マイク・シェパード「防衛戦隊、出陣!」

クリス・ロングナイフのシリーズ3作目。人類世界を二分する一方の勢力、知性連合主星ウォードヘブン首相の娘にして大財閥会長の孫娘、さらには知性連合が戴く王のひ孫で、プリンセスでもあるという主人公のSF活劇。今回はクリスの父が失脚、クリスも公金横領で逮捕されるという政治的謀略で話が始まる。クリスは高速パトロール艦の艦長を解任され、艦隊そのものも解体される。ところが、反知性連合による罠に愚かにもはまりこんで防空力を失ったウォードヘブンに、所属不明の宇宙戦艦6隻が向かってくる。戦艦は圧倒的戦力差を背景に降伏を要求してくるが、ウォードヘブンの新政権はなすすべをもたない。絶望的な状況で、クリスは戦艦に対抗するためのあらゆる手段を集めてかけずり回る。
むちゃくちゃ燃える展開です。謹慎中のクリスが海軍基地に乗り込んで指揮権を掌握するくだりとか、決めゼリフもカッコいい。それからは敵艦隊迎撃に残された短い時間で絶望的な不利をひっくり返すために、あらゆる手段をかき集め、作戦を練り、戦意高揚の演説をしまくる。刻々と迫る敵艦隊。果たして勝機はあるのか。
試行錯誤で問題を解決しながらの迎撃準備のエピソードが、かなりボリュームがあってなかなか戦闘開始とならないんだけれど、緊張感のある中での細かい問題解決のサイクルが巧い具合にワクワク感を盛り上げて、特に後半は止まらなくなる。敵にもつけこめるスキはあるのだけれど、条件設定がなかなかシビアで、クライマックスまでノンストップ。前半はハワイみたいなとこで脱ぎまくるエピソードで、全然別の話だと思ってたけれど、最後まで読むとちゃんとつながってたんですね。

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