色を喰らう


 昨年、第一回 団鬼六賞大賞を受賞して、出版に向けてただ今シコシコとお直し中の花房観音処女作のタイトルは「花祀り」です。「悦」の抄録をご覧になった方は既にご承知でしょうが、内容は、京都の老舗和菓子屋の主人のもとで修業をした和菓子職人の女性が主人公の官能小説です。大学生の時に、四季を美しさを描く京菓子の世界に夢中になり、そこで生きていこうとする主人公・美乃・・・・彼女は後に京都を離れ様々な創作和菓子を作り注目される存在になるが・・・・というお話です。
 この作品は、時間も無かったし全く取材もせずに想像だけで書いたのですが、先日ネットの烏丸経済新聞のこの記事を読んで、驚いた。
 老舗の和菓子屋の若い女性の菓子職人で創作和菓子を制作・・・・って、モロこれ私が書いた小説の主人公じゃないかっ! と。
 そりゃあ女性の和菓子職人がいることぐらいは驚くべきことではないのですが、斬新で和菓子の枠を超えた創作和菓子の世界を作る女性って・・・こりゃ、行かねばならぬ、自分の小説の主人公みたいな女性のつくった和菓子を見なっ! と、馳せ参じました。

 場所は二条城の近くのSONGBIRD DESIGN STORE。こちらで開催されている展覧会のタイトルは「色を喰らう」。そしてこちらの和菓子を制作されたのが青山洋子さんという方です。


 まずはこれ、手にとって触れられる「砂糖」が100色。





 こちら、色とりどりの和菓子。
 ソワレのゼリーポンチの中に入りたがるオケツ夫人が「入りたい」とか言いそうだな・・・この前、エロ紳士に「ゼリーの中に入ったら窒息します」とか真顔で言われておったが。









 この下の写真、真ん中の赤と緑・・・わかりますか? あの子供向け番組の人気者をイメージとした和菓子です。



 そしてこちらの二階のカフェでは、青山さんの和菓子と珈琲のセットがいただけます。三種類あったので、私は杏と白餡&小豆羊羹をいただきました。この羊羹に生クリームを添えて、珈琲と一緒にいただくのです。羊羹+生クリーム+珈琲・・・この組み合わせは初めてでしたが、美味しいっ! 杏の酸味が生クリームに合わさり調和され、珈琲の苦さともマッチするのです。





 私の小説「花祀り」の主人公・美乃は、ひたむきな京菓子職人ですが、なんちゅうか、ドロドロした結構えげつない性格の女でして、そら官能小説なので、あんなことやこんなことや、家族には読ませられないような内容(読むとかうちの親いうてるけど読むな)なので、青山さんに対して「私の小説から抜け出たような人!」とか言うのは失礼極まりないのですが、設定がそのまんまなので、無関係な存在とはどうしても思えないのです。

 展覧会には青山さん御本人もいらっしゃって、お話しもさせていただきました。
 こちらに展示されている和菓子の他にも、青山さんが制作されたオーダーメイドの京菓子の写真とかも見せていただきました。

 団鬼六賞に応募する時に、どういう話にしようかなと考えていて、ちょうどその時、知人と待ち合わせの前に高島屋の地下で時間を潰していたのですね。そして鮮やかで美しい和菓子を見つけて購入して、「これだ!」と閃いて、京都を舞台とした和菓子の世界を描くことに決めたのです。
 と、いうわけで、それから私にとって和菓子はラッキーアイテムなのです。そんなにしょっちゅうは買えないんだが、高島屋伊勢丹の地下で季節の和菓子をぶらぶら見てまわるのはすごく楽しい。

 青山さんの展覧会は今日で終わりなのですが、またこれからの活動などはブログ⇒こちらで告知されるそうです。

 そしてその夜、ツイッターにて青山さんが知り合いの知り合いだということが発覚してまた驚いたのであった。京都のアート界、せまっ!


 京都の季節を楽しくするのは、こういうアイテム、そして青山さんのような人の存在なんだと思う。

 そろそろ梅の季節。そして、すぐに、桜の季節がやってくる。
 花が息吹き始める季節に、「花祀り」出版される予定です。