スター・トレック BEYOND

今日は、妻&娘と一緒にJ.J.エイブラムス製作による「スター・トレック BEYOND」を見てきた。

前作の「スター・トレック イントゥ・ダークネス(2013年)」ではJ.J.エイブラムス自身が監督も務めていたのだが、本作ではジャスティン・リンという台湾出身の監督に丸投げ(?)。過去の作品を調べてみると「ワイルド・スピード」なるカー・アクション・シリーズが代表作らしく、この人って、本当にSFが撮れるのかしらという不安を胸に映画館へ。

さて、前作は、ようやく一人前として認められたカークがU.S.S.エンタープライズの船長として5年間の深宇宙探査任務に旅立つところで終了。これでやっと往年のパターンに戻るのかと思いきや、カークは任務途中でホームシックにでも罹ってしまったようであり、開始早々、船長の職務をスポックに譲り渡すつもりでいることが判明する。

さらには、その直後、正体不明の敵宇宙船の攻撃によってスター・トレックの象徴ともいうべきU.S.S.エンタープライズはいとも簡単に撃墜されてしまい、円盤部分だけを残して宇宙の藻屑(?)。始まってまだ10分くらいしか経っていないのに、早くも“往年のパターンへの復帰”など老人の夢に過ぎなかったことを思い知らされる。

その後は、(恐れていたとおり)ご都合主義満載のアクションシーンが延々と展開されるのだが、う〜ん、これって本当にスター・トレックじゃなきゃダメだったのかなあ。唯一、宇宙基地ヨークタウンの造形にはSF的な“センス・オブ・ワンダー”を感じ取れるものの、何故あのような構造になっているか等に関する説明は皆無であり、そこに“サイエンス”は存在しない。

まあ、一緒に見ていた娘は結構楽しんでいたようなので決して失敗作ではないのだろうが、少なくともこの作品をSF映画と呼ぶことは不可能であり、どんなに才能があるからといってスター・トレックの脚本をサイモン・ペッグに任せるべきではなかっただろう。

ということで、スター・ウォーズでは旧シリーズの良さを十分尊重してくれていたJ.J.エイブラムスであるが、スター・トレックではそのような配慮が見られないのはとても残念。オールド・ファンの一人としては、「インターステラー(2014年)」を撮ったクリストファー・ノーランにでもお願いして軌道修正を図ってもらいたいところです。