はてなブックマークは裏世界なのか?

はてなブックマークは裏世界?

■Webページの裏世界を作るソーシャル・ブックマークを覗いてみよう / デジタルARENA

上記記事で、ソーシャルブックマークとしてはてなブックマークが紹介されています。が、タイトルで引っかかる「裏世界」の文字。

この記事はすでに数十件ブックマークされています。(さすがにはてなブックマーク関連の話題はブックマークされやすい)
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://arena.nikkeibp.co.jp/col/20051110/114194/

いろいろなコメントが述べられていますが、ブックマーカー達が一番気になる部分はやはり「裏世界」という部分ぽい。


さて、裏という言葉にはどんなイメージがあるだろうか? 対をなす言葉で言えば表。

表と裏。 光と闇。 白と黒。 正義と悪。

まぁ、いろんな言葉はありますが、良いイメージではないのは確か。


一般のWebページを表としたら、ソーシャルブックマークというのは果たしてホントに裏なんでしょうか?


そもそも、何の裏なんだろう? 一般のWebページ(表)からはアクセスできない場所にあって裏? いやいや、ソーシャルという部分が示すように、そもそもソーシャルブックマークは「公開された」ブックマークであり、公開されているものです。

「公開されたWebページ」というくくりなら、一般のWebページもソーシャルブックマークも同じ側に存在しています。


じゃあ、ユーザーが裏世界に属する人々なんでしょうか?(どんな人だ(笑)) はてなブックマークの場合だと、使用している人ははてなのユーザーな訳です。はてなはちょっと変わったネットサービスの会社ですが、別にそのユーザーが裏世界の構成員・・・な訳でもなさそうです。


確かに見方を知らない人にすれば、裏で語られているようなイメージなのかもしれませんが、見る方法さえ分かれば一般に公開されているWebページの一つである訳です。この記事では「裏世界を見るには」などという書き方をしていますが、こうやっていかにもアングラサイトなどのようなイメージを連想させる表現はどうかと。

少なくとも、ソーシャルブックマークがなんたるかを知らない人がこの記事を見たら、「ソーシャルブックマークって裏世界なんだ」と思ってもなんの不思議もありません。ブックマーカーとしたら、自分の愛用しているツールが裏世界のツールって言われるのは抵抗があります。


と、ここまでは上記記事についての感想。


ソーシャルブックマークが裏世界と呼ばれる事情


ここからは、なぜソーシャルブックマークが裏世界と言われるようなことになっているかの考察。


2chのような匿名掲示板が、その匿名性故に実名では書けないような本音、悪意のあるコメントを書くことができる場所だとすると、はてなブックマークのようなあらゆるWebサイトにコメントをつけることができるソーシャルブックマークは、匿名ではないものの直接その場でではなく、少し離れた位置からそのページについて語ることのできる場所にもなります。

(匿名)匿名掲示板〜ソーシャルブックマーク〜Webサイト(個人)という位置づけでしょうか。


例えば、ブログであればたいていはコメント機能がついていますが、そこでコメントするのではなくソーシャルブックマーク上でコメントすることというのは、自分用のメモなのだと言うことで直接コメントはできないような本音、悪意のあるコメントでも書くことができる訳です。

事実、そんなことを直接記事のコメント欄には絶対書かないであろうようなことがコメントとしてたくさん並んでいます。本音が見られるから面白いし、直接言えないようなことでも書けるから、悪意に満ちたようなコメントも多くなる訳です。


もちろん、ソーシャルブックマークではコメントしたアカウント名が分かるので匿名な訳ではないのですが、それはコメントされる側にはあまり関係なく、よく分からない場所で悪口を言われ、晒されている!という印象になるのでしょう。多数(ブックマーカー):1(個人)という構図も、何か祭りあげられている印象をうけさせるのでしょう。

  • はてなブックマークを知らない人にとっては知らない場所で語られていることには違いない
  • 反論したくても、相手のアカウント名だけでは反論しにくい
  • 多数:1という構図が知らない人には威圧感を与える


だからと言って、はてなブックマークは悪意を持った集団だ!などと言われてしまうのは、ブックマーカーとしてはちょっと心外です。そう、この構図、祭りを起こすような輩がいるから、2chは悪意を持った人々の集まりだ、というのと似てます。

本来なら、悪意があるコメントを書いているユーザーに向かうべき反感が、そのシステム側へと向いてしまう。1:多数(ソーシャルブックマークによるコメント)という構図からすると、そう思えるのも仕方ないのかもしれません。


ネット上に書いたことは人に見られるということ


ブログの出現によって、個人がコメント・トラックバックで自由に意見を交換できるようになる場を持つことができたのだとすると、ソーシャルブックマークは現存する全てのサイトについて語ることの出来る場が出現したということでしょうか。

インターネット上と言うのは、アクセス制限をしないと誰でもアクセスできる場であり、いつ誰に見られてどう思われるか分からないという事実が、より明確になってきている気がします。


ソーシャルブックマークでコメント欄と争って揉めているようなサイトの多くは、この「ネット上に書いたことは人に見られる」ということへの意識が欠けているものが多いように思います。

今後はもっとアクセスコントロールが重要になりそうな気がします。なんでもネット上に公開すればいいってもんじゃなく(知り合いとのメールの内容をネットに公開したりはしませんよね?)、公開する情報はきちんと考えるべき。


祭りあげられるようなシステムをなんとかしろ!というよりは、自分で祭り上げられないように自衛する方法を考える方が現実的でしょう。