民法 1)総則 第3章 物・1
(定義) 第八十五条 この法律において「物」とは、有体物をいう。
有体物
具体的に存在する物質
物権の客体として直接・排他的支配が可能なものを指す
民法 1)総則 第3章 物・2
(不動産及び動産) 第八十六条 土地及びその定着物は、不動産とする。 2 不動産以外の物は、すべて動産とする。 3 無記名債権は、動産とみなす。 (主物及び従物) 第八十七条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。 2 従物は、主物の処分に従う。
不動産
不動産とは,「土地」及び「土地の定着物」のことをいいます。
土地の構成物 (附合物)
不動産(または動産)に附合した動産のことを「附合物」という(民法第242条)。
具体的には、分離できない造作は建物の附合物であり、取り外しの困難な庭石は土地の附合物である。従って附合物は「構成部分」と言い換えることもできる。
土地の構成物とは,土・砂などまさに土地そのものを構成している物のことをいいます。 または,取引通念上,土地と切り離して取引をする価値のない物,例えば,土地に生えている草や樹木なども,原則として土地の構成物ということになります。
⇒土地の構成物は土地そのものと同義
土地の定着物
代表的な物は「建物」です。日本の民法では,土地と建物は別個の不動産として取り扱われています。
その証拠に,土地と建物とは別々に登記をしなければなりませんし,固定資産税も土地と建物では別々に課税されています。
その他にも,明認方法を施した樹木や立木法の登録をした樹木なども,土地とは別個の不動産として扱われることになります。
⇒土地の定着物は土地とは別個の不動産となる。
http://minnpou.blog81.fc2.com/?tag=%C5%DA%C3%CF%A4%CE%C4%EA%C3%E5%CA%AA
従物
主物に経済効果を高める目的で付属させたもの
独立させるよりも主物と一緒に扱った方が経済的な価値が上がる物を指す。
民法 1)総則 第3章 物・3
(天然果実及び法定果実) 第八十八条 物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。 2 物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。 (果実の帰属) 第八十九条 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。 2 法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。
物から経済的に価値あるものとして収取される物
天然果実の例 * 果樹園で採取された果実 * 牝馬が出産した仔馬 * 鉱山から採取された鉱物 * 竹林から採取された筍 * 隣地から伸びた地下茎から生えた竹は、生えた土地の天然果実である(最高裁昭和35年11月29日判決判時244号47頁)。
物の使用対価として受ける利子・賃料・地代などをいう。
法定果実の例 * 賃貸用マンションの賃料 * 土地の賃料
http://www.weblio.jp/content/%E6%B3%95%E5%AE%9A%E6%9E%9C%E5%AE%9F
民法 1)総則 第4章 法律行為
(公序良俗) 第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。 (任意規定と異なる意思表示) 第九十一条 法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
法律行為
法律関係を変動させる意思に基づいて行われる行為のうち
1)内容が確定可能
2)内容が実現可能
3)適法(かつ強行法規に反していない)
4)社会的に妥当
なものを指す
強行法規
当事者の意思にかかわらず、法として画一的に適用される規定。公法上の規定に多い。強行法。強行規定。とも呼ばれる
法律行為の分類
・単独行為
1個の意思表示を要素とする行為
o 相手方のあるもの 取消し 解除 同意 許可 追認 相殺 o 相手方のないもの 遺言 信託宣言 寄付行為
・契約
相対立する意思表示の合致であるとするもの。
売買契約 贈与契約 消費貸借契約 賃貸借契約 請負契約 委任契約 信託契約 組合契約 匿名組合契約 有限責任事業組合契約
・合同行為
目的を同じくし相対立しない数個の意思表示の合致
社団設立行為 決議 協約
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E5%BE%8B%E8%A1%8C%E7%82%BA
民法 1)総則 第4章 法律行為・2
(任意規定と異なる慣習) 第九十二条 法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。 第二節 意思表示 (心裡留保) 第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
心裡(しんり)留保
真意は心の裡(うち)に秘めておき、真意ではないことを表示すること
心裡留保があっても、その意思表示は無効にならない
⇒ただし相手が心裡留保をしたものの真意を知っていた場合は、意思表示は無効とする。
民法 1)総則 第4章 法律行為・3
(虚偽表示) 第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。 2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
虚偽表示
相手方と共謀して真実でない意思を表示すること
虚偽表示は無効である
⇒虚偽を信用した善意の第三者には無効を主張することはできない
虚偽表示の具体例
ZはAにお金を貸していた。しかしAがお金を返してくれないので、ZはAが所有している土地を取り上げようとしてきた。そこでAとしては土地を取り上げられてはかなわないので、自分が所有する土地を名前だけB名義にしてくれるようにBに頼み、B名義にした。
⇒このような通謀虚偽表示は無効です。つまり、AはBに対して土地を返せと主張できます。
問題は上記の例でBがCに売ってしまったような場合です。
⇒Cが善意の場合には、AはCから土地を返してもらえません(94条2項)。ここで言う「善意」とは、CがAB間が通謀虚偽表示であることを知らない、ということです。
民法 1)総則 第4章 法律行為・4
(錯誤) 第九十五条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
錯誤
法律行為を行う主体が真意ではないことに気づかず、真意ではない意思を表示すること
表示上の錯誤
誤記や誤談のことである。例えば契約書の購入代金の欄に「100万円」と記入しようと思ったが、うっかり「100 万ドル」と書いてしまった場合が表示上の錯誤にあたる。ここでは100万円と記入しようという考えが内心的効果意思で、100万ドルと書いてしまったことが表示行為である。
内容の錯誤
契約書の購入代金の欄に「100万円」と書くべきだったのに1円と1ドルは同じ価値だと誤解していたため「100万ドル」と書いてしまった場合がその例である。どちらの場合も表示と効果意思との間に齟齬がある。そしてその錯誤があることを知っていればそんな意思表示はしなかったし一般人もそうしないだろうというほどの食い違い、つまり要素の錯誤にあたり、かつ意思表示をした者(ここでは金額を書込んだ者)に非常な落ち度(重過失)がなければその意思表示は無効となり、契約も無効となる(上記設例では重過失が認定される可能性が高い)。