはなったけど変身にはまだ恐怖がともなうのかと思ったら、ここもあっさり変身(^^;



「ブルービート!」
ジースタッグ!」
「レッドル!」
「「「重甲・ビーファイター!!!」」」


主題歌入れて盛り上げてくるのですが、拓也の彷徨がらみは、これといって面白くない形で落ち着いてしまいました(^^;
復活した3人のビーファイターとギガシュバが激突し、シュバルツはバトルモードを発動すると、自身のボディを武装パーツと強化融合させたシュバルツタンクの姿に変わる。
「新しい世界の誕生だ。俺がメカ帝国の帝王になるのだ〜。生き物は全て生臭い。一匹残らず消してやる」
狂気を前面に押し出すシュバルツに緑&赤が立ち向かい、青はアルティメットギガロと対決。
「ガオーム様に刃向かうものは、このギガロが地獄送りにしてやる!」
「どうしてそれほどガオームに忠誠を誓う?」
「それが、俺の生き方だからよ。ただひたすら尽くし抜くのだ!」
一方ジェラは再びブラックビートとまみえ、ガオームの目的はセントパピリアにしかなく、何もかもその踏み台に過ぎないと煽られるが、裏切り者の言葉に耳を貸す気は無い、と否定。いざ切り結ぼうとした時、耳をつんざくジェット音が木霊する。
「ビートマシン……! ま、まさか、ギガロ達に何か?!」
ホント仲いいな!
「俺は死なない! メカは永遠よ」
絶大な防御力を誇るシュバルツタンクだったが、クワガタタンクとテントウジェットがまさかの合体攻撃「「ファイヤークラッシュ!!」」を炸裂させ、「お、俺は……永遠なのだぁ〜っ!!」と言い残して大爆発。
シュバルツ自ら巨大戦闘兵器に、という展開はインパクトもあって面白かったのですが、どうにも動かしにくかったのか、映像的にはもう一つ冴えないまま終わってしまいました(^^; 予算的な問題が色々あったのか、タンクに向けたカメラがなんか不自然に遠いし……。
残されたギガロはビーファイターとの決戦に挑むも、情け容赦なくノルマキャノンが炸裂。
ここも対決の構図はある程度盛り上げてきているのですが、とにかくメタルフォーゼすると動けなくなってしまう為、折角のハイパー化がファイナル勇者キャノンの予備動作にしかなっていないのが、残念。
だが、これまで数多の敵をオーバーキルしてきた勇者キャノンの直撃を受けてもなお、立ち上がるギガロ。
「まだまだ……貴様等を倒すまでは、俺は死なん……俺は死なん」
その忠誠心を崖上から嘲笑するブラックビートだが、その時、ジャマール要塞が地球次元に姿を見せる。
「見ろ! ガオーム様は、我ら部下を見捨てたりはしない」
「ふんっ、そうかね?」
「ギガロ……貴様の忠誠心、とくと見せてもらった。その命、大いに役立たせてくれるわ」
だが、ジェラの期待とは裏腹に、ガオームは非情にもギガロの生命力をエネルギーとして吸い尽くし、倒れたギガロは段階的に元の姿に戻ると、最後は骨になって死亡。
「ば、馬鹿な……」
ガオームの行為にショックを受けたジェラは、海岸線に戻るとがっくりと膝を付く。
「そんな……己の体まで改造して、尽くし抜いた、あのギガロから……」
「仲間の命だろうと利用し尽くす。それがガオームなんだ!」
ここに来て、ラスボスの非情さに幹部が疑念を抱くという形で、ジャマールはあくまで真面目な覇権主義集団として植民地ビジネスを展開しているのであって、組織内部における倫理観がしっかりと存在しているという点が強く浮き彫りになり…………今更ですが、もしかして『炎神戦隊ゴーオンジャー』のガイアーク3大臣って、ジャマール3幹部が多少影響を与えているのでしょうか?
宮下さんが5本とはいえサブライターで参加していますし、仲良し路線とか、この辺りの線引きなど、妙に通じるものが(笑)
「力を貸そう。ガオームを見限ったこのジェラが、今、この時より、おまえに」
「ジェラ……」
腹痛でシャドーの姿に戻った黒にジェラは手を伸ばし、海をバックのキラキラ演出で、手を握り合うジェラとブラック。
最近扱いがおざなり気味だったジェラが面白いポジションに収まり、まさかのヒロイン度が急上昇(笑) 驚天動地のジャンプアップで、ヒロイン不在の昆虫荒野に、今、真紅の毒の花が咲く?!
一方、拓也の職場復帰を喜ぶビーファイターだったが、メガオームが姿を見せ、エネルギー充填完了により、地球を飲み込む巨大な次元の裂け目――ガオームホールが出現する事を予告する。
「俺達は負けない」
「希望は捨てない」
「それがどんな脅威であろうと、命を我が物顔で操る貴様の企て、俺達ビーファイターが必ず叩き潰す」
期待していた拓也の復活劇に関しては正直がっくりでしたが、ジャマールサイドの3幹部仲良し路線は極まって、妙に面白い事に(笑)
ギガロの忠臣ぶりは特にアピールされていなかったので唐突ではありましたが、狩られる側の存在からガオームの力で復讐を果たした恩義と思えば納得が行く範囲ですし、マッチョを失って元々の狂気が拡大していくシュバルツ、蔑ろにされていたジェラの思わぬ変転と、それぞれの存在が活きました。
ジェラがブラックに手を貸すのもやはり少々強引ではあるのですが、同僚の復讐の為にブラックの力を利用しようと考えているならこれも頷ける範囲ではあり、突如誕生したブラック傭兵コンビの行く末は楽しみです。
次回――確かにタンク爆発時に白い光が転がってはいたのですが、予告の映像が凄まじい。そしてこの最終盤に、どうしてそのサブタイトル(笑)