モンキー・ビジネス

1952年作品
監督 ハワード・ホークス 出演 ケイリー・グラントジンジャー・ロジャース
(あらすじ)
製薬会社に勤務する科学者のバーナビー(ケイリー・グラント)は若返りの薬の研究に没頭するあまり、妻エドウィナ(ジンジャー・ロジャース)の言葉もろくに耳に入らないような有様。ある日、実験用に飼っていたチンパンジーがでたらめに混ぜ合わせた薬をそうとは知らずに飲んでしまった彼は、その後、自分の言動が青年のように若返っていることに気づき、研究が成功したものと思い込む….


ハワード・ホークス監督のドタバタ・コメディ。

バーナビーに続き、妻のエドウィナもチンパンジーの“発明”した薬を飲んでしまう訳だけど、このクスリ、効果は数時間しか持続せず、若返っているときでも外見はそのまんま。しかし、飲む量が増えるに従って精神年齢(と体力関係)はそれだけ若い時期へ退行してしまい、バーナビーとエドウィナのフルトン夫妻も終いには揃って7、8歳の子供の頃へと逆戻りしてしまう。

このフルトン夫妻に扮しているのが公開当時48歳のケイリー・グラントと41歳のジンジャー・ロジャースな訳であるが、薬の効果によって精神的に若返ったときにお二人が見せてくれる何ともハチャメチャな“やんちゃぶり”が本作における最大の見どころ。

真面目な科学者らしく、普段は分厚いレンズの眼鏡をかけているケイリー・グラントが、髪型をクールカットにしてローラースケートに挑戦したり、顔にペイントをしてインディアンの真似をしたりするのも楽しいが、ジンジャー・ロジャースお転婆ぶりもそれに負けないくらいに可笑しくて、やはり若づくりで頑張った「少佐と少女(1942年)」から10年たってもこういった演技が出来るのは、ある意味、大したものです。

また、「紳士は金髪がお好き(1953年)」等でブレイクする寸前のマリリン・モンローが、製薬会社の社長秘書という準主役級で出演している。俺はワイルダー作品に出ている彼女は、正直、あんまり好きじゃないんだけれど、本作における彼女の嫌みのない可愛らしさはなかなか悪くなく、むしろ好感が持てた。

ということで、脚本が、ベン・ヘクトチャールズ・レデラーという「ヒズ・ガール・フライデー(1940年)」の名コンビに、あのI・A・L・ダイアモンドが加わった超強力布陣であることを考えれば、もっと面白くて良かったと思わないでもないが、現状でも十分楽しめる作品になっていることは間違いなく、まあ、特に不満はありません。