フリーターvs正社員の差は3億か?

All about Japanに出てたフリーターの老後の不安を煽る記事。
給与所得・退職金・年金の合計で生涯にもらえる金額が正社員では3.7億円、フリーターでは0.7億円でその差が3億にもなるという記事だ。
これってほんとうだろうか。

まず生涯賃金が3億円というのがそもそも感覚からちょっとずれてる。
大学出て退職まで38年で、22歳から60歳までならした年収が平均で800万近いなんていくらなんでもウソだろ。
ということでまず生涯賃金のデータを探してみる。
これとか
これとか
これとか
なんかどれもこれも読みづらいなあ。
生データくれればいいのに。
他にもいくつかあるけど、生涯賃金は1.8億円くらいってのが納得の行く線だ。
All about Japanで参考にしてたユースフル労働統計中卒でも2.3億って数字はどっから出てきたよ?
きっとユースフル統計にはなんか関係ない数字が混ざってるとか退職金も入ってるとか未知の要素が働いてるので無視することにする。
とりあえずの目的としては概算でいいので、これらの数字を参考に高卒の生涯賃金は1.7億、大卒は1.9億に決定。

フリーターの年収が生涯180万円で不動というのはまあよしとする。
そんなもんだろ。

それからもらえる年金もAll about Japanにある数字で他の資料と大差ないようなので、正社員は月19.8万、フリーターは5.4万とする。

正社員の退職金もどこの資料も2700~2800万円の範囲に収まってるのでこれでよしとする。

このように考えると、生涯収入は給料・退職金・年金の合計
 正社員  2.6億
 フリーター 0.7億

ということになる。

これでもまだ納得がいかない。
僕はフリーターの人たちの4倍も金を使って生きてるだろうか?
これはあれだ、税金払いすぎだ。
お金というのは自分で使えなければ意味が無いから、所得じゃなくて手取りで考えないとダメだ。

ということで、給与所得の部分から考えてみよう。
まずサラリーマンの収入の推移を年齢別収入の統計を使ってExcelの表にしてみる。
表はめんどくさいから載せないけどいいよね。
これにかかる税金その他を考えるときに、扶養家族控除と配偶者控除ははずせない。
大卒の結婚平均年齢ということで31歳で結婚して34歳と36歳で1人づつ子供が生まれることにする。
配偶者は専業主婦で子供は22歳まで面倒を見る。
個人的には専業主婦を養う気は無いが、まあ正社員の手取り収入を多めに見積もるためだ。
奥さんの配偶者特別控除76万円と子供の扶養家族控除が38万円づつ。

さらに課税対象額を計算するためにいわゆるサラリーマン基礎控除(給与所得控除額65万円と基礎控除38万円)を引く。

健康保険と厚生年金は計算法がめんどくさいなあ。
標準報酬の等級とか考えるとややこしいけど、ほぼ誤差の範囲だからあわせて給与の11%にする。
ただし厚生年金は平成29年まで毎年保険料率が0.354%づつあがっていく予定(!!!!)なのでそこを加味。
あと40歳になると介護保険0.5%払わないといけないなあ。
雇用保険も本人負担分が0.7%くらいか。

大きなところはこんなもんか。
給与所得から社会保険と年金、扶養家族控除を差し引いた分が課税所得。
上に出てきたパラメータを年齢別にずらっと並べてみると、ああ、30歳越えると所得税20%払うようになるのか。
けっこうたくさんもらってるな。
さて、フリーターにも同じ計算して、お待ちかねの給与からの手取り収入合計はなんと!
 正社員 1.3億円
 フリーター 5500万円

正社員は税金取られすぎ。
がぜん差が縮まってまいりました!

あとは退職金と年金だな。
疲れたから次回に続こう(´ー`)