ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

萎縮する「表現の自由」

「主よ。私をよこしまな人から助け出し、暴虐の者から、私を守ってください。彼らは心の中で悪をたくらみ、日ごとに戦いを仕掛けています。(詩140:1−2) 
 2013年7月2日の朝日の地方版で、千葉県船橋市で起きている事の取材がありました。
 船橋市と言えば、元野田首相の本拠地です。彼は大飯原発再稼働を真っ先に提唱し、強行した人です。その為地元住民たちによる「反原発デモ」が活発に行われていました。左画像はネットから借用。

 ところが安倍政権に代わってから、ここで大きな変化が生じています。
 市職員で野田首相の退陣を求めるデモをした経験のあるSさんは、「被爆を考えナイト」という学習会のポスターを、市が設置した「みんなの掲示板」に張ろうとしたところ、拒否されてしまったのです。Sさんは特定の政治団体に所属したわけではなく、ごく普通の主婦でもあったと思います。
 そこでSさんは掲示拒否の理由を掲示板を所管する課の職員に尋ねたところ、「あなたがたの団体は思想が偏っている」という事でした。繰り返しの抗議でも埒が明かない為、朝日の記者が同行して質してみました。
 返って来た言葉は「反原発は特定の思想・信条にあたる」というものでした。それには記事を見た私も目を疑いました。
 日本国憲法は第19条で「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と規定しています。また第21条は第1項で「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」とあり、第2項には「検閲は、これをしてはならない…」とあります。
 それに照らせば、市職員の応答は明らかに憲法違反です。しかも上記「特定の思想・信条」を判断するのは、市の担当者だというのです。そんな馬鹿な事があるでしょうか。全能者でもないのに。
 そこで掲載を拒否された掲示板の規定に踏み込んでみますと、「他人の名誉を棄損・侮辱する恐れ」のあるものというのが古いものでした。これは当然でしょう。ところが船橋市はこの規定を市民にも議会にも周知させる事なく、こっそりと姑息にも「特定の思想・信条を表わしている」ものに変更していたのです。これは「改ざん」に当ります。しかもそれだけでは無く、新たに「市の公共性・中立性を損なう恐れ」のあるものという規定が創設されていたのです。反原発を標榜するポスターは、市の公共性・中立性に反するものになってしまいました。
 こうした事実が明るみに出ると、市は「脱原発だけを理由に掲示を断っていたとしたら事務処理が適切でなかった。表現の自由を妨げる意図はなかった」と言い訳をしました。それは本当でしょうか?最初から脱原発を標的に、表現の自由を妨げる意図で、掲示板の規定を改ざん、新設したのではないですか?
 実際記事の後のほうでも、発言やデモ行為に対するいやがらせ、脅迫がどんどん広がって来ている事を記していました。デモの後方を保守系団体が追尾し、抗議の叫びを聞こえなくしようとしています。この為若い母親は子どもを連れて参加するのが怖くなりました。また新聞の「投書欄」でも、実名で投書するとその人を特定し、いやがらせの電話をかけたり、郵便物を送り付けています。若い世代の特に放射能に敏感な女性たちは、ここに来てデモへの参加や、抗議の投書を控えるようになっているそうです。その心が萎縮しつつあります。
 今のところ国会周囲デモではそのような事は、私の見る限り起きていないようですが、安倍政権はこの表現の自由を圧殺すべく、虎視眈々と狙っているに違いありません。