感想 せがわまさき 『山風短 2』

山風短(2) 剣鬼喇嘛仏 (KCデラックス)

山風短(2) 剣鬼喇嘛仏 (KCデラックス)

 大体の内容。「合 体 !(往年の釣りバカ日誌っぽく)」。という事で、今回はバカ話一歩手前の『剣鬼喇嘛仏』の回となりました。インパクトでは1巻目の『くの一紅騎兵』を遥かに凌ぐ無茶振りで、前々から大ネタの大体の所は見聞きして知ってはいた話でしたが、その話自体は知らなかったので、なんで合体するなの? という疑問は山積したままでした。それがこの漫画で解決の運びとなったわけでありまして、ではなんで合体なの? というのはちょっと微妙な時勢に宮本武蔵追いかけて大坂城行きそうだから、それを止める為に合体だ! ということなんですが、結局合体先が大坂城に行く事に合意したので、あの曰く言い難い格好が生まれる形と相成ったわけであります。この辺の流れのギリギリ感は異常で、ある種笑い話としか言えない状況――実際、道中でその姿を微笑ましく笑われていたり、トイレ問題に「あんまこの話ばかりしても美しくないから今度から飛ばすね?」(意訳)とうっちゃったりする辺りはマジ笑い話ですが。――なのを続けていくんですが、それでも締める所はきっちり締めており、殺陣はやはり迫力のある絵となっています。合体したままなのにね。
 さておき。
 この話、はっきり言ってトンデモ設定の話なんですが、絵としてみせるからにはしっかり説得力を持たねばならない、という事で、この辺りはこの漫画の創造なだろうな、という風に見れる所も色々と。下駄作って高さ調整、とかはやはり絵として無理が無い映像を、というのだろうかしらん? 元ネタ読んでないので、あくまで想像ですが。創造というとラストもわりと創造なのかなあ、とか思いましたね。あまりに美しい終わり方で、それ以外の道はないよなあ、と思わせるものがありました。というか、これだけアレなネタを中心に据えて機動した話がここまでいい話で終わるというのは、なんというか心地良過ぎて山風先生とせがわ先生に信服せずにはいられないレベルです。
 後、絵で語る漫画の強みを生かして、表情で心理を見せるという技を感じられる一作でもありました。尺の都合上、ネーム連打出来ない、心理ネームを書くなんてもってのほか。ならどうする? 表情だよう! という事なのかなんなのか。とにかく機微が顔に出る漫画となっており、それを見る事で心理を読み取れる、表情漫画といえるものとなっておりました。漫画ってやっぱり、絵で見せないとなあ、とか何とか思ったのでありました。