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ハテヘイの日記

2014-11-22

東海第二原発―隠蔽された危機

22:29

 「あなたのいのちは、危険にさらされ、あなたは夜も昼もおびえて、自分が生きることさえおぼつかなくなる」(申命28:66)。

 図書館で2013年8月発行の『東海村・村長の「脱原発」論』(村上達也神保哲生著)を借りて読みました。この本は二人の対談形式になっています。その冒頭で私は戦慄すべき事実を知らされました。

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 東海第二原発は3・11の時稼働していました。ここにも津波は押し寄せて来ました。その時の防潮壁の高さは6・11メートル(2007年の津波高さの県想定は、最高5・72メートルと出たので、3・11の僅か半年前に、以前の4・9メートルから嵩上げし、6・11メートルにしました)、津波の高さ5・4メートルで、その差70センチ!!かろうじてディーゼル発電機全3台、全電源喪失を免れました。

 この防潮壁は出来たばかりで、人ほどの大きさの配管の穴が壁に幾つか空いていて、その隙間を埋める工事の完成が3月4日で、3・11の1週間前でした。津波がそれより前だったら、全電源喪失になったでしょう。

 ところで3・11の大地震で、この第二原発原子炉は自動停止しました。その為外部からの電力が断たれました。すると外部から冷却水を入れて冷やす必要があります。でも外部電源喪失という事態になりました。そこで非常用電源を賄うディーゼル発電機3台が動き出しました。

 しかしです。まだケーブルを通す孔や排水用側溝を埋める工事はこれからだったので、そこから津波の水が浸入して来て、ディーゼル発電機用を冷却する為の海水ポンプ3台のうち1台が浸水で止まり、発電機は1台機能しなくなりました。この為原子炉を冷やす残留熱除去海水系(RHRS)の2系統のうち、1系統が停止してしまいました。この海水をくみ上げるポンプの1部は、実はディーゼル発電機用海水ポンプと同じ区画にありました。しかし後者の背丈が低くて、ポンプが水に浸ってしまったのに対し、前者は背丈がそれより僅か40センチ高かった為、浸水を逃れ、紙一重の差で福島第一のような事態にならなかったという事です。

 原電ホームページでは、「残る2台の非常用ディーゼル発電機により安全に原子炉および使用済み燃料プールの冷却を行い、その後に外部電源も復旧し、3月15日に原子炉冷温停止しました」と、簡単な説明だけしています。

 この情報は当時の村上達也東海村村長(初の臨界となったJCO事故で、陣頭指揮に立ちました)には、原電は3月23日まで知らせていません。さらに10月まで170回もベント(排出口という意味があり、原子炉格納容器の中の圧力が高くなって、冷却用の注水ができなくなったり格納容器が破損したりするのを避けるため、放射性物質を含む気体の一部を外部に排出させて圧力を下げる緊急措置=日本原子力文化財団ホームページ)を行った事実を伝えていませんでした。

 しかも私の調べた範囲では、原電はそうしたベントについての詳しい情報をひた隠しにしているようです。再稼働に向けて、故意に伏せているようにしか見えません。ベントによる放射線量の推定量も公表していません。

 もし東海第二原発福島と同じようになったら、人口密集地での事故となるので、5キロ圏で6万人、10キロ圏で30万人、20キロ圏で75万人、30キロ圏で94万人になるそうです(東京までは110キロ)。そうなったら避難者を受け入れる自治体など存在せず、東京は勿論パニック状態に陥るでしょう。

 退職した村上元村長が、脱原発急先鋒になっているのは当然の事です。東海第二も廃炉にすべき事は、論争の余地がありません。

MappleMapple 2014/11/23 05:59 驚きです。こういうことがニュースにならないということはやっぱり、どうしても、マスコミはおかしいのですね。健全ではありません。大変なことをお調べいただき、まことにありがとうございます。

iireiiirei 2014/11/23 08:24 貴兄の情報収集能力の感嘆します。ほんの40cmの差が辛うじて原発事故の予防になったというのは、ラッキーでした。でも、紙一重で事故を免れるなんて、綱渡りもいいところですね。

A0153A0153 2014/11/23 18:36 まったく恐ろしい話ですね。運が良かったと言えますね。20キロ、30キロは言うに及ばず50キロだって
まずいと思います。そしたらどれだけの人間が、避難しなきゃいけないか?日本国崩壊ですね。

hatehei666hatehei666 2014/11/23 21:33 Mappleさんへ
3・11当時のマスコミ記事は、どうしても東北中心のものに偏りました。私も村上元東海村村長の証言を読むまでは、まさか!と思っていました。でも少ない情報を読み解きながら、戦慄を覚えました。津波が防御壁を乗り越えていたら、福島、茨城と、2重の大災害になっていた筈で、東京は大パニックに陥ったと想像します。まさにいくつかの幸運が重なって大事に至らなかったのだと思います。原電は福島と血合う、そんな想定はナンセンスと言うかも知れませんが。

hatehei666hatehei666 2014/11/23 21:46 iirei さんへ
あの東海村JCO事故の悲惨さを経験し、国からの具体的な避難勧告もないまま、陣頭指揮した村上元東海村村長の事だったから、又しても国がひた隠しにする中、遅まきながらも適切な情報を把握し、行動出来たのだと思います。
国や原電などは、今後もこうしたヒヤリハットな事故が起きても、原発再稼働に向け、関係者に対しては厳重な箝口令を敷く事でしょう。自分たちだけの益を考える原子力ムラの人たちの為に、どなたかおっしゃった「国破れて山河無し」という事態は十分あり得ると思います。

hatehei666hatehei666 2014/11/23 22:09 A0153 さんへ
母がまだ元気で茨城鉾田に住んでいた頃、日立の方へドライブする時、必ず国道245号を通り、右手の樹木が一杯植わった先に原発があるんだと想像しながら、走り抜けていました。その道の狭さや他のルートの事も考えると、もし福島と同じ事が生じていたら、交通は確実に渋滞で、そこへ原発プルームが襲って来たら、飯館と同じでJCO事故の時亡くなった大内さんや篠原さんと同じ位の被ばく量を浴びる人が多く出たでしょう。日本原電はそんな事あり得ないと一笑に付しているようですが。
避難民が殺到しそうな東京は、機能麻痺に陥る事、間違いありません。まさに貴兄がおっしゃるように、運が良かったとしか言いようがありませんね。

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