やりたいことのないヤツは社会起業家になれ  山本繁

「やりたいことのないヤツは社会起業家になれ」。なんとも挑発しているような、それともエールを送っているようなタイトルですが、内容は著者である山本繁氏が体当たりで送ってきた人生について描かれています。山本氏の行動力はスゴイくて、どことなくアメリカのIT系アントレプレナーのような雰囲気があります。おそらく考えるよりまず行動して何かしらの壁にぶち当たった時、問題に右往左往しながらも考えて解決していくタイプの人だと思います。


と、このように上から目線で語る資格もする気もないのですが、いろんなことにチャレンジし、失敗してへこたれてもまた新たに復活していく山本氏は純粋にスゴイです。やりたいことがないというのは僕と共通しているところですが、僕の場合あらゆることやものを知りたいという欲求があります。でもそれは実際に生きていくこととの関連性はあまり無いですし、物事を知って考えることが収入につながっていないので普通なら生きていけないのだけど、未だに親にパラサイトしていることで生きていられるわけです。それに対して山本氏は「他人のニーズのために働く」ことに全力投球することを決めて、具体的に様々な活動を行えることは簡単なことではありません。余談ですが、僕の通っている心療内科の先生もおそらく山本氏に少し似ているタイプなのでしょうが、とにかく個性が強くてワーカーホリックに生きています。寝ている時以外はずっと仕事をしているのです。山本氏はそれほど仕事をしているのかわかりませんが、様々なニーズに答えようと一生懸命になればなるほど仕事は増えます。


ボランティアで始めた中高生向けの「文章教室」、ニート・ひきこもりの作家がデビューした「神保町小説アカデミー」、ニートによるニートのためのネットラジオオールニートニッポン」、マンガ家の卵を支援し黒字化した「トキワ荘プロジェクト」、ニートを川上で予防する「日本中退予防研究所」・・・
これらは山本氏が自らの意志で取り組んだ事業で、多くは赤字になって事業を止めざるをえなかったものも多いみたいです。これらの事業取り組みのために犠牲にしてきたものやことも多いでしょう。しかし何かを犠牲にしなければ得るものがなにもないということは僕たちの生きる世界の真実のカケラです。そしてその選択ができることは贅沢でもあります。


僕もこれからどんなカタチで生きて行こうか迷っていますが、ニッチなニーズに答えていこうとする山本氏の姿勢に共感するとともに参考になりました。治療しつつできることをもっと増やして、やりたいことをやりきりたいというのが僕の夢ということになります。どうにも中途半端な結論ですが、未だにふらふらと生きているのでお許し下さい。


やりたいことがないヤツは社会起業家になれ

やりたいことがないヤツは社会起業家になれ