それでも人生はつづく

九州に大雨を降らせた低気圧がそのまま東に移動してくるはずが、土曜の夜半から降って日曜の朝にはやんだ。その一方で、九州はまだ降りつづいている。局地的というより偏在的だ。物事はすべからくそうである。「均等に」「平等に」なんて、義務教育で教えられて以来現実社会で目にしたことはない。
▼平日はヒマなのに、相変わらず土日は偏在的に休日工事である。名医の処方した薬の効果はテキメンで、幸い土曜は構内四か所に点在する現場を動きまわることができた。まあ僕が作業するわけじゃないけど。別に山ほどの薬が出たわけではない。鎮痛剤と消炎剤の二種の錠剤のみ。これを食後に飲むだけでウソのように痛みが消え、今朝は薬を飲み忘れてしまったほどだ。
▼昨夜は在阪の友人から再々の来阪催促メール。彼も幼少の頃から知っているうちの子たちの話題で、いつになく長いやりとりになった。部活をやめてバイトができるようになった上の子は、さっそく奨学金をやめて生活費をバイトで稼ぐらしいが、この先もうひと波乱ありそうな予感。下の子は強豪チームとの練習試合でサヨナラヒットを打ち、公式戦さながらの盛り上がりだったという。主軸でもないのに、なぜか彼が打つと父兄もチームメイトもみんなが大喜びするらしい。まさに地域全体から可愛がられている。
▼テストが終わったばかりの下の子は、今回もまた答案が返ってくるまでは「よくできた」と喜んでいる。実際によく勉強している。野球の練習も熱心だ。結果はともかく物事に取り組む姿勢に好感が持てる。みんなから愛される所以だろう。上の子の方がデキはいいが、本当にアリとキリギリスの喩えがぴったりだ。二人ともに「勉強しなさい」と言ったことは一度もないのに不思議なものである。
▼興奮したのか、めずらしく寝つきが悪かった下の子と妻が寝た(それでもまだ22時)後、NHKのSONGSを見た。女性ボーカルaikoの特集である。恋する乙女のトキメキを軽妙なメロディにのせて歌い一躍人気を博した彼女ももう38。僕は現存のJ−POP歌手の中で、奥田民生とこのaikoが一番才能があると個人的には思っている。同じ大阪出身で「さくらんぼ」で有名な大塚愛など比較にならない。
▼しかし今回、彼らも寄る年波には勝てないという印象を強くした。VTRのヒストリーの部分は無視して、NHK屋上で歌われた四曲のうち、虚心にいいと思えたのは初期の「ボーイフレンド」だけだった。民生もまたユニコーンからソロに転じた頃の輝きを失っている。「股旅」から「愛のために」あたりがピークだったのではないか。
▼どんな天才も、才気溢れる若い頃の輝きを永続させることはできない。ミュージシャンやアスリートなど、若さそのものが必須の条件であるような職業もあるが、誰しも遅かれ早かれどこかで折り合いをつける時がくる。身体は動かなくなり、アイデアでも若い人に追い抜かれる。転職を繰り返した僕は、新たな職場はゼロからのスタートなので、比較的早くそのことに気づいた。30代半ばくらいのことだ。
▼年齢からくる衰えだけでなく、元のデキからして自分より上の人間はいくらでもいるというのは、プライドが邪魔をしてなかなか認めることができないものだ。それも一部上場の大企業で出世争いをしているわけでは全然ない。どこもローカルの零細企業である。等身大の自分と向き合い、背伸びせず、虚勢を張らず、それでもあきらめずに前を向いて歩こうと思えるようになったのは、ようやくここ最近のことだ。その意味では、僕は人間としては50を前にしてやっと下の子と同じスタートラインに立ったところである。
▼今日は土曜の仕事がハンパに残り、それが意外に長引いて昼過ぎの帰宅。ランチタイムも過ぎ、夫婦で夕方までうたた寝。日曜の過ごし方としては最低のものだが、こんなこともある。昨夜半からの雨は上がったが一日梅雨の空だった。アウトドアの日よりではない。バーゲンが始まったこの時期、妻と商業施設をウロウロして散財するリスクを避けられたと思うことにしよう。
▼今週はめずらしく予定がつまっている。忙しくなりそうだ。少しずつ夏が近づいている。戦いの季節が。まだまだ老け込む年ではない。子供のことより自分のことで精いっぱいだ。

金曜はぶっかけそば。二日連チャンだがブログの掲載日をずらせばわからなくもないか。

昨日は絶品カラアゲにアボガドとトマトのグラタン。下の子の活躍に妻もウデにヨリをかけた。