(058)儚い羊たちの祝宴

儚い羊たちの祝宴

儚い羊たちの祝宴

再びの米澤穂信作品。普通にファンになってしまった感が。今考えると一番最初に読んだ「インシテミル」が個人的には一番面白くなかったので我ながらよく続けて読んだなと思ったり。あとは「さよなら妖精」と「折れた竜骨」は読みたいところ。
本作だけど帯で「ラスト一行の衝撃に徹底的にこだわったミステリ連作集」という煽り文句を初めとしてとにかく「どんでん返し」「飛ばし読み禁止」という様にとにかく煽っている。なのでてっきり叙述ミステリかと思ってたら全くそんなことはなかった。というかミステリというホラー小説といったほうが正しいと思う。あまりのズレっぷりにある意味この帯がミスリードなんじゃないかとすら思う。内容としては非常に面白かっただけに出版社側が必要以上に変な方向に煽るのは止めてほしいと思った。相変わらずの全体的に漂う後味の悪さ。個人的には『山荘秘聞』の結末が好き。結末というよりオチに近いものが。あの凶器には初読では気付かなかったが、気付いた後はその凶器をどこで調達したのか気になるところ。ただ「バベルの会」に関しては各章の内容を回収して最終章で収束させるかと思っていたのだけど、小市民シリーズほどの快感は無かったかもしれない。