初音ミクについて

これは「キャラ/キャラクター」の概念系を考えるにあたり、大きな手がかりを提供してくれているのでは?
と、以前より稲葉振一郎さんがお書きになっていました。
http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/searchdiary?word=%bd%e9%b2%bb%a5%df%a5%af


無視していたわけではないのです。ご指摘は確かにそのとおり。
でも、であるからこそ、すぐには返答できないものであったわけです。
まずはニコ動に潜るところからはじめないといけない。
で、とりあえずHMO(初音ミクオーケストラ)に一通りハマってみたり。
ようするにYMOの楽曲を初音ミクに歌わせた打ち込みカヴァーですね。「おっさんホイホイ」にホイホイされてるわけですよ。
何曲かお気に入りができたんですが、とりあえずはこの"CUE"なんかはよく出来てていい。ミクさんの歌わせ方もいいし、バックのアレンジも上手い。


http://www.nicovideo.jp/watch/sm1601243


コメントで入れられた歌詞の訳詞がまた気が利いてるんですよ。
"I think I've nearly found you" を「キミをもうすぐみつけられそうな気がするの」と訳し、"Crying of the air" を「空の、泣く声」と訳してる。
いやこれ萌えるでしょ。このコメントを入れた方、GJ! です。
たしかオフィシャルの日本語詞では「気流の鳴る音」となっていたとものだと思います。真木悠介〜カルロス・カスタネダですね。


このへんから話が微妙に「キャラ」に寄っていくわけですが、実は筑摩書房のPR誌「ちくま」で森川嘉一郎さん、竹熊健太郎さんと持ち回りでやってる連載「オタク文化の現在」で、初音ミクを扱うことになってます。
今月号で森川さんが概要について整理をされていますが、その「続き」です。だから、稲葉先生にもお読みいただければなー……と思い、原稿を書き始めていた矢先に、こちらのエントリーが……。


オルタナティヴ・デイジーチェインアラウンド・ザ・ワールド
初音ミクという固有名と二次元美少女の図像がもたらすもの」
id:foxintheforest:20080120


あらー。
こ、これはまさにぼくがやろうとしていたアプローチではないですか。
いや、たいへん参考になります。ほかでも、おそらくぼくが知らずいいるだけで、様々な考察があちこちでなされているのだと思います。ますますうっかりしたことが言えなくなってきました(汗。


ひとつ、今回、ニコ動でいろんなミクさんを視聴して思ったことは、やはり核心はキャラが「いる」という感覚なのだなということです。もとよりそうなのですが、あらためて強調しなおしておきましょう。そこに「ある」のではなく「いる」と感じさせること。サンプリング・マシンの延長であり、楽器の一種である「初音ミク」と、キャラの媒介として声が用いられている「初音ミク」との差異。われわれはついその起源について考えてしまいますが、そもそも「いる」と思ってしまう感情・心理とは何なのか? どういうことなのか。といったことをさらに掘り下げていく感じでしょうか。


とりあえず、この曲あたりをリピートしつつ……。


ハジメテノオト」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1728993