感想 『IX(ノウェム)』古橋秀行

  • 松竜電撃文庫:217p:530円>
  • “んで、えー、今回は『武侠』小説っぽい感じで。”(216p)

古橋さん電撃約二年ぶりの一作。 技の成り立ちを無駄に解説するのがこのタイプの基本なんでしょうね。
この巻だけでは“サイバー武侠”には負けてますね。 あれがかなり反則臭いからかもしれませんが。 “サイバー”だもんね。
結局の所、話しが前提の叩きだしのみで、技と戦闘描写にほとんどを取られてたんですが、それでもおもろいのはさすがですね。 技解説の時のあの独特のノリは、“金庸節”ってやつなんでしょうか。 “サイバー武侠”の方にもこれとおんなじ具合のがあったですし。 いずれあっちもノベライズするでしょうし、そのときどうなるか楽しみですね。

 感想 冲方丁『カオスレギオン聖戦魔軍編』『カオスレギオン0 招魔六陣編』

  • 結賀さとる:富士見ファンタジア:398p:620円)
  • 0(284p:520円)

月刊ウブカタ(本人命名)です。
うわーうわー。なんだよなんだよおい。おもしろいじゃんかよ! 比較的オーソドックスな話しの展開ながらも、2つの話をうまく絡ませていく手腕と言うのか、それはたいした物ですよ。 それにキャラの立ち方が、そして配し方がまさしく絶妙です。
あーうまくいえねー。 王道的なもののようでかなり変則的と言うか。 説明してるようでそんなに説明して無いというか。 なんかあんびばれんつですが、そういう感想がふっと浮かんでくるのです。
うまくまとまりませんが、とにかく面白い物をかける人だなと。

 感想 冲方丁『カルドセプト創伝 ストーム・ブリング・ワールド1 星の降る都市』『カルドセプト創伝 ストーム・ブリング・ワールド2 星を輝かせる者』

お見事な戦ぶり!! ちょっと違うですが、そうですか。
これに関しては結構、読中感想をしたためてるので、それを総合して見ましょう。
“ストーム・ブリング”おもろいなぁ。 全くカルドセプトというゲームの持つ妙味を上手くこの本の面白さに上手く変換しているのですよ。 もって来るカルドが元のデータにちゃんと準拠しているのがなんとも。 原作に対する正しいリスペクトっぷりが心地良いのです。
カルドの拾捨選択もうまいなぁ。 使うものを上手く厳選してかつ、使う局面を効果的に考えているわけで。
いやあ、まさか最後の最後で“グリとグラ”になろうとはな!! 不覚にもかなりツボでした。 グリグラグリグラ。
最近のライノベ関係で、ここまで安定した物を読ませてくれる人って、少ない故に貴重です。 今後もしばらく追いかけていこうと思う初夏の夜でした。

 感想 おかゆまさき『撲殺天使ドクロちゃん』

  • (とりしも:電撃文庫:255p:510円)
  • ”びびるびるびるびびるび〜”

すごいよな、これを出版する度胸というのは。 常軌というか正気を逸していると。 そんなこといったらカンフーファイターはどうなるのか。
それはいわない。
えーとですね、この不思議感覚は、あれですね、 ますだこうすけを読んでいる時と同じ感覚ですね。 ゆるゆるとしてないと、とてもじゃないけどついていけない。 考えたら負け。 勢い重視というかそれしかない。 瞬間最大風速まかせというか。 そんな感覚。

 感想 川上稔『AHAEDシリーズ 終わりのクロニクル1(上)』

(さとやす電撃文庫:387p:670円)
わーいわーいわーいわーい
まったくもって一年ぶりの、川上稔ー!
都市シリーズよりも年号つーか時代が前のお話。
まだスタートだからのろのろ運転。 毎度のことの大疾走状態になるのはもう少し先でしょうか。 下巻が出ないと完全な評価は不能。 わーいわーいわーいわーい
はやくでねぇかなぁ。

 感想 感想 川上稔『終わりのクロニクル1』

いかんなぁ。日がたつと印象が・・・。
都市シリーズとの類似点については、まとめてツリーにしたためたいなぁ。 いやぁ、大変おいしゅうございました。 いつもどおりの滑走でしたなぁ。
しかし今回って、まだまだ前提条件の段階だったんだと思うと、今後が本当に気になってきますな。 つーかこのままじゃ、しばらく都市シリーズでないやんと、危惧するしだいです。
ああ、そうだ。 ひたすら新庄弟の正体を気にする佐山ちん萌え。「油断があったようだね」萌え。(えー

 感想 谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』

(いとういのぢ:角川スニーカー:307p:514円)
谷川流、あたりの方。
話のリズムの流れがなかなかによいのです。 全体的に読みやすいが、ちょっとネタの詰め込みすぎで最後はあんまり盛り上がらないなぁ。 ですが、これを見る分には期待できる人だとは思うのですよ。 少ない出番でも結構印象的な人が多いし。 比較的アッパー系というか高テンション系だし。 いい意味で今のライノベの作風ではないかと。 続きもでるようで安心です。

感想 谷川流『学校を出よう! Escape from The School』

蒼魚真青電撃文庫:336p:590円)
谷川流、はずれの方。
失敗は展開の意味の無さと、詰め込みすぎ。 展開に関しては今のライノベの悪いほうの縮図といえる。 ドタバタ形軽めから重めに落とそうという基本パターンですが、とにかくもたついた展開なんですよ。
なんだかむやみにキャラや設定を出せばいいってモンじゃないよな、つーわけですな。 白黒コンビに関しては、はっきりいって、いなくてもそう変わらないのではないか?
 精神系とか思想系みたいなものは、もうちょっとうまく流せないと見ていてウザイだけ、と言うことですね。
 ひさしぶりに読んでて苦痛だった。 続かなければいいのに続くらしいです。 電撃文庫の基本をよく理解しているとは思うが、それが即ち面白さの要素になるということではない。 “傾向とそれの対策”ではいかんのだな、やっぱ。 基本的に詰め込みすぎる嫌いをどうにかせんと、いかんと思う。
でも、ラストは好き。 不思議なくらい好き。

 感想 高瀬彼方『ディバイデッド・フロント Ⅰ・隔離戦区の空の下』

山田秀樹:角川スニーカー:318p:629円)
彼方さんはもう少し報われてもいいと思うんですがどうでしょうか。
前向きと後ろ向きの話。 二正面作戦(主役二人を主軸に視点変更する)のお手本みたいによくできたものですが。
岩井たんは見習わなければならんと思う。なんだかんだで岩井たんが気になるのな俺。