アンコール!!

2012年作品
監督 ポール・アンドリュー・ウィリアムズ 出演 テレンス・スタンプヴァネッサ・レッドグレーヴ
(あらすじ)
ロンドン在住のアーサー(テレンス・スタンプ)は、病弱ながら社交的で誰からも愛される老妻のマリオン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)と二人暮らし。所属する地元の合唱サークル“O.A.P’S”が国際コンクールのオーディションに参加することになってマリオンは大ハリキリだが、気難し屋のアーサーは見て見ないふり。そんなときにマリオンのガンが再発してしまい、医師から治療法はないと告げられる….


老名優の二人が共演した英国製のヒューマン・コメディ。

このところ音楽がテーマになっている作品を見る機会が増えており、本作もそんな範疇の中の一つだろうと思って軽い気持ちで鑑賞に臨んだのだが、実際は“老い”の問題を正面から取り扱ったなかなか重いテーマの作品だった。

前半は、人見知りのアーサーと社交的なマリオンとの対比が面白く、そこに父親とのコミュニケーションが上手くいかない“不肖の息子”ジェームズが加わって、ちょっぴり気まずい雰囲気のホームドラマを展開する。アーサーは終始仏頂面のままであるが、可愛らしいマリオンの存在が観客にとっても大きな救いであり、彼女がアーサーに向かって“本当のあなたを見せて”と歌いかける名曲「トゥルー・カラーズ」はなかなか感動的。

ところが、作品の中盤でマリオンは亡くなってしまい、この後どうなることかと思って見ていると、彼女に代わり、合唱サークルの指導者を務めていた音楽教師エリザベスの存在が大きくクローズアップされてくる。

正直、彼女の仲介によってアーサーがO.A.P’Sに参加し、コンクールでも成功を収めるという後半の展開には少々出来すぎの感もあるのだが、共に独身であるジェームズとエリザベスを無理にくっつけようとしなかったあたりは流石であり、ハリウッド映画とは異なる英国映画の“節度”を感じ取ることが出来た。

ということで、同じ人見知りの俺としてはアーサーの気持ちが痛いほど理解できるところであり、彼がO.A.P’Sを敵対視していたのは社交的なマリオンに対する焼き餅みたいなものだったんだろう。残念ながら、俺もカワイイお年寄りになるつもりは全く無いし、周囲に美人でおせっかいの女教師が現れる可能性も著しく低いので、万が一の場合に備え、一人でも楽しめる趣味を充実させていこうと思います。

 トゥモローランド

今日は、妻と一緒にディズニー映画の最新作「トゥモローランド」を見に行ってきた。

ディズニー映画としては珍しく、あまり宣伝に力が入っていないような気がするのだが、映画は出来るだけ予備知識の少ない状態で楽しみたいと思っている俺にとってはむしろ好都合。まあ、全米での興行成績があまり振るわなかったことも関係しているのかなあ、と思いながら映画館へ。

ディズニー映画らしく、主役の3人(=フランク、ケイシー、アテナ)のうち、2.5人(=ケイシー、アテナ、フランクの少年時代)は高校生以下という低年齢層主体の作品になっているのだが、基本的なアイデア自体はなかなか本格派SFっぽい仕様であり、ストーリーも結構複雑。見ていて終盤の展開に付いていけなくなってしまったのは、途中でウトウトしてしまった俺が悪いのだが、少々説明不足なところもあったのではなかろうか。

また、中年オヤジと美少女アンドロイドとの時間を超えた“初恋”という設定は大変面白く、あのジョージ・クルーニーが少女の前で恥ずかしそうにモジモジするシーンはなかなか見ることの出来ない迷シーンだと思うのだが、その二人の間で女子高生のケイシーが浮いた存在になっているのがちょっと残念。少年にしておけば、面白い三角関係になったと思うのだが…

ということで、美少女アンドロイドは十分にカワイイのだが、正直、ブラッド・バードの監督作品としては相当物足りない。CGアニメとは勝手が違うのかもしれないが、次回作ではもって切れ味の良いアクションシーンを見せて欲しいと思います。