『まんがタイムきららミラク』2012年月7号 感想

今号の巻頭漫画感想

小波ちま『リリィ』

 今回の『リリィ』は姉方面と妹方面で違う動きを見せる形となりました。姉方面は妙なドジっ娘との遭遇、妹方面はリリィさんとデート。今まで姉妹二人組の形が多かっただけに、新鮮に見れたのではないでしょうか。
 姉方面のドジっ娘さんは単なるドジっ娘というより装備重すぎるんじゃね? という側面が強かったですが、その上で更にツンからデレに音の速さでなったのが印象的と言うか何なのこの子……と思わされます。百合ですか、百合なんですか。まあ、単なるツンデレで良いと思いますが。その娘さんも、前からちょくちょく出てるシスターさんとなにやら関係がおありのご様子。同じ組織とかそんなでしょうか。というか、組織って何の組織なんだろう。悪魔狩ったりしてんすかね。
 妹の方はリリィさんとのデートで、リリィさんが実体化、というよりは可視化出来るという新常識が。ますますどういう存在なのか不明になっていくリリィさん……。なんとなく妹ちゃんに対してはデレのような要素を見せつつあるのも、なんですか、情でも移ってますか。それはさておき、そしてこちらもこちらで遭遇戦。リリィさん以外の悪魔とご対面となりました。どういう類の悪魔なのかはまだ良く分からないままの次々号行きなので、まさかリリィで引っ張られるとは……。という気持ちに。こういう引きが出来るのも月刊化安定し始めたという事だと理解するには十分なものかと思います。連載ももうちょっと安定的に月刊してくれてもいいのよ? とも思いますが、今回は結構面白いと感じたので、このクオリティに隔月必要ならそれも止むなしか。そう思ったりも。

個別チェック三連撃

はりかも『夜森の国のソラニ

 夜森の誘いで突如開かれる仮想パーティー。しかし、夜森はそんな事をしようとは言っておらず……。
 今回はちょっとしたミステリー要素を交えつつ、色んなお召し物を描く回という立ち位置だったかと思います。基本的に固定の服装ばかりになりがちな連載漫画にあって、こういうからめ手で色々と服を描く、というモチベーションの高さは素晴らしい事だと思います。そして赤衣さんのドレス姿、更に王子(偽)のダンスのお誘いで調子狂うとか言いつつ満更でもなさげだった所も素晴らしい事だと思います。最高でした。ああ、やっぱり赤衣さんは可愛いなあ。
 と思っていたのか?
 一番可愛かったのは魔女っ子コスっぽい夜森(偽)だったのはファイナルアンサーであろうかと思います。実際平坦で、しかし滲み出るエロス。こういうのが小悪魔的というやつかッッッッ! とかいいつ、それ以上、一番以上に可愛かったのは普通コスながら色々されたから怒ってる夜森でした。無感情っぽい子がなんとなくだけどこの子怒ってる! というのを出すだけでなんでこんなに可愛いのかよ。めんこいのうめんこいのう。

川井マコト幸腹グラフィティ

 怒涛のオムライス回。開幕のきりんちゃんの涎垂らし顔のアホの子っぷりから、オムライス作ってくれい! との嘆願。そして買い物というワンクッション置いてから作られていくオムライス。まさに怒涛。まさにオムライス。ここまで力強くオムライスを連打する漫画がいままであったでしょうか、あ、ねい。というか、ここまでオムライスをメインとして乱打する事が許される雑誌ってきららにおいてはミラクだけだよなあ。という謎の納得すら湧いてきます。二ページほどオチがきりんがオムライス食ってるリアクションのみ、ってどう考えても亜空の漫画っぷりなんですが、それでも成立していると思わせてくれる何かが、この漫画にはあります。最終的にみんなでご飯するのがこんなにも素晴らしい事なんだよ! というオチにベタながら正確に移行する辺りも相まって、読後に不思議な清涼感と圧倒的な空腹感を得てしまうのでした。美味そうなオムライスをどう描くか、に心血を注いだゆえに、単にオムレツ的に描いてもいいのにあえてチキンライスのはみ出ている所を描く辺りはワザマエ! と感嘆してしまいますよ。いやあ、再読しててもやっぱり腹が減るな……。 

西瓜割『メラン・コリー』

 メラ達が旅立って、二ヶ月が経ち…。
 って、えー!? あれ、単なるギャグ的な走りこみじゃなかったの!? 実際にどっかいっちゃったの!? という亜空の導入から入る今回の『メラン・コリー』ですが、西瓜どうするか問題に新たな解決法が出てきました。
 大地に埋まれば良いのよ!
 何を言っているのかと言うお叱りは、これガチでそういう展開なんですよ、としかお答え出来ない所で察して頂いて、引っ込めて頂きたい。なんで埋まったら西瓜が頭に生えてくるのか。そんな事はどうでもいいー! と、どこかのネオドイツ代表の如きうっちゃり方を見せて本当にそれだけで解決しているのだからどうしようもありません。実際生えたんだから、いんだよ、細けぇことは! そんな言葉が漫画から発されているようにすら思えました。
 それはもうどうにもならないのでさておき。
 今回は新キャラとして残念先輩登場したのが一応のトピック。その方とメラが遭遇戦する事か今回が始まりますが、いきなりメラがカツアゲするという亜空の展開。本人にその意図が無かったのに五万もあげちゃう残念先輩……。金持ちか! そして容姿端麗か! そんな罵倒の言葉*1がするすると出てくる不思議な方でありました。これからどういう絡み方をするのか、必見でありますが、でもまたメラの西瓜が……。また二ヵ月後とかになって、残念先輩が出てきた事をうやむやにしてしまうんじゃないだろうな……。

今号の巻末漫画感想

あfろ『月曜日の空飛ぶオレンジ。』

 ヨシノ兄の行方、その衝撃の事実!
 という事で、前回からの展開、引きをきっちり使いつつ、この漫画らしいノリ、妙なゆるさもきっちり見せる。そんなある種お手本的な回だったかと思います。最初の幼ヨシノの6連落とし穴墜落とか、まかぽんの逃げる所とか、落ち込み連鎖とか、いい感じにシリアス一辺倒じゃなく、こういうのも見たいんだろ? なら新世界の創世を見せてやるよ! と言いつつ、ヨシノのマジ凹みとか声を荒げる所とか、ヨシノ兄が気づく所とかはきっちりシリアスも見せるというバランス感覚が素晴らしい。前回で見くびっていたと思っていたラインを更にもう一段超えてきて、見くびりすぎていて済みませんでした! という謝りすら入る、そんな妙味なバランスの回だったかと思います。あfろせんせ、恐るべし!
 さておき。
 今回のヨシノは幼ヨシノが可愛いけど眼鏡じゃないよ! という入りから入り、マジで落ち込んでる流れから、呼ばれて兄の行く末を知らされている、という、え、ヒロインでしたっけ? という非常に目立つ立場になっていたのが印象的でした。後、ベッドにもぐりこんでる時にも眼鏡装着という眼鏡っ子の風上に置けるっぷりも印象的でした。うーん、ヨシノがいつも通りになってくれるのか、それとも陰のあるままになるのか。次回が注目ですなっ!

一応の総評

 今号は二月に一回のきららミラク完全体(『Seed』抜きだけど)なわけですが、ここ最近では一番安定感があった号ではないかと思います。「TEI OH-」が新連載として馴染んできている、というか普通にゆるふわ系部活物としてきらららしさを演出しているからこそ、他がちょっときらら的王道から外れたテクで攻めてきているのがよく見えるという感覚を持てるようになっている、そしてそれが誌面的にミラクの正道として成り立っている。そんな気がします。こっちが慣れてきている、という以前から思っている事態で説明した方がしっくり来る気もちょっとばかりしますけれども。
 そんなミラクの正道というものがかもし出されている中でのゲストはニューカマーが二つ。どちらも「ミラクがどういう場所か、分かっているのか!」と言う問いにきっちり答える仕事をしておられたと思います。特にシロウ『プリ魔ドンナ!』は丸っこい絵柄に似つかわしくストーリーラインのゆるい感じと、似つかわしくない設定面でのガチ感がミックスされて良い味わいになっていたと思います。ファンタジー要素はあってもガチベタファンタジー方向にアクセント、というのはミラクには無かった、『夜森』はガチだけどベタじゃない、ので、なかなか新鮮に味わえました。連載するとなかなか辛いのでは、というかキャラの灰汁が強いので、もうちょっとマイルド調整がいるのでは、と思いましたけれども、逆にその灰汁はありかも、と思わせてくれる続きを期待したいです。
 さておき。
 ゲストも三ヶ月連続ゲストが出来るようになって、連載も次回への引きをきっちり出来るようになってきた、というのもトピックと言えることだと思います。月刊化の安定が実際に誌面の展開に影響する、というのは創刊からそれほど日にちが経ってないからこその味わいであり、そういうのを如実に味わえる最後の瞬間なのかもなあ。そんな風にも思いました。7月以降はミラク作品の単行本も出るので、そこに向けて、また続いていって欲しいと思います。そして『月曜日の空飛ぶオレンジ。』単行本、早よ。早よ!
 とかなんとか。

今回の掲載順変動

 掲載順がどう変動したのかのメモを残しておきたいと思います。作品の並び順は便宜上、第一回を基礎にしています。

*1:罵倒?

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