育る子は寝つ。

 昨日は、大変疲れてしまったので、気が付いたら爆睡でせう。なんというか、パタパタとした一日だったから、疲れたのですよ。早起きしたり、朝飯ぬかなくちゃならなかったり、採血したり、いらいらしたり、ポップン叩いたり、本屋で「ぬがーーっ」としたり、列車に乗り遅れたり。そりゃ寝るわ。

 感想 古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』

ベルカ、吠えないのか?

ベルカ、吠えないのか?

 昨日、「ロックンロール七部作」を買うか買わないかでかなり迷って、乗る列車に遅れた。
 それはさておき内容。

 古川日出男が神となって犬の歴史をつづり明かす。

 以上。
 神の視点、と言う言葉を三人称に対してつけたりしますが、その対応で行くならばこの作品はまさしく神がおのずから語り出して世界を決定していく、といっていいでしょう。この作品に登場する人&犬はすべて、登場段階から既に古川日出男の舌の上です。ここまで作者が幅を利かす作品、というのもなかなかお目にかかれないと思います。一例として引用してみましょう。

 (前略)名無しよ、名前のない一頭のイヌよの、お前よ。名前のない感覚が名前のないお前に命じている。声が語りかけている。聞こえるな?
 生きろ、生きろ、飢えつづけて生きろ。貪欲に!
 ウン、とお前は応じる。(後略)《p232より》

 これが特定の人物の語りかけではなく地の文だからたまりません。
 これ以降も、「お前は死ぬ。死んだ。」とか言ってすぐさま殺したり、「ここからは、お前が話せ」とか言って語りを犬にゆだねたかと思ったら結局誘導尋問の形になったりとか、本も後半になるに従ってどんどん神(古川日出男)の筆は走っていきます。
 こんな縦横無尽で天衣無縫な神様ですが、不思議な事にこの強引とも言える手腕はあくまで「犬達」にのみ適応されます。なぜか、人間達には犬達のような意識や行動への強制的な語りかけを行わず、しかしどんどんと状況に乗せて翻弄します。でも、たまにこんな事をいいます。

 (前略)
 一九六二年。
 違う。イヌ紀元五年だ。おれは人間の視点で物語を編みすぎた。イヌよ、お前たちはどこにいる? たとえば、イヌ紀元にもっとも肉薄する犬神(アヌビス)よ、お前は?《p172より》

 「おれは人間の視点で物語を編みすぎた」ってあんた。
 なんなんでしょうか、この差は。つい差別化する位に犬が好きなんですか、この神様は。
 こんな具合なので、神様と馬が合うかどうかでこの作品が気に入るかどうかのジャッジが下るわけですが、私はどうもいい具合に馬が合ったようです。今後しばらくこの人の作品を買い漁ってみようかな。

 昨日の買い物

 今日のビックサプライズ

 再放送中の必殺仕事人も「Ⅴ風雲竜虎編」になって影太郎の気の抜けた「さては南京玉簾」の声や桂朝丸だった頃の桂ざこばの凄い胡散臭さ演技(素とも言う)がたまらなく魅力的に見えてきた昨今、ちょっと気になってアマゾンで必殺シリーズのDVDを検索してみました。そうしたら。
 翔べ!必殺うらごろしがDVD化していました。嘘だ!
 うわさに聞こえた必殺シリーズの大怪作が! 和田明子が素手で撲殺とか、市原悦子が包丁でぶすりとか、太陽を浴びたら不死身とか、聞く話聞く話「ありえねえー」というやつが! DVDですよ! 仕事人シリーズまだなのに! 嘘だぁ〜嘘だそんな事ーっ!!(発音は「うそだドンドコドーン」)
 やべえ、まじで欲しい・・・。

今日の元ネタ 島田荘司「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」より。

  • いいシーンなので、あえてページ数は示しません。
  • 読んで十数年経っても、ずーっと印象に残り続けた名台詞です。
    • このシーン直前の展開が、実はかなりよろしかったのを久方ぶりに読んで確認。
      • 不覚にもちょっとくるものがありました。