Hatena::ブログ(Diary)

GoTheDistance このページをアンテナに追加

2009-07-23

最近SIerがだいぶヤバくなっている件

via IT業界から思ったことを。

Twitterでつぶやいたら結構こんな感じで厳しい状態になっているSIerが増えているようなので、僕なりに現状をまとめてみる。

よくわかるSIer涙目の構図

  1. サブプライム、金融危機でSIerのお得意様の金融・メーカー様が大打撃を食らう。
    • 2008年はとりあえず様子見で予算編成は据え置きだったが、今年に入って財布にチャックがかかる。
  2. 先行き不透明なので、GW明けぐらいの今期のIT予算が相当カットされた数字になった所が続出。
    • 計画していた新規案件を中止するなどする。運用でなるべくカバーする方向へお客様が動く。
    • その結果SIerは新規案件がなくなる。案件自体がなくなっていく。予算が無いから当たり前。
  3. 大手がプロパーの仕事がなくなってきたのでプロパーで人数減らしてまわし始める。
    • プライムで食い込んでいるお客様の仕事が減ってきたので、外注に仕事が依頼できる余裕がなくなる。
    • プロパーなら多少の無理は効く。外注だと作業指示等のアレコレで無茶なことはさせられない。
  4. 大手から仕事をもらっていた中小SIerの案件が枯渇し始める。
    • インフラ・運用の案件があれば継続的に仕事はあるけど、開発は案件が消えたらそれでおしまい。
    • このご時勢でIT予算を増加する所は皆無だろうから、単純にパイ自体が縮小し始める。
  5. 技術者の稼動が空き始める会社が続出する。
    • 人月商売の会社は技術者が稼動しないと会社として収入が入らない><
    • 余裕があれば投資や既存案件でやりくりできただろうけど、その余裕もなくなりつつある。
  6. 「え、なにそれこわい・・・」という仕事でも取り始める。
    • 短期スポットの割にタイトな案件、ふつーなら見送るような案件に手を出し始める
    • 単価下げろ期間縮めろ圧力が益々強くなる(それ以外に価格を下げる要素が薄い)
  7. 営業努力もむなしくトラブル案件が増える
    • 元々怖い案件のためバッファが少ないので、もめるとリカバリが難しい。
    • 案件を取ってきても辛いし、取らなくても辛いという閉塞感が強くなる。
  8. 売上下がる⇒利益下がる⇒モチベーション下がる⇒売上下がる⇒利益下がる(ry

厳冬の時代

ココ2年ぐらいは、SIerにとっては冬の時代が続くように思えます。大きな案件をまわせる巨大SIerと、細々と小さい仕事をするSIerに二極化するんじゃないかな。1億か100万か、みたいな。そんな感じ。不動産投資で失敗してしまった某独立系SIerは住商系列に食われそう(http://is.gd/1Ieh2)なので、経営権握られてしっかり解体されてSCSと合併とかありえるかも。

また、人月単価商売を考え直さないといよいよ厳しくなってきた。人月モデルはわかりやすいけど、価格競争に弱い。独自性を出しにくい。元来、技術者に技術者を足して2にしようという発想が大変よろしくない。それが根本的に間違いだったんじゃないかなと思うけど、産業構造が未熟だったのと技術の変遷がその歪みが生む問題をさらに明確にさせた、という所だと思います。

SIerの経営方針としては、「どんなカタチにせよ、生産性を高めるのである」という方向に行くと思います。生産性を高める要因は2つしかなくて、「開発プロセスの改善」と「ソフト生成の自動化」です。要するにワンタッチでポンでシステムが出来ればすげぇじゃんっていう発想。でも、そもそも要件定義が終わると全部終わるので、どうにかして改善されたプロセスを最大限に働かせるアジャイル的プロセスへの移行は不可避だと思う。

また、「そもそもシステムを作るっていう発想があれだね」っていうSaaS的な何かで「毎月のランニングだけ頂く」仕組みでスケールしたいと考えると思うのだが、それを加速していくとヒト(技術者)が要らなくなるってことだから、SaaSをやろうとしているSIerも頭が痛いのかもしれない。自己否定につながる。色々SaaSに参入したという話は聞くけど、どこも苦戦していらっしゃるようだ。SaaSという形態自体は僕は魅力を感じるのだけど、まだまだボタンの掛け違いが多いようです。

冬の時代を迎えたSIerがどうやってこの先を模索するのかに注目です。

Twitterでのつぶやき

gothedistance このエントリで書いてる新規案件が激減した理由は単純で、金融危機で大手がIT予算を削ってコストのかかる新規案件を見合わせたからだよね。今、それどころじゃないよって。 http://anond.hatelabo.jp/20090722121639 link
gothedistance 大抵4月は今期の予算を組む時期で仕事があんまりないのがSI側だけど、GW後で相当今期の予算見直したんだろうな。怖いのは「なんだ、この予算でもウチは回せていけるじゃん。」となり、ますます大手がらみの仕事がキツくなることかな・・・。大手が風邪を引くと、子供は肺炎になるからな・・・。 link
gothedistance SIってのはお客様の景気が悪ければ、どうしようもない部分が大きい。特に金融・製造(メーカー)はお得意様にしているSIerも多いはずだから、例の金融危機でモロあおりを食らったのはこのあたりの業界。余波は小さくない。 link
gothedistance でもってSIerってのは人件費が最たるコスト(人月っていうぐらいだしね)なので、どうしても損益分岐点が高くなる。固定費が高めの業種なので、価格競争では勝ち目が無い。景気が悪いと前にも進めず、後ろにも下がれないという閉塞感が強くなってしまう。 link
gothedistance かといって技術者が仕事をしないと会社として収入が途絶えちゃうから、短期のスポット案件ぐらいしか多分新規で取れるところはないだろうからそういう「割に合わない」感がある仕事を取らざるを得ないという。不況の始まりは、いつも大手がコケる所から。そう思うわ。 link

shatshat 2009/07/23 22:55 「ソフト生成の自動化」は無理でしょうね。
要件を軸としてリスクを織り込んでいく設計、開発の部分は
圧縮不可能だと思います。
リスクを想定できる知性をエミュレートできれば別ですが。
それよりも一人一人の生産性や価値を測るほうが現実的な気がします。

iad_otomamayiad_otomamay 2009/07/23 23:39 いやはや、ぐうの音も出ないほど的を射た事実。
産業構造を解体して、焼け野原から始めるべきかもしれませんね。

tamaquittamaquit 2009/07/23 23:48 おそろSIer

uuuu 2009/07/24 08:06 末端は中国でのオフショア開発に移行して、零細孫請けは助成金が切れたところで一斉パージですね。空洞化大勝利。

TedTed 2009/07/24 16:58 一昨年は大台稼いでいましたが、現在は無職のフリーランサーでございます。

本当に案件がなくて死にそうです。
一度大手メーカーからプロマネ(開発技術管理・システム品質管理がメイン)の仕事を受注できそうになり、メーカーのプロパーの人と面談して合格をいただきましたが、その後、予算管理部門から NG が出たとのことでドタキャン。
企業コンプライアンスという言葉、ご存知ですか? > リ○ーさん

DrFaustDrFaust 2009/07/24 18:02 ソフトウェア開発は、LSI開発と比較して全然自動化(工業化)されていない。
エンジニアリングの方向性として、自動化は正しい方向。

noobnoob 2009/07/24 20:32 ↑↑みたいな書き込みをするような人を使わないのは企業として正解だと思う。

realbasicrealbasic 2009/07/24 21:16 ↑同感

なまえなまえ 2009/07/24 21:26 LSI開発で自動化(工業化)されている部分をソフトウェア開発に例えるなら、CD-ROMを複製する部分じゃないの?
十分自動化されてると思うが。

匿名匿名 2009/07/24 23:07 ヤバイのは新規だけじゃない。
億単位の複数年大型案件が軒並み開発真っ最中で予算削減。
大幅機能削減で、設計やり直し、捨てるソース続出で、稼働増えるのに
「機能半分にしたから価格半額ね!」
こんな、普通なら契約破棄も辞さないケースでも、新規案件の数字が
立たないから、経営判断で飲んじゃったり。契約金額を削るための
仕様変更でのデスマって後ろ向きすぎ。

カイゼンカイゼン 2009/07/25 09:17 なんであの文脈でアジャイルが出るか良く判らないなあ。
某社は「開発プロセスの改善」と「ソフト生成の自動化」にトヨタ方式を加えた結果、
ドキュメントばかり書く超ウォーターフォールになってるんだけど...

ドキュメントから自動生成出来るのは所詮はテンプレートなのに、
ドキュメントレビューで品質上がると思ってるんだろうか...

relax_arelax_a 2009/07/25 13:35 開発ってのは、ドキュメントの体裁にこだわってWordと格闘することさ。給料高い奴ほど、会議しかしてない。

donkundonkun 2009/07/25 20:43 「人月の神話―狼人間を撃つ銀の弾はない」でLSI開発とソフトウェア開発の違いについて書かれていましたよ。

名無し名無し 2009/07/26 11:32 官庁、インフラの案件は底がたいです。
ただ、官庁案件は総選挙の結果では見直しがかかる
懸念があるかなと。

DrFaustDrFaust 2009/07/30 00:55 なまえさん
こんにちは。
自分の経験した現場がしょぼかったのかもしれませんが、
たとえばソフトウェアの世界には、FVツールすら存在して
いないように思います。
あるいはコードチェッカに関してはどうでしょう?
(もし活用されているようでしたら、ごめんなさい)

もっとEDAツールを活用する方向に行かなければ、生産性なんて
あがらないし、そうすると必然的に人月仕事の体力勝負の傾向
が強まってしまうと思うのです。

DrFaustDrFaust 2009/07/30 01:11 なまえさん

付け加えです。
誤解を招いてしまったようで、すみません。
> CD-ROMを複製する部分じゃないの?
これはおそらく工場での「製造」のことをイメージされたのか
と思います。
「LSI開発」という言葉で私が言おうとした工程は、「設計」の
レイアウト(配置・配線設計)よりも、前のところです。

HDLでソース記述→コンパイルなので、仕事の内容的には
ソフトウェア開発と、さほど変わりません。

LSI屋LSI屋 2010/04/19 15:24 noobさん、realbasicさん、なまえさん

私はASIC(LSI)開発屋ですが
ASICでは、「ソフト生成の自動化」もされている部分が多いです。

ASICというのは、RTL(C言語に似た言語)で記述された論理回路
+回路図で記述されるアナログ回路で構成されますが、
RTLの部分はシステム仕様が決まれば「自動的にポン」と出してくれるソフトが存在したりします。

さらにそのRTLを別のソフトに突っ込むと、物理レイアウトが
自動的に作成されます。

非常に単純に説明すると・・・・
?バス幅、レイテンシ、接続インターフェース等の各仕様を指示する
?RTLで記述されたプログラムのような物が得られる。
??で得られたRTLを別のツールに食わせる。
?物理情報(ネットリスト、GDS)が出来上がる。
?物理情報を工場に出す
という風になっています。
もちろんこれだけ自動化されていても多数(500人くらい)の人が必要なんですがね。

我々の仕事は「ソフト生成の自動化」を行う事が前提なので
自動的にソフトを出力するソフトを作る事になりますwwww

我々の仕事は、

LSI屋 LSI屋 2010/04/19 15:33 重複投稿すみません><

一応追加なのですが、

LSIでは
RTLで記述された論理回路と回路図で書かれるアナログ回路
の二つが存在しますが、

プログラマー的に解釈すると
RTL(流用が容易で大規模が扱える)=C言語(大規模が扱える)
回路図(作成工場毎に別大規模をやると死ぬ)=アセンブラ(ハード依存がある)

わらわら 2011/03/04 11:08 >不動産投資で失敗してしまった某独立系SIerは住商系列に食われそう(http://is.gd/1Ieh2)なので、経営権握られてしっかり解体されてSCSと合併とかありえるかも。

まったくこの通りになりましたね。

フガフガ 2011/03/15 20:00 自動設計は用途を絞らないと無理だと思いますよ。
というのは、何か自動でアルゴリズムを作るとしたら、必ず情報(仕様とか)の入力が必要になると思いますが、
仕様を満たすための十分な情報を自動生成のシステムに渡そうとしたら、そのシステムをプログラミングするのと同程度の情報が必要になります。
入力の情報量を落とすには前提を増やす、つまり、自動生成の用途を絞り込むしかないと思われます。

でもソフトウェアの分野は、ある意味では、自動生成と同等のものだらけだと思いますね。
プログラミング言語自体がコンパイラへの入力なわけですし。

投稿したコメントは管理者が承認するまで公開されません。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/gothedistance/20090723/1248331426