「役者不足」という言葉は存在するのか?

存在するのか否かという意味でいえば、実際に使っている人がいる以上、存在するということになるだろう。
しかし、例えば「goo辞書」で「役者不足」という言葉を検索しても、該当する項目は見つからない。『広辞苑』にも載っていない。
「役者不足」という言葉を目にするケースの大半は「役不足」という言葉の誤用に対するつっこみで、「それをいうなら役者不足でしょう」というような使われ方が多い(Googleで「役者不足」を検索google:役者不足すると、上位にあるのは「役不足」の誤用にかんする記述がほとんど)。
「役者不足」という言葉から私が思い浮かべるのは、役者の数が足りないという意味(「役者不足の劇団」というような)で、役者の力量が足りないという意味の使い方には違和感を覚える。
そもそも、私が「役不足」を力量が不足しているという意味で用いることが誤りだと知ったのは、田中芳樹創竜伝』で悪役の誤用に対して主人公の1人がつっこんでいるのを読んだからで、それに続いて「それをいうなら力不足、百歩譲って役者不足といったところでしょうね」(本が手元になくて記憶で書いているので正確ではない)という言葉が続くんだけど、ここで出された「役者不足」という言葉を、私は相手に対する皮肉であえてひねりだしてみせた造語のようなものだと受け取った。なので、私は「役不足」の誤用に対して「役者不足」という言葉を持ち出してつっこむのを読むたびに、この人も私と同じで『創竜伝』を読んで「役不足」の正しい意味を知ったのかな? と思ってしまうのだった。
ただ、今回検索してみたら、

ナイトinナイト金曜日(関西ローカル?)で『役不足』の反対語として故香川登志緒先生が『役者不足』と答えて以来、ずっと『役者不足』を使い続けていました。

という文章を見つけたので、「役者不足」という言葉が田中芳樹の造語だというのは根拠のない思い込みだったのかも。
ちなみに、「力不足」という言葉を「goo辞書」で検索しても該当する項目は見つからないし、やはり『広辞苑』にも載っていない。
 
役不足の反対語」で検索したら、似たようなことを書いているサイトを発見したのでリンク。


補足を書きました。