クワトロポルテになったギブリ。

マセラティは基本的に,「踏んで曲がる」セッティングを指向する,とされます。


 ある雑誌で読んだ記憶があるのですが,この「踏んで曲がる」サスペンション・セッティングは,剛性面で不利なスパイダー・ボディであっても例外ではないのだとか。ポルトローナ・フラウ社製のレザー・トリムや,コンソール中央部に設えられたアナログ・クロックなど,「伊達者のためのクルマ」,という印象が強いメーカですが,実際には手練れ(と言っても,オシャレに興味のない手練れだと,外側からの違和感はあるでしょうね。)のためのクルマを仕立てるメーカであり続けているようです。


 それだけに,魅力的なクルマが多いな,と思ってはいるのです。いるのですが,たとえば現行型のクワトロポルテはちょっとばかり大きいな,と(おサイフのことをちょっと脇に置きつつ)思うのです。マセラティの歴史を意識した,優美なライン(奥山さんのドローイング,とのことです。)が印象的で,サルーン・ボディでありながらなかなかのスポーツ・ライドが可能,という部分には魅力を感じるわけですが,やはりセグメントLは取り回しが・・・,と思ってしまうのです。ガンディーニ・デザインになるクワトロポルテ,あのくらいのディメンションを持った“クワトロポルテ”(この場合,文字通りの「4枚ドア」という意味でありますが。)が用意されるといい,などと思っていると,同じようなことを思っていたひとが,どうもマセラティ社内にもいたようです。



 今回はフットボールを離れまして,こちらの記事をもとに,マセラティの新型セダン,“ギブリ”を取り上げてみよう,と思います。


 まずはデザイン面から見ていきますと,クワトロポルテのイメージをうまく引き継いでいるな,と感じます。と同時に,プレスラインをアクセントとするデザインへと変化させている,という印象です。たとえばライト・ハウジングとフロント・グリルの配置などには,クワトロポルテなどとの共通性を感じさせますが,エンジンフードやフロント・フェンダー,あるいはリア・フェンダーなどに配されたプレスラインによって,よりシャープな印象になっているようです。


 用意されるエンジンは,3000cc・V6ツインターボマセラティ的に書けば,ビトゥルボですね。)と,同じく3000cc・V6ターボのディーゼル,とのことです。ガンディーニ・デザイン時代のギブリ,あるいはクワトロポルテのような回転フィールを選びたい,となれば,ガソリンエンジンでありましょうが,8段ATをうまく使ってトルク重視の走り方を,と考えるならば,マセラティ史上初(だそうであります。)のTDI(と書くと,ちょっとアウディ的でありますが。)を選ぶのも面白いのではないかな,と思います。


 ディーゼルマセラティ。ちょっと想像しにくいところですが,それだけにすごく興味深いですし,楽しみな新型車だな,と思います。